表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天空の姫君と異世界の竜騎士  作者: しまいゆり
20/44

第十八話 算数

「よぉし、じゃあ合図したらオレが出発するから、十秒数えたら、じいや追いかけてきて。それじゃ行くよ! スタート!」




 リュウトは風竜を操ってスタートした。信じられないスピードだ。短期間で何故これほどまで成長したのか。




「ふふ、ソラリスの飛竜の方がもっと早かった。でも風竜は古竜なんだ。飛竜の上位種のドラゴンなんだ。風を操れるから、スピードもすぐ出る。行け、風竜! オレたちが、勝つぞ!」




 風竜はぐんぐんスピードをあげる。はじめの位置からもう見えなくなるほど離れた。


 じいやが、十秒数え終わった。




「リュウトさん、いつのまにあんなにドラゴン捌きが上手になったの? 高所恐怖症は、どこに行ったのよ。じいや、本当に大丈夫?」


「確かに、竜の個体差がありますからな。しかしあやつは大事なことをわかっておらん。もう既に敗北しているも同然じゃ」




 リュウトが後ろを振り向く。じいやだ。十秒で随分離したと思ったのにもうそこまで追いかけてきている。じいやの方が、スピードは上だ。


 


 算数の問題だ。


 


【問い、一】


 リュウトさんは爆速で出発しました。その十秒後、じいやさんは超高速で追いかけました。何秒後に追いつきますか。


答えは。




「ふははは、リュウト殿! スピード勝負でもありませんでしたな! このままでは、追いついてしまいますぞ!」


「ふん、バカなじいやだ。ただのスピード勝負じゃ、ないぜ!」




 リュウトは風竜に合図した。風竜は、進行方向を変え、森の中に潜る。




「!? 何!? 森の中だと!?」




 どうだ、やってやったぜ!


 風竜は森の木々をかわしながらでもスピードを落とさずに進める。風を操って木々をどかせるからな。慌てふためいた姿を見てやれないのは残念だが、この勝負、オレの勝ちだ! 森の中に潜みながら風竜を操るリュウトは勝利を確信した。


 


 もうすぐ、三分になる。




「よし、風竜、上がれ! じいやに勝利をみせつけてやろう!」




 風竜は、森を垂直に駆け抜け、上空に再び戻った。




「!? 何ィ!?」


「わしの勝ちじゃな、リュウト殿」




 森を出た風竜のさらに頭上に、じいやが待ち構えていた。じいやは持っていた槍の柄尻で、リュウトの背中をトン、と突いた。


 リュウトの、負けだ。あんなに調子に乗っていたのに。




「えーーーっ!? ま、ま、ま、負けたーーーーっ!」


「ふはははははは! 面白い勝負だった。考えたな、森に潜伏するとは。しかし勝負がはじまる前に、お前はもう負けていたよ。それはなんだと思う?」


「うう……。やっぱり、調子に乗りすぎたこと?」




 じいやは、吹き出した。予想外の返答だったらしい。




「ま、それもあるな。しかしな、答えは『協調性』じゃ。騎士は団体行動をするからな、ああいった身勝手な行動にでる者から、死んでいく。これまで見てきたどの世代でも例外なくそうじゃった!」


「げ! 学校みたいなこと言うんだなあじいや。協調性ってさあ。オレは思うに協調性がないことも個性だと思うんだよね。もしみんながみんな協調性があったら、そのチームは全滅すると思う。でも協調性がない奴が一人でもいれば、そいつだけは生き延びれるじゃない。間違ってること言ってるかな?」


「ああいえばこういう奴じゃな。お前はやはり、口は達者だが視野が狭い。例えばじゃ、チームで敵に居場所が見つからないように潜伏してたとして、たった一人の協調性のない奴が勝手に飛び出したらどうなる? そいつ一人のためだけに大勢が犠牲になることもある。視野を増やしなさい、リュウト殿。あらゆる視点から物事を考えられるようになることが、強くなると言うことじゃ」


「ううーん……。ディベートみたい。口でも言い負かされた気がする。素直に、反省する。やっぱり、じいやは、すごいよ。そうだね。その言葉、忘れないようにする。強くなることは、あらゆる視点から物事を考えられるようになること、か。確かに、その通りだ。強いって、筋トレとかするだけじゃないね。実践と精神を伴わなければ強くはなれないね」


「うむ、わかっておるな。よろしい!」




 それから、リュウトは大人しくじいやの特訓に付き合った。日が暮れだし、そろそろ城に戻ろうかというとき、王城とは逆方向の森から、巨大な衝撃音が聞こえた。鳥が飛び、飛竜の群れが暴れている。




「あれは?」




 衝撃音は一回だけではなかった。三回、四回、連続して何かが爆発するような音が聞こえてくる。何か不穏な気配だ。




「じいや、何が起きている?」


「いや、わしにもわからん。」


「行ってみましょう!」




 三人は空を進み、音の聞こえてくる場所へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ