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第一話:さあ変身だ!名乗り中に攻撃してこないのは様式美!

作者は特撮が大好きです。

「行くぞ、みんな!闘魂チェンジだ!」


 レッド担当、松田君が叫ぶ。さすが熱血担当、血管切れそうな勢いのシャウトだ。両隣の女性陣2名は迷惑そうに耳をふさいでいたが。

 いちおうリーダーが呼び掛けてるから答えないとな。


「うむ!」


「はい!」


「おう!」


「はーい」


 やる気が感じられないメンバーがいないでもなかったが、気にしないことにして、変身を開始する。右手の変身ブレス、左手の変身クロック、右足の変身アンクR、左足の変身アンクLにそれぞれ決められた変身の合図を送り、ポーズを決める。

 というか正確には変身の合図を送るための動作が変身ポーズだ。30すぎて今更ヒーローに変身するためにポーズなんて正直恥ずかしい、というかそもそも変身なんぞしたくない。なんだよ、変身wって。20年前ならノリノリでできたろうに………。


「「「「「闘魂チェンジ!!!!」」」」」


 やっぱりひとり掛け声にやる気がない。俺だって我慢してやってんだからまじめにやれよ、と心の中で突っ込みつつも変身は一瞬で完了する。

 えっと、次は何だったっけ?とりあえず、1号の松田君を見て確認だ。


「目指せ孤高のバットマン!トウコンレッド!!」


 名乗った後に、かっこいい(?)ポーズを決める松田君改め、トウコンレッド。そうだ、次は名乗りだった。戦隊によって順番や名乗り方変わるから間違わないように気を付けないとな。


 ところで、荒ぶる○のポーズに似たあのポーズ、松田君、もといレッドは本当にかっこいいと思っているんだろうか?



「民の安寧は私が守る!トウコンブラック!」


 次はシャルルか。わざわざ異世界まで来て結局また戦いに巻き込まれたのに、嫌な顔一つしない、本当に人格者だ。俺は少なくとも嫌な顔の一つはしたしな。

 タックルをベースにいかにも戦隊ものといったポーズを決める。そういえば、元の競技にかかわる口上にしてくださいね、と言われていたが全然関係ないな。


「女の子だってサムライブルー!トウコンブルー!」


 3人目、ときどきいる女の青担当だ。ポーズは片手を腰に当てて無難に立っておくだけだったが、スタイルも姿勢もいい子だから十分様になっているな。


 しかし、女の子ねえ。年齢的には女の子で問題ないんだけどねえ。って、なんか視線を感じるな。



「伊達さん、順番順番」



矢田さんことブルーから小声で突っ込みが入る。




 あ、俺の番か、余計なことばっかり考えてて口上全然考えてなかった。元の競技にかかわる内容で言わないといけないんだったな、シャルルことブラックは思いっきり無視してたけど、あいつはまあしかたない。


 本人もよく分かってないだろうし。でも、俺、テニスなんてやったこと無いしなあ。って、いかん。



「テニスのルールは分からない!トウコンイエロー!」



とりあえず、これでよし、あとポーズはガッツポーズでもしときゃ充分だろ。気合入っているように見えるし。




「応援、実戦、どっちもOK、トウコンピンク」



 そして最後、さっきからずっとやる気に欠けていた、桜子ことピンク。口上はちゃんとしてるけど、声色にやっぱりやる気が感じられないな。気持ちは分かるが少しは自重してくれ。


 とはいえ、あらかじめ決めておいたらしいバトン(新体操のやつ)を掲げたポーズで、それなりに様になったポーズを決める。この状況下でポーズをだらけたら逆に目立つということには気付いているようだ。




 たしか、ここからはレッドがまとめの一言の後で全員で戦隊名を叫ぶんだったな。



「燃える熱血は青春の証!」



 え、この前聞いてたのとなんか違うぞ。『闘魂と科学で悪を討つ!』だっただろ。青春だと俺が辛いんですけど。


 次からはちゃんと修正してもらわないとな。あ、まずい、次に進んでる、ええい今日のところは仕方ない。



「熱血戦隊!」


「「「「「トウコンジャー!!!!」」」」」



よし、とりあえず決まったな。何とか


 ちなみに後ろで爆発はない。危ないし、現実で名乗りのたびにやってたら逆に俺たちが破壊活動していると怒られかねないし。



「いくぜ!マッドクリーチャー!」



 レッドの掛け声とともに、アリ男(曰く蟻をベースに改造した改造生物で人間ではないらしい)に向かう。他のみんなもそれぞれ同じように向かっていく。


 レッドは新型の改造生物と一騎打ちをするつもりのようで、そこいらに落ちてた角材片手に改造生物に突撃していく。あんまり戦い慣れしてないみたいだけど大丈夫かな?


 アリ男をなぎ倒しながら、ことここに至った経緯を改めて考える。俺の戦いは終わったはずだった。だが、まさかまた戦いに駆り出されることになるとは。


 人のため、世界のために戦う、それ自体に不満はない。今の俺にはそれだけの力があるのだからなおさらだ。


 だからと言って変身ヒーローをやらされる羽目になるとは思わなかった。いや、特撮のヒーローものが嫌いというわけではない。最近のは演出も脚本もこってて子供だましでもないしね。しかし、現実世界で自分が変身して戦うなんて話は別だ、いい年して変身ポーズ(これやらないと変身できない)やら、口上やらさせられるのは恥ずかしい。



 せめてもの救いは5人のうちの4号、イエローで他のメンツよりは目立たないことと、変身後はマスクで顔が隠せるくらいか。このところの己を取り巻く環境の余りのギャップに頭がついていかない。





とりあえず、ちびちびやっていきます。

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