転生説明会
「あなたは非常に無様に死にました。ですが、あなたは面倒なことにある条件を満たしている様ですのでこのまま来世に転生するか、別の世界に転生するかを選ぶことが無意味だとは思いますができます。ゴミらしく元の世界で再びゴミとして生を受けるか、それとも別の世界で少し種類の違うゴミとなるか、さあ、あなたはどうします?」
「なんとなく分かっていた事だけど、やっぱり面と向かって言われるとゾッとしないな」と洋は返す。彼の最期の記憶では吹き飛ばされた時に体の中が破裂した感じがしたので、自分の死体を想像するとなかなかに怖いなと、彼は結構のんびりと思う。
「ええ、あなたの死体は電車に吹き飛ばされた際に内臓が破裂し、更に死んだ後に電車の車輪でミンチに加工されていました。下等生物にふさわしい無様な死に方でしたよ。私達天使の間でもあなたの死に様は笑いのタネです。」と、天使はサディストの笑みを浮かべる。余りにも酷い言いようである。
「……お前本当に天使なのか?悪魔と言われた方が納得できそうだぞ。」
「失礼な。私は天使の中の天使、ガブリエルですよ?私程慈悲深い天使は他にいないと言われているのです。人間のような下等生物に話しかけるなど私の慈悲深さの証明ではないですか。」これで慈悲深いとか他の天使は一体どんな連中なのか。それは本当に天使なのか非常に疑問である。
「まあ、そんな事よりあなたは転生しますか?正直あなたみたいなゴミに時間をかけるのは嫌なので早く返答して欲しいのですが。全く何故蛆虫なんかに時間をかけなくてはいけないのでしょう。本当に理解できま……」
「転生で。」
「……は?」
「いや、だから転生で。元の世界には未練は少ししかないし。」
「……早く終わるのはこちらの望む所ですが…まあいいでしょう。では転生に関していくつか説明があります。まず、転生後の種族は人間とは限りません。」
「つまりエルフだとかドワーフだとかになるかもしれないということか。」
「ええ、他にもオークやゴブリン、獣人にドラゴンなどになることもあります。どの種族になるかはこのサイコロで決めます。」といいながら玉座の後から大きなサイコロを取り出す。なんかごき●んようで使われてそうな見た目だが、その表面にはなにも書いていなかった。
「なにも書いてないように見えるのだが…?」
「転がして止まった時に文字が浮き出るようになっています。ちなみになれる可能性がある種族は千種類以上あるらしいですが……まあどんなものかはよく知りません」サイコロである必要はあったのだろうか。
「振り直しは2回まで認められているので、さっさと振ってください」適当にも程があるだろとぼやきつつサイコロを持ち上げて思い切り投げる。サイコロは2回ほど跳ねて止まった。そこに浮かんできた文字は…
「ゴキブリですね。あなたによくお似合いですよ。」
「……そうだったな。俺こういう運が絡むやつは大抵駄目だったな……」しかしゴキブリとか何故転生先にあるのだろう。なったやつはいたのだろうか。ともかく振り直すことにする。今度は…
「……ミミズですか。あなた呪われてませんか?」
「……俺が聞きたいよ。」最後の希望をかけてサイコロを転がす。そして浮かんだ文字は……
「……ゴライアス?何じゃそりゃ?」
「さぁ?確か魔物の種類だったと思いますが覚えていません。まあ、種族も決まった事ですし次の説明に入ります。転生後あなたは自由に暮らして結構です。その世界に行く時にあなたにはその世界の言語と文字を理解できる力も与えますし、一応多少能力は高めにしてあげます。感涙にむせび泣いてもいいですよ?」ようは翻訳こんにゃくを食べた状態で自由に暮らしていいということしい。
「あとこのステータスカードというアイテムをあげます。このアイテムはあなたの身体能力を数値で表してくれる他、スキルなども表示します。」RPGのステータス欄のようなものらしい。
「最後にあなたの転生先の世界は今現在魔王が世界征服してる最中です。あなたが無様に死ぬのを楽しみに待っていますよ。」とガブリエルは微笑む。性格以外は完璧なだけにとても残念である。「てか魔王って何だ、魔王って。」
「後は転生後ゆっくりその無価値な自分の眼球で確認してください。それではいってらっしゃい」その言葉を聞いた途端、洋の視界は再びブラックアウトした。
どうやって続けよう……。