挫折!!
千春はとても落ち込んでいた。それはそうだ。あれほど大石君の名前を見つけて喜んだのも束の間、大石君に将棋部の入部を断られてしまい奈落の底に突き落とされたかのような気分になった。千春の目から涙が溢れる。これは大石君に断られた悔しさと自分が部員を集めることができないという悔しさに起因するものだった。
「どうすればいいの・・・これじゃあ大好きな将棋をもう続けることができない。みゆちゃんにも悪いことしたなぁ。自分から誘っておいて楽しい部活を作れそうにないんだもん。それはそうと大石君ってプロになりたかったんだなぁ。確かにすっごく強かったもんなぁ。大石君のプロになりたい夢は応援したいけど、私は大石君とみゆちゃんと将棋指したかったなぁ〜」
千春の胸から思いが溢れ出してくる。
「千春!探したよ!」
「あ!みゆちゃん...どうしてここが?」
「校舎の中をずっと探してたんだけどどうしても見つからなかったから。千春がいるならここの夏目公園かなぁって。ほら千春って何か嫌なことがあったり、考え事があったりするといつもここの公園来るじゃない?」
「あはは!流石幼馴染だね。私のことなんでも知ってる。ふふふ。」
みゆちゃんもつられて笑い、夏目公園の子供たちのはしゃぎ声の中に二人の笑い声が混ざりあいシンフォニーを生み出していく。
「みゆちゃん、大石君は入部できないって。プロになるから。」
「そっか。じゃあこれから部員集め頑張んないとだね!でも朗報がある!私の友達なんだけど陸上部との兼部でいいなら将棋部入ってくれる子見つかったよ!」
「えぇ!本当に!嬉しい!まだみゆちゃん将棋部でいてくれるんだね。ありがと。」
「当たり前じゃない?目指すは県大会優勝かな!?」
「あははははは!」
「あははははは!!」
部員二人からの将棋部はまだまだ始まったばかりだ。二人の後ろには息を呑むような夕日が輝いていた。




