アマチュア作家たち
パソコンの普及も助長して、いま全国に五万と言われるアマチュア作家の書き手たちが存在する。そして徐々に、従来の紙の本から電子書籍へと移行してゆく。インターネットの世界では、各種の小説サイトやブログなどで色々な大賞を設け、それにエントリーした人達の中から上位の者に賞金を授与したり、また新刊本や漫画コミックへと発展させるケースも多々ある。
近年までの、手書きの400字詰原稿用紙の完成品を持ち回り、アポをとって出版社の編集者と会い、それを売り込む… といった時代からみると、大きくその手段が変貌してきている。
遠い昔なら、このように現在定着しつつあるネット上でのこれらの書籍化にも似たような手段や方法は、せいぜい直木賞や芥川賞しかなかったと思う。
時代の変化とともに、きっとこれはどんどんエスカレートしていくことだろう。いや、それが悪いと言っている訳ではない。むしろたいへん合理的な変化といえよう。
ただきっと、これからの作家志望者たちは、パソコンで巧みな人を唸らせる文章も作成できなければならない、手書きの原稿も書けなければならない、同時に自分の創った作品の編集もできなければならない、そうなってくると思われる。悪い言い方をすれば、何でも有りの、掛け持ちのできる便利屋にならなければならない。
いま言ったサイト等の大賞に近づくため、それに投稿したアマチュア作家たちは、毎日自分の作品の順位を上げるため、知人などへの投票の呼びかけに四苦八苦し、必死の努力で半ば拝み倒す。
だがこうなってくると、作品の本来の良さや出来栄え! のようなものは何処かに追いやられてしまう。知り合いの多い者だけが勝ち残る、ただ点数稼ぎに長けている者だけが浮かばれ生き残る世界に堕落してしまう。それは本当の実力ではなく、単なる友人・知人の多さにしか匹敵しないであろう。
それでいいのだろうか?