買い物でグロッキー
王都、女性下着店
「うっおっほぉーなんだこれ、もう下着じゃ無いだろ!紐!紐だよね!これなんか、スケスケでは無いか!けしからん!けしからんぞぉ〜!」
「親方さま、これなんかどうでしょう?私に似合いますか?」
シェリーよ!お前は、多分なんでも似合うと思うよ!
っと思いながら、シェリーの方へ目を向ける。
「シェリー、なんで着ちゃってんのさ!いや着るのは構わん!試着室から出ちゃダメだろ!」
下着だけを見せに来るのかと思いきや、着ちゃってました。しかも、某泥棒のヒロインよろしくプロポーションなんだから、女店員さんが目をそらすほどなんて、けっけっけしからん!
「親方さまはそのような紐タイプがお好きですか?」
今、シェリーさんが身に付けている、全身赤の下着にガーターベルトも好きですよ。
「女性の下着には色々あるんだなぁっと感心していたわけだよ、シェリー!あっ次黒ね!」
シェリーに黒の下着を渡す。
俺も変態だな!
「わかりました。親方さまは羞恥プレイがお好きのようです。………」
「シェリー、なんか言った?」
「いえいえ、別に」
そう言ってシェリーは試着室に戻っていった。
有名菓子店
王都の某菓子職人が手間暇かけて作ったお菓子が話題を呼んでいるらしく、シェリーが教えてくれたのだが
「なぁシェリー、すっごい行列なんだが、しかも、女子供ばかりだよ!」
「そりゃそうですよ!なんたって話題のお菓子屋さんなんですよ。王都貴族の女性や子供が並ぶほど美味しいって評判なんですから!」
これに並ぶのか、ざっと300人程いますけど
ご婦人が差してる日傘が邪魔だ!
俺たちの前後に並ぶマダム達が噂話をし始めた。
「なんでも、ある高貴な貴族が最弱スライムに皆殺しにされたらしいですわよ!」
「まぁ、それ知ってますわ!あそこの奥方はどうもイケすかない感じだったのよ。天罰が下ったのね」
「それよりも、第四王女の部屋から艶かしい声が途切れないらしくてよ!」
「まぁまぁ、なにをされているのやら」
あっ忘れてた。
まぁいいか!お仕置きなんだし
そんなこんなで、店まで来てしまっていた。
「うわぁーぜっんぶ美味しそう!親方さま、これなんて細工が美しいですね。」
「シェリー、チュピちゃんのお土産を選んでくれ!予約だけして、帰り際に受け取れるようにしたい。」
俺がそう言うと、シェリーはこれもいいわ、あれはどんな味がするのかしらって悩みまくっている。
あの後、俺はグデェ〜ってなった。
男性諸君わかるだろ。女性の化粧から香水そして、甘ったるいお菓子の匂いで、オッサンはたちまちグロッキーですよ!
多少の解体作業で匂いには慣れてはいたんだが、これは別次元だよ!
オッサン、女性集団の匂いに敗北
宿
日も暮れて、夜に差し掛かろうとしている。
「親方、すっごい疲れた顔しているが、大丈夫か?」
「ソーマかぁ、いやぁ参った。大会の申請は難なく終わった後、色々シェリーに買い物を付き合わされてグロッキーだよ!」
「親方、淑女の買い物はドラゴン討伐に近い体力を消耗する。大変だったな!」
「っでソーマはこれから歓楽街?」
「ご明察!私はこの為に仕事を頑張っているといっても過言でもない!遊ぶぞおぉぉぉぉぉぁ!」
ソーマ、そこまでストレスを!!そのまま部屋から出ていってしまった。
そうした会話の後、アンドレとサラマンダーが帰って来た。
サラマンダーが俺に抱きつく。
「パパ、どう?似合う?アンドレと買って来た。」
サラマンダーは赤の幼女ドレスにご満悦なようだ。
「あぁ綺麗な赤だな!お前に似合っているぞ!アンドレにありがとうは言ったのか?」
「アンドレ、すまんな」
「いえいえ、私こんなに充実した買い物は初めてでございます。こちらこそ、ありがとうございます。」
サラマンダーに買った服の数々は紙の袋に何個も並べられてた。
「アンドレ、解体の大会なんだが、いつも通りお前も入れておいた。シェリーとの団体戦もあるからよろしくな!」
「わかりました。道具の方は準備しておきますので、大丈夫でしょう。」
その晩第四王女の部屋
「あがっっ………あがっっ………い゛ひぃ……ビクビクビクビクビクビクビクビクビクビク」
あぁ〜やり過ぎたか?
「よぉ〜王女!っとメイドの方々、忘れちゃってたよって聞こえてないか!」
王女とそれを助けようとしたメイドの方々数名から、スライムを解除してあげた。
それから何も言わずに出て行こうとしたが、もう一匹スライムを忘れてた事に気付いて、そっちに向かった。
アレクサンドルメイド長の部屋
「ここにいるはずなんだけどなぁ?どこだ?」
すると、背後から何者かがそっと近づいてきた。
それに振り向いて
「なぁあんた、俺のスライム知らね?」
「親方殿、こんな夜更けに淑女の部屋への侵入はいただけません。スライムならこの瓶の中に入ってますよ。………それにしても、侮れないわね。」
「おぉこんなところに、じゃ帰るわ!」
そう言って俺は窓から出ようとする。すると
「帰すわけないでしょ!貴方を拘束します。覚悟なさい」
そう言って、メイドの服を着た女は鞭を振るい俺を拘束しようとした。
鞭が、空を切る。
「おい、俺は今日疲れてんだ、遊んでる暇はないぞ!」
女の背後に回り、ナイフを女の首に当てて煙草に火を点ける。
女は脂汗を一筋流して、ガクガク震える。
「人間の解体なんて、すぐだぞ!それでもやるか?フゥー」
女は顔を横に振り立ち尽くす。
俺は再度、窓から出てその場を去った。
王城メイド長(王直属の暗部)視点
噂には聞いていたわ。辺境の街にとんでもない化け物が居る
それがあの親方。
少し、無粋ではあるけど、手合せがてら拘束しようとしたのが間違いだった。
私の渾身の一撃を躱すどころか、背後を取られて、尚且つ、いつ抜いたのかナイフを首に当ててくるなんて、次元が違いすぎる。
そう思った途端、へなへなっと座り込んでしまった。