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シルヴィアの過去

ちょっと遅くなりました〜


とりあえず急いで部屋を確認する。しかし、間違いなくここが洋とシェインが割り当てられている部屋だった。

そして理解した洋はラッキースケベというのはこういう事なのかと現実逃避を行う。確かに転生前の洋ならば大興奮だっただろう。しかし、女として転生してから一切女性に性的興奮がおこらなくなっていた。まあ、男性の方はもっと無理だが。

「……イ、イアス様、何故ここに?」とシルヴィアは驚いてはいたが洋のように現実逃避はしていなかった。シルヴィアは洋のことを女性と思っているのだから衝撃がそれほどでもなかったのだろう。

「……え、あ、えっと、ここが俺達の宿なんだけど……」

「……そ、そうだったのですか……」と言い終わるなり部屋の扉が勢いよく閉まった。シェインが凄い速さで扉を閉めたのだ。

「イアス様!このようにイアス様を着替えで誘惑するような破廉恥な女を配下に加えるのはやはり反対です!」とシェインは叫ぶ。

「いや、偶然だろ?そんな狙ってやってはないだろう」というか狙ってやる意味がわからない。

「それにそれを言うなら、シェイン。お前との出会い方のほうが破廉恥だろ?お前なんか全裸だったじゃないか。それにお前との出会いも、今回も悪いのは俺だ。」

「う……」

とりあえず再び扉を開ける。シルヴィアは既に着替え終えており、自分のベッドに腰掛けていた。

「えっと、その、ごめん。着替えてるとは思わなくて。」

「いえ、お気になさらず。この身はイアス様の物。イアス様が脱げと仰れば脱ぎます。」もうなんか狂信されているようだ。

「そ、そうか?……シェイン、弓を構えるな。もうなんか精神的に疲れたから寝るぞ。」と自分のベッドに入る。

しかし寝る前にふと気になったことがあったので聴いてみることにした。

「……なぁ、シルヴィア。さっき昔お前とパーティを組んでいたエウラリアっていう冒険者に会ったんだが、その時の話で違和感があったんだ。」

「……なんでしょう?」

「エウラリアと共に生き残ったって言っていたがお前はアンデッドなんだろ?なんで死んだことがバレてないんだ?」

「あー、それは……」







25年前、ここコーレスでシルヴィアは生まれた。シルヴィアは一般的な家庭で生まれ、平凡に育った。彼女には仲のいい幼馴染みがいた。リーダー格のエウラリア、力持ちのネイル、足の速いレイソン、頭の良いケイラ。この4人とシルヴィアは家が近かったこともあり、いつも一緒にいた。5人でよく冒険者ごっこなどをして遊んでいたものだ。

しかし10歳の時、シルヴィアは魔法の才能を見出されてセイヴェルン魔法大学に強制的に入学させられ寮で暮らすことになった。

魔法にはいくつかの属性がある。魔法の属性はそれぞれの魔術師にもあり、その属性の魔術師はその属性の魔法が使いやすい。大体の属性は他の属性の魔術師でも使うことが出来る。しかし、例外がある。闇属性と聖属性。この二つはとてつもなく強力だ。しかしどちらか1方を1度でも使うともう1方を使うことは2度とできない。無理に使おうとすると、体が内側から焼かれて死ぬ。だがシルヴィアはどういうことか、両方を使うことが出来た。そのため帝国によりセイヴェルン魔法大学に実験体として入学させられたのだ。研究してシルヴィアの他にも聖属性と闇属性の両方を使える魔術師を生み出そうとした。

様々な実験をされ、様々な闇属性魔法と聖属性魔法を教えこまれた。しかし、どれほど研究してもシルヴィアが両方を使える理由はわからなかった。結局5年で研究は断念され、シルヴィアは家に帰された。

やっと家に帰れることにシルヴィアは喜んだ。だが、5年も得体の知れない様々な実験をされたシルヴィアに関わろうとする者は居なかった。エウラリア達以外は。エウラリア達はシルヴィアにとって心の支えとなった。そして5人は幼い時からの夢だった冒険者になった。とても楽しかった。順調に依頼を達成していき、冒険者達の間で話題のルーキーとなった。中でもエウラリアは帝国北部で剣の腕で右に出るものはいないとまで言われる程に強い剣士として有名になった。そして前衛4人を援護するシルヴィアも強力な魔術師として有名になった。二十回目の依頼でヤツと会うまでは。

農村までの道にでるゴブリンの群れを倒すという簡単な依頼だった。途中までは順調だった。しかし、突如一体のワイバーンが現れた。最初に殺られたのはケイラだった。不意打ちで炎をうけた。即死だった。そして状況が読み込めないままレイソンが丸呑みにされ、ネイルが尾を叩きつけられて死んだ。シルヴィアは防御魔法で身を守り、エウラリアは並外れた身体能力で避けたが3人は不意をつかれて何も出来ず死んでいった。

エウラリアとシルヴィアは懸命に戦ったが、精神的動揺でまともに戦えなかった。そしてシルヴィアはブルートアオゲの放った1発の火球で防御魔法を破られ死んだ。残ったエウラリアは何とかワイバーンの左眼を切り裂いたが、すぐに吹き飛ばされて意識を失った。

その時にシルヴィアはアンデッドになったのだ。アンデッドになるには、とてつもない恨みを持ちながら死ぬか、闇属性の魔法、《ネガジオン・モート》を死ぬ前に使用している必要がある。シルヴィアはこの《ネガジオン・モート》を魔法大学で1度本で読んだことがあり、それを無意識のうちにイメージした。それによりシルヴィアはアンデッド化した。アンデッドとなったシルヴィアはワイバーンと交渉し、自分とエウラリアを見逃してくれれば今後自分が餌として人間を連れていくと契約した。そして、シルヴィアとエウラリアはコーレスに戻った。





……ということだったらしい。その後エウラリアが付けた傷からワイバーンはブルートアオゲ(血の右眼)と呼ばれるようになったらしい。

「……それ以降はエウラリアを巻き込みたくなくてずっと会っていないんです。エウラリアは仲間を失うのを恐れてずっと1人で冒険者をしています。今では帝国で四つしかないSランク冒険者パーティです。」

「……そうだったのか。悪かった。辛いことを思いださせて。」

「いえ、気にしないでください。僕をその呪縛から救ってくれたのは貴方様ですし」

「しかし、エウラリアはSランク冒険者だったのか。道理であんなに強そうなわけだ。多分、既にブルートアオゲより強いぞ。」エウラリアと初めてあった時のことを思い出す。

「エウラリアはこの街最強の冒険者なんです。彼女の持つ魔剣、レーヴァテインから炎姫って二つ名も持っているんですよ。」

「ほう、そうなのか。」

そしてこの日、話疲れて寝落ちするまでシルヴィアと洋は話し続けた。

なお、シェインはベッドに入ってすぐに寝ていた。

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