第三十四話 階段
禁忌を破り、運命の女神の塔へ入ったリュウトは、アリアを救おうと螺旋階段を登っていく。
夢と同じ景色が続いて、
「……来た!」
やがて、降りてくる足音と対峙した。
降りてきたのは、女性だ。
『あの人』だ。この世界に来る前に、アリアより先に、この女性に出会っていた。
この人は、アリアを殺すように命じてくる。何故かはわからない。あの小さな子に何の力があるのか。
「…………おい。現実でも、また来てやったぜ! 会いたかったんだろ、オレに…………」
女神の塔の階段を降りて来たのは、ミクだった。
佐々木ミク。
リュウトの十歳年下の妹で、両親から可愛がられている。
ミクは天真爛漫に言った。
「お兄ちゃん、遅いよ〜。ずっと待ってたんだよ」
「……」
「どうしたの、お兄ちゃん。こわいかおして。みんなも、待ってたんだよ!」
螺旋階段の上階から、ぞろぞろと人が降りてくる。
お父さん、お母さん。クラスメイトのマサルやハルカ。
「……ふざけるなよ。もうわかってるんだよ! そんなの全部まやかしだ! だってそいつらもうとっくに死んでるからな!」
ミクは高速で一回転すると、今度はアリアの姿になった。
「うふふ……。やっぱりリュウトくんは、ミクより、こっちの姿の方が、好きでしょ? アリア♪ アリア♪ アレーティア」
「まあね。よくわかってるんじゃないか」
この世界に最初に出会った女性それは、運命の女神。この運命の女神の塔の主で、この世界を生み出した者。現実世界を生きるリュウトを気に入り、この世界に呼び寄せた者。




