40/44
第三十八話 鳩琴
暗闇の中だ。
暗い、痛い……寒い、こわい……。
ここは、リュウトの精神空間。
誰か助けて……誰か……。
もうこれ以上大切な人を、失いたくないよ……。
暗闇の中、何かが聞こえてくる。
「♪〜」
……?
音楽が、聞こえる。
聞いたことがある音楽だ。
どこで聞いたんだっけ。
確かはじめてきいたときも、はじめて聞いた感じがしなかった。
どこか懐かしくて、どこかあたたかくて、どこか孤独で、どこか寂しくて……。
この旋律を、どこで聞いたのだったっけ。
とても大切な人との記憶だった気がする。
思い出せない。
でもこの楽器の音色なら、わかる。
これ、リコーダー……じゃ、ない。よく似てるけど。
これ、これは、オカリナだ……!
泣き止まないミクにプレゼントをしようと思って、買いに走ったオカリナだ。
自分の趣味だけでチョイスした、オカリナの音色だ!
オカリナを買って、何か一曲だけでも吹けるようになりたくて、いい感じのクラシックを探したんだ。
一生懸命音階をメモして、自転車で海に行って、メモした紙がくしゃくしゃになるまで練習した。
練習したのに、結局うまく吹けるようになることはなかった。
そのときの曲、たしかタイトルは……。




