2/5
時に少年よ
時に
私の前を
せっせか せっせか 追い越されないように
早歩きしている 少年よ
私は別に
君を抜かしたい訳じゃあない
ただ 君の小さな足と
私の大きい脚とじゃ
私の方が勝ちすぎて
君を追い詰めてしまうだけなのだ
時に
私の後ろを
ついには走り出して
追いかけはじめた 少年よ
私は別に
歩く速度を速めた訳じゃあない
ただ 一生懸命に追いかけてくる君の
たたぱたり たたぱたりする 足音が
どうにも私を急かすようで
つい 速く歩いてしまうだけなのだ
時に
やっぱりなんだか悪い気がして
わざとゆっくり歩いた私を
得意げに
追い越してしまった少年よ
いつしか君は
私の背なんかをゆうに追い越して
私の大きな足なんかを
小さくしてしまうのだろう
どうか そのときまでにと
やっぱり私は
この大きな足で
君のことを 追い越すのだ