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怪物の誕生

 洋は腹の部分から硬い岩肌を感じながら目を覚ました。どうやらそこは洞窟のようだった。ゆっくりと身を起こすと、違和感を感じた。身体が異様に軽いのだ。

 自分の身体を見下ろすと完全に人間のものではないそれがあった。身長は3mから4m程。身体は白い毛に覆われていた。柔らかそうに見えるが毛の1本1本が鋼鉄のように硬い。その下には硬い筋肉。もはや天然の鎧のようだ。太く発達した腕。その指先には鋭い鉤爪。指は5本あるものの、狼のような爪だ。足は指が3本しかなくこちらにも鉤爪がはえていた。

「……なんか人間とはほど遠い生物みたいだな。確かゴライアスって旧約聖書に出てくるゴリアテっていう巨人のことだったと思うんだが、人間らしさの欠片もねぇな……。」もし自分がこんな怪物と出会ったら間違いなく腰を抜かすなと、割と落ち着いて自分の体を観察する。

「そういやガブリエルがステータスカードとかいうアイテムをくれるとか言っていたけど、それはどこいったんだ?」と探してみるがそれらしいものは見つからない。

「……えぇー…」と頭を抱える。するとふと腕に奇妙な魔法陣のようなものが見えた。恐る恐る触れてみると次のような文字が視界に浮かんできた。

 --------------------------------------------------

 前田 洋

 種族:ゴライアス

 Lv:1

 STR:495

 CON:327

 DEX:424

 INT:11

 POW:45

 運:0

 スキル:視覚強化、聴覚強化、嗅覚強化、第六感強化、闇視、感覚加速、上位寒冷耐性、上位熱耐性、斬撃耐性、刺突耐性、恐怖無効、精神支配無効、麻痺無効、毒無効、時間停止耐性、石化無効、咆哮、放電、ブレス〈火炎〉、縮地

 --------------------------------------------------

「ステータスカードとか言っていたけど、カード関係ねぇじゃねぇか!というか運低っ!けどスキルは多いな。やっぱりゴライアスって種族的に強いのかな。RPGではスキル多い程強いし。」再び魔法陣に触れると文字は消えた。

 いつまでもここにいても仕方が無いと思い、明るい方に移動する。洞窟を抜けた先にあったのは、銀世界だった。どうやら山の頂上近くのようだ。麓の方には森林が広がっており、その向こうには平原が広がっている。あまりの絶景に洋は思わず息を呑む。

「こんな景色が見れただけで転生してよかったと思えるな。」洋は都会っ子だったため自然に恵まれていなかった。それゆえ、感動はより大きかった。

 一通り景色を堪能した後、山を下ることにする。雪の上なので冷たいだろうかと考えていたが全く冷たさを感じることは無かった。これが寒冷耐性の効果だとなんとなく理解する。

 歩いていると前方に毛むくじゃらの生物を見つけた。身長は2m程で真っ白な毛玉のようだった。

「おーい」と呼びかけてみると、こちらに向かって吠えてきた。そしてこちらに向かって飛びかかってきたのだ。この時の洋は知る由もないがこの生物はイエティといい、雪の多い所に住む"凶暴な"生物である。

 しかし、このイエティも洋も知らなかった。ゴライアスという種族はこの世界でも最強の魔物の1種であるということを。

 洋は飛びかかってくるイエティを咄嗟に手でイエティの手をはたいた。するとイエティの腕は引きちぎれた。イエティも洋も最初何が起こったか理解出来なかった。先に理解したのは洋だった。そしてゴライアスとこのイエティとの力の差もまた理解した。

 洋は何気なく手でイエティの顔を叩いた。軽く叩いたつもりだったのだが、イエティの首は力に耐えきれず引きちぎれた。

「これはもしかして、ゴライアスってチート並みに強い?」

 最強クラスの力を持つ怪物が自分の力を理解した瞬間だった。

ステータスの数値はTRPGを元にしています

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