表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/6

ふわふわな魔王のゆううつ



 人里から離れた所に、空に届くほどの巨大な木々が育つ『大樹の森』があります。

 その森の奥の奥。お菓子の家のような、カラフルで可愛らしいちいさなお家がひとつあります。そこには、不思議で可愛らしい家族が住んでいます。



「ふふ♪ルッシーは今日もかわいいね~♡」

「……あぁ、忌々しい。これなら、殺された方がましだ…」

「まーまーそう言わず~……ぎゅ~っ♡」


 そう言ってネコミミのフードを被った少女、ミリルリ・マリルゥ・シェリーは、くまのぬいぐるみをぎゅーっと抱きしめた。

 ちいさくてまあるい耳。その耳の間には、ちいさな角が2つあり、口からはちょこんと牙が出ていて。つぶらな瞳で、おしりにはまあるくてぴこぴことした愛らしいシッポがあって。背中には、ちいさなコウモリの黒い翼のようなものが生えてて、ふわふわで可愛らしい黒いくまのぬいぐるみ。

 その、ふわふわで可愛らしいぬいぐるみの正体は──……元魔王のギルシェルルだった。


「ぐふっ!放せ、小娘!」

「やだぁ~ルッシーかわいいもーん!」

「誰がかわいいだと!ふざけるな!私を誰だと思ってる?!」

「かわいいくまのぬいぐるみのルッシー」

「殺すぞ!」


 ルッシーことギルシェルルは、この世を支配していた魔王──……だったが、ある日、魔法使いの少女シェリーが現れ、ギルシェルルはシェリーの魔法によって、ふわふわの可愛らしいぬいぐるみにされたのだ。


「いい加減放せ!小娘っ!」


 じたばたと、シェリーの胸の中で暴れるギルシェルル。ふわふわでまあるい手足がばたつく姿に『この世の最悪』と呼ばれ、人々に恐れ戦かれていた魔王の姿など、何処にもなかった。


「ああ……なんて惨めななりだ……」


 ギルシェルルは、自身のふわふわなボディを見下ろしながら嘆息した……




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ