「荒(すさ)んだ心が洗われるようだ……」
ふと自宅で CS ( Communication Satellites ) 放送のスイッチを入れたとき、たまたま昔懐かしい『まんが日本昔ばなし』が入っていた。題名は「姥捨て山」。何気なくみていた。
言うまでもなく「口減らし」のため、やむを得ず若い命を優先させ、年寄りを山へ連れて行く日本特有の古くからのならわし。
お殿様から勅令が出て、仕方なく母を山に連れて行き、置き去りにしたままその帰り道に雪に見舞われた息子は、ふと我にかえる。「女手ひとつで懸命に育ててくれた母を、やっぱりこの寒いなか置き去りになんか出来ない」と迎えに引き返す。
しばらくは見つからないようにと母を家の地下にかくまう。
その後の殿様からの無理難題なご用達に応えるのに、息子は母の知恵を借りる。2つほど用件を叶えたときに、母をかくまっていることが殿様にバレてしまう。
命令に逆らったとして、殿様は刀で息子を斬り捨てようとする。
「私はどうなっても構いませんからお願いです。母を助けてやってください。長く生きた年寄りの知恵は役に立ち大切です」
ハッとした殿様は刀をおさめた、という話。
ささやかなまんが物語であったが、いつの間にか目に涙していた。(自分の心は、まだ腐り果ててはいないようだ)
失われそうになっている忘れてはならない大切な何か、を思い起こさせられた気がした。




