アンドレ、後は任せた
ドルガー視点
私達、一番特攻隊の面々は、進発してから特攻をかけて帝国へ帰還していた。
何騎かは、スタミナ不足による魔力枯渇で休憩しながらの帰還だと報告があった。
全てを見ている訳ではないので、部下達がそれ程までに戦闘に全力をかけていたとは、合同隊も侮れないのかもしれない。
早々に帝国へ帰還する為、戦場を離れ帝国空域まで戻って来ていた。
すると、我等が戦艦付近の上空で膨大な魔力を感知した後、味方部隊の大多数の反応が消滅した。
「なにが起こった?一瞬で、いや少し……そんな筈は無い、偵察部隊を編成!!」
ドルガーは嫌な予感を拭えずにいた。
「アンドレ、これを受け取れ、後は任せた!」
俺はサラマンダーと共にセイレスの浜辺へと向かって旋回した。
「やってられん!」
「お前、それにしても、凄いブレスだったなぁ!偉いぞ!」
俺は騎乗している竜の首を撫でる。
竜は褒められた事に嬉しいのか目を細めて短く唸った。
その横でサラマンダーが不貞腐れているのが分かる。
「サラマンダー、お前も良くやった!帰ったら飯だ、飯!海岸まで競争だ!」
そう言って、親方の騎乗する竜とサラマンダーは急降下した。
海岸に着くと、ソーマの張った障壁は解除されて、シェリーとソーマが出迎えてくれた。
シェリーは怪我を負った竜達の応急処置がひと段落終えて色々な竜騎兵達から感謝されていた。
「親方様、申し訳ありません、応急処置をしたら、次から次へと……」
「シェリー、今回は来なくて正解だった。……」
「親方様?」
「親方、なにがあった?」
ソーマに事の顛末を話す。
「ほぉ、帝国がねぇ。 だが、アンドレに任せたんだろ!なら大丈夫だ!それよりも凄かったなぁこの竜、無茶苦茶早ぇじゃねぇの?」
ソーマは話題を変えてくれたなぁ
「おぉそうだろ!っていうとサラマンダーが拗ねる!おい、サラマンダー、って涙目じゃないか」
サラマンダーは幼女の姿になって俺に抱きついてきた。
「パパがすっごく怖かった。パパが哀しそうだった。パパがパパが……ふぇぇぇぇ〜〜ん ふぇぇぇぇん」
「あぁ〜あぁ〜あぁ〜涙と鼻水があぁ〜あぁ〜あぁ〜あれは忘れて、飯だ!飯」
サラマンダーを、抱き抱えて騎乗してた竜の頭を撫でる
「良くやった」
そう言って、セイレスの街に向かったが竜が付いて来たがっていたのは親方は知らない。
セイレス海岸の街
白い屋根、白い壁で出来た街並みは、街全体が真っ白な為、景観規制がかかっているらしく、無茶苦茶綺麗だった。
「デッカい焼き魚だなぁ!パクっ!うっまぁ〜!なんじゃこりゃ!パクっパクっパクっパクっ」
「親方、早い、早い!無くなる、無くなる!パクっパクっパクっパクっ」
「親方様、これも美味しいですよ!はぁ〜、美味しっ!」
「パパ、パパ、美味しいねぇ〜!モグモグモグモグ」
テーブルには、港が近いだけあって魚介系の料理が所狭しと並んでいる。
シェリーは海老にかぶりつき、サラマンダーは貝系を食べていた。
「サラマンダー、食べ終わったら、ゼローグを連れて来てくれ。」
「ママを?わかった。明日の朝には会えるようにするね」
「じゃこの街じゃなんだし、近くの森で待ち合わせな!」
「着いたら、ってパパなら分かるよね!待ってて」
食事を終えると、日が傾いて、夕方になる。
街の景観とのコントラストで絶景が広がって何も美しい!
街と海と夕陽、坂の上から見る景色に、先程まで戦場になっていたとは思えない光景だった。
アンドレ視点
私は、親方の任務を遂行する為、帝国上空を飛行中
すると、帝国の偵察部隊が下方にて目視した。
リンドブルムを操竜して降下すると、警戒態勢で迎えられた。
近くの無人島っと言っても、竜が5騎泊まれる程度の島で対面する
「貴様、合同隊の者かぁ!1騎で何用か!ここは帝国領域内であるぞ。」
偵察部隊のたぶん偉い人が前に出て話し始めた。
「貴方方は帝国の偵察部隊とお見受けします。先ずは、こちらをどうぞ」
私は親方様から預かった竜の首を投げ渡す。
「その亡骸を見れば分かると思いますが、魔薬中毒の症状を我が主人の目に留まりましてね、大変ご立腹なのですよ。私目も過去を思い出しまして、大変気分が悪ぅございます。つきまして、事と次第によっては帝国を無き者にしようと思う次第でございます。」
そう言った後、後ろの2人と竜2騎が倒れた。
「攻撃しようとは思わない事です。瞬殺ですよ(ニヤッ)」
倒れた竜は、偽装が剥がれ、みるみる内に魔薬中毒症状が露呈していった。
帝国偵察部隊の長ともう1人はワナワナと震えて
「こ、この様な事をして、た、只で済むと思っているのか」
「只で済む訳がございません。返答次第で帝国は焦土と化しますよ。」