第三話 意味
風の竜を倒すために旅に出た少女アリアは途中、全裸の少年リュウトに出会った。途中、飛竜に襲われつつもこれを回避。着る服も無事手に入れて、二人の旅ははじまったばかりだ!
切り立った山の上で、リュウトはもう一度辺りを見渡す。見渡す限り、森、森、森。
そしてここは森の中にポツンとある、切り立った山の上だ。
乾燥した空気が、肌に痛い。しかし生まれ育った街とは違って空気が美味しい。
頂上まであと少し。だがここにはさっき出会った飛竜や、それ以外のモンスターも多数棲息しているという。緊張感を持って進んで行かねばならない。
山はポツンとあると言ったが、さらに注意深く目を凝らすと、この山と同じように切り立った山が他にもあるのがうっすら見える。
そして山々のちょうど中心の位置に、天空を貫いてなお先が見えない高く高く聳え立つ塔があるのが見えた。塔の周りには飛竜がうじゃうじゃと群れて飛んでいる。いい雰囲気ではない。何か危険なものを閉じ込めているかのような、そんな塔。
「……ねえアリア、あの遠くにある塔、見える? 薄目でじっくり見ると見えるんだけど。あの塔は何? 飛竜が集まって見えるけど……」
塔を指刺して、尋ねる。
「あれは……。『運命の女神の塔』です。この世界を守っている運命の女神が祀られている聖域で、決して近付いてはならないとじいやから固く言われています」
「ふーん? 運命の女神かあ。運命の女神って、いい響きだね。でもなんか、そんないいのが居そうな雰囲気じゃないね。なんか禍々しいものが閉じ込められてても不思議なない雰囲気があるよ、あの塔。決して近付いてはならないって、誰も行くわけないって、あんな飛竜がうじゃうじゃ飛んでる危険なところ! あの塔に行くことになってたら、オレはすぐにでも君を連れて帰ってたね。あの塔はレベルが違うでしょ!」
「そうですね」
しかし、『運命』か。ベートーベンのジャ・ジャ・ジャ・ジャーンが頭の中で流れる。
『運命』はあるのかないのか。一度は皆考えたことがあるテーマを、リュウトもまた考えていたことがあった。
もし、『運命』が本当にあるのだとしたら、このリトレギア王国って国に来てしまった意味が、あるんだろうか? この、魔法を使えるようで使えない少女との出会いに意味があるんだろうか。それだけじゃない、今まであった過去の全部に意味があると言えてしまうのだろうか。
「イヤだなぁ……全部に意味があったら……。いちいち意味なんかあってたまるもんか。そんなの救われないよ」
ぐるぐる思考に陥りながら、つづらおりの山道をぐるぐる曲がって、やがて頂上に辿り着いた。
まるでペンの先のように切り立った山だった。頂上は狭い。そして、生き物の姿は――ネズミ一匹もいなかった。




