掘り起こしてきたやつ(導入部分のみ)
改めて、
10年ほど前にとある場所で書いて公開していた拙作の修正版となります。
見たいとの声があったので拾ってきました。
今どきありきたりで似たような話も多いかもしれませんが、良かったらどうぞ。
(物語全体の1/15くらい?の掲載なのでモヤっとするかもしれませんが、、、一応、後書きに続き気になる方向けに簡易ストーリー置いてあります)
『誰よりも見えていた男の子と見るべき物が分からなかった女の子
盲目となり、全てを諦めた男の子と、異形故に存在が否定された女の子がいました。
男の子は世界に絶望し、あらゆるものを否定し続け、そして周りから誰もいなくなってしばらくの時が経過していました。
女の子は苛烈ないじめや扱いに耐えられなくなり、もう死んでしまおうと思って住んでいた所を飛び出しました。
そして2人は出会いました。
女の子は自分の姿を見られると気持ち悪がられると思い、反射的に逃げようとしました。
しかし、周りに誰もいなくなってしまった男の子は久しぶりの人との出会いに感動し、つい「こんにちは、どうしたの?」と話しかけてしまいました。
女の子は人から向けられる視線や言葉に敏感です。
ですから、こんなにも期待や喜びに溢れた"言葉"をかけられるのは初めてで、逃げようとしていたことも忘れ、つい「私が怖くないの?」と返事をしてしまいました。
盲目の男の子も光を失ってからそれなりの時間が経ちます。
会話している人がどんな人か、善悪くらいは汲み取れる程度の感覚の鋭さは持っているつもりです。
だから『彼女は悪い人ではない』そう感覚的に分かったから、まるで想像していなかった反応を返した彼女にとても驚きました。そしてそれ以上に興味を持ちました。
「怖くなんかないさ、むしろ怖いのは僕の方だろう?」
荒れていた頃の男の子の話はこのあたりではかなり有名であり、皮肉げに言いました。
女の子はただ生きる事ですらも苦労と苦痛だけで埋め尽くされていて、人生でただの1人も仲の良い存在などできた事が無く、誰よりも世情に疎かったため、当然女の子は彼の噂一つすら聞いたことはありませんでした。
女の子は男の子の目が見えていないことに気が付きました。
そして女の子は「え? 怖くなんかないよ?」とただ純粋にそう答えました。
男の子は女の子のそのたった一言に救われた気がしました。
同じような言葉を掛けてくれる人は今までも沢山いました。
男の子は盲目になる前、芸術に関して神童と呼ばれるほどの才を見せ、将来を期待されていました。
そんな男の子には盲目になった後も優しい言葉をかけ、近付いてくる人は後を立ちませんでした。
そんな暗闇の中で育ったからこそ、人の善悪が分かるようになり、より絶望しました。
だからこそ、女の子のそんな純粋な一言に輝きを感じました。
同時に、女の子の立場がとても弱いものであることも分かってしまいました。
人間という種族は自分とは違う容姿を持つ異種族や異種族との混血を酷く嫌悪し、差別していました。
女の子には目立つ大きな角が生えていました。肌の一部には鱗がありました。
両親はいません。他の家族も知りません。
女の子の事をまるで奴隷か道具としてしか見ていないようなとても居心地の悪い、"親戚"だと名乗る人の家で暮らしていました。
その家は女の子にとって帰りたい場所とは言えないとても悲惨な場所でした。
だからこそ、そんな異形の女の子は男の子の「僕の家に来ないか」という一言に希望を感じずにはいられませんでした。
女の子に迷いはありませんでした。
「うん」自分でも驚くくらい素直にその言葉は出ました。
そして2人は男の子の家へ向かいました。
男の子は貴族の息子で、それなりに立派なお屋敷に住んでいました。
男の子にとってその屋敷は自分の城でした。
町外れの山を少し登ったところにある、誰も寄り付かない寄せ付けない彼の城であり檻でした。
自分以外の誰かを入れるのは一体いつぶりだろうか、そう考えると今までに感じたことのない何かを感じました。
屋敷に着くと女の子が一言「家の人は?」そう聞きました。
男の子は苦笑いをしながら「みんないなくなったよ、1人で暮らしてる」そう返しました。
女の子はそこに自分の暗さと似たものを見たように感じ、それ以上は聞けませんでした。
ふと「ご飯はどうしているの?」と聞いてみると
「お金はたくさんあるからさ、運びの人に"新聞"とかいう世の中の事を書いてある紙と一緒にパンや果物をいつも運んでもらってる」なんて答えが返り、
女の子は「その人とは仲がいいの?」と
男の子は「いつも離れに置いてもらってる、会ったこともない」と。
この人は優しそうな人なのに周りには誰もいないんだ。
そう思うと、"安心"と共に変な感覚を覚え、今度は女の子が苦笑いをしてしまいました。
そして女の子と男の子はそれぞれにこれからどんな生活が待っているのか、今までの生活よりは悪くなる事はないと確信仕切っているのか、期待を大きく膨らませていました。
その日の晩の事。
女の子が初めて屋敷で食べる食事。
家では召使いのように、奴隷のように扱われていた女の子にとって自分で作らなくていい、何かの御褒美でもない、初めての本当にただの食事。
普通なら感動でも覚えたのかもしれませんが、あまりにも質素なパンと水、そして適当におかれた申し訳程度の果物。
女の子は男の子に言いました。
「その運び屋さんに頼んで食材も運んでもらえないかな……?」
男の子は「君は料理ができるのか!すごいな!!」と年齢相応な元気な驚き方をしてくれた。
「離れに置き紙でもしてみよう」男の子はそう言ってくれた。
女の子はやはりどうしても男の子は悪い人には見えず、何でこの人は1人なんだろう。
何度もそう思わずにはいられませんでした。
2人はお互いの事をもっと知りたい、興味を抑えてはいられませんでした。
置き紙をし、男の子にとっては当然の、女の子にとっては最後が何時だったかを思い出すことすらできなかった湯浴みをし、今日はもう寝ようという話になりました。
女の子は何ともない顔で広間の床や玄関の前で寝ると言います。
男の子にとっては信じられない行為で止めずにいられません。
「使ってなくて少し誇りっぽいかもだけど」そういって女の子にとってはあまりにも豪華な部屋を案内しました。
女の子の過ごしてた物置より遥かに綺麗でした。
■■「2人はそれぞれ夢を見ます。それははたして明日への期待なのか、未来への希望なのか……。
しかし、ここから先は代償の物語。
これは、ハッピーエンドとは言えない、ただの2人の皮肉めいた哀の物語です。
世界に絶望した男の子と世界に怯え続ける女の子の話なのです。」
2人はなんら問題なく、お互いがお互いの事を探り探りで暮らしていた。
女の子に取ってはある意味夢のような生活。
男の子に取っては一度失った希望の中の生活。
まさに幸せと呼べるような時間を過ごせていたのではないか。
女の子は盲目の男の子に『酷い顔をした女の子なのかな?』なんて思われてるのかな、そうだったらまだ、マシかな。
そう思っていた。
実際、その頃男の子は女の子の「怖くないの?」という発言からそう考えていた。
男の子は自分の事を知らないという女の子が自分の事を『金のあるただの坊ちゃん』そう考えてるのかな、荒れていたあの頃を知られるよりはその方がマシかな、そう思っていた。
しかし女の子はまだ、『優しい良い人』としか考えていなかった。
生活を続けていくうち、女の子は新聞に興味を持った。
ただ、「町の落し物、迷子情報」そんな掲載に、いつか自分が書かれることがあるのかな、書かれた時、あの家の人達はどんな思いをするのかな。
そんな程度の興味だ。
ふと、女の子は男の子に「過去の分もあるの?」と聞くと男の子は「どこか奥の方に転がってると思う」そう言われ、探すついでに『ここにいる意味』として検討していた仕事の一つ、掃除をすることにした。
入ることを禁じられている二つの部屋以外の掃除を済ませ、見つけた過去の新聞を流し読みしていたらふと、絵の具で汚れた記事が載っていた。
『稀代の天才』そんな一言とともに絵の具で塗り潰された人とその人の描いた絵が載っていた。
彼に入るなと言われていた部屋、ドアの下から飛び出した絵の具、隙間から激しく香る絵の具の独特な匂い、そしてたまたま見つける事ができた、過去について語らない彼に関わる数少ない痕跡の残る汚れた新聞の記事。
2人の中で停滞していた時間が動き出した気がした。
ある日、女の子は男の子に「絵を描いてよ」そう言った。
男の子は驚きを隠すことなんてできなかった。
過去がバレた事、そして光を失った今の彼に向かって言う事、なにより女の子は新聞で彼の荒れた姿を知りながら話しかけたという事
『落ちた天才』『若すぎる引退』『天才から無能へ』そんな記事を見つめながら女の子は男の子に言った。
「私にはなんの才能もないけど、そんな私が言うのも失礼だと思うけど、"ある"あなたが諦めるのは何か勿体ないと思う」
そんな言葉で、気持ちで、どうにかなる話な訳が無い。
男の子は途端に全てが馬鹿らしく感じた。そう思った。
ただ、そんな女の子の言葉、そんな女の子との出会いに少なからず希望を感じていたのかもしれない。
完全に諦めていたはずなのに、「この世に希望なんてない、絶望しかないんだ」と諦めていたはずの男の子はまた絵を描き始めた。
それは一時の気の迷いだったのかもしれない。
それでも女の子には男の子が輝いて見えた。
男の子が絶望と再び向かい合い、戦う姿に言い知れぬ感情を覚えた。
「だったらこっちもお願いがある。歌を、歌ってくれないか?」
男の子は女の子の声が好きだった。
男の子が得られる数少ない女の子の情報、それだけではない何かを感じていた。
男の子は女の子の歌が聞いてみたいと思った。
だが女の子は「歌を歌う機会なんて無かったから」歌い方を知らないという。
男の子は「みよう見まねでいいんだよ、さぁ歌ってみよう」
そう言い、女の子に歌ってもらった。
鼻歌のような、それでいてどこかズレている、変な歌だった。
だけどそれで十分だった。男の子はここまで綺麗な歌を聞いたことは無かった。
それからの生活は簡単に想像できるものだった。
男の子は「今の僕は思いで描く」そう言いながら筆を持ち、
女の子は掃除や料理をしながら歌の練習をする日々が続いた。
女の子にとって他人に褒めてもらえた、あの男の子に褒めてもらえた歌はかけがえの無いものになった。
いままで用が無いからと掃除の手が回っていなかった地下室の掃除をしていた時、とても大切そうなお守りを見つけた。
男の子に伝えると「それは先祖から伝わってきた願いを叶えるお守りらしい」と答えた。
女の子は「じゃあ2人にこれから明るい未来が待ってるようにって願う?」そう聞くと
男の子は「前にも願った事があるけど神様なんて約立たずなんだ、そんな奴に願うくらいなら僕は自分で掴み取るよ」そう、筆を握りしめて言った。
前の絵の具臭かった部屋、初めて入った時は歩く場所も無かった、でも今ではかなり片付いた方だと思う。
男の子が絵をまた描き始めた時、この部屋にも入れてもらえるようになった。
それでもまだ入れてもらない一つだけの部屋、気になって仕方がない。
男の子は目が見えなくとも、何枚も絵を描いた。
女の子が見ても分かるくらい綺麗な絵だ。
男の子は「これは君の心だ」そう言った。
女の子は恥ずかしくなった。顔を見られなくて良かったと思った。
彼は描いた絵のうち、女の子に見せない絵がある。そしてそれは決まって女の子に入るなと言った部屋に持っていく。
女の子は『見てみたいな、きっと素敵な絵なんだろうな。いつか見せてくれるよね』そんな考えだった。
男の子は女の子の前では明るく振舞っているが、絵を描いているとたまに、挫けそうになってしまう。
そんな時、屋敷のどこからか聞こえてくる女の子の綺麗な歌に力をもらうことができた。
ただ、女の子は1人の時に、たまに悲しい歌を歌っていた。
男の子には何を歌っているのかまでは、聞き取れなかった。
しばらくして、蓄音石と再生箱という音を保存する道具と再生できる道具を用意することができた。
女の子に歌を録ってもらっては絵を描きながら流した。
女の子は恥ずかしいと言うが男の子は絶対に止めなかった。
女の子はたまに録音したもので男の子に聴かせてくれない物があった。
男の子は『失敗したのかな?それとも悲しい歌なのかな?前を向いた僕には毒だと思ったのかもしれない、君の歌ならそんなことないのに』そう考えていた。
男の子は絵を描き続けた、女の子との生活に幸せを感じていた、そうやって絶望に足掻いた、希望を描いた。
そんな男の子は次第に光を取り戻し初めていた。
ほんの少しずつ、ほんの少しずつ、
目が回復してきていた。
女の子は「おめでとう!!頑張った甲斐があったね!」そう言った。
男の子は素直に喜んだ、絶望に沈んでいた頃の自分なら気付いたはずの歪さに気付かずに。
光を取り戻し初めた彼は目の見えなかった頃の『相手の事が分かる鋭さ』を失っていた。
だから女の子の苦悩と葛藤には気付けなかった。
そして男の子はぼやけてだが目が見えるほどに回復し、
その後、光を失った。
原因は女の子だった。
完全に回復されてしまっては私の姿がバレてしまう、バレてしまったらいままでのままではいられない。
毒を盛ったのだ。
女の子は言った「残念だったね、治りそうだったのに……なんでだろうね……」
女の子は胸が締め付けられるような痛みを感じていた。
光を失った男の子は再び絶望した、絶望した男の子にとって、""鋭さを取り戻した""男の子にとって、
その女の子が放った言葉の真意は手に取るように分かってしまった。
女の子が原因だ。
男の子は絶望に潰された。
男の子は何も言わず部屋に篭り、願いを叶えるお守りに「あんな女の子死んでしまえばいい」
そう何度も願った。
だが、男の子の希望は、光は、決して消えてはいなかった。
僕はもともと目が見えなかった、それで絶望していた、そんな中であの女の子に輝きをもらったんじゃないか。
心の中に、確かに熱く燃える思いがある、今の僕は眼なんて見えなくても絵を描ける、女の子のおかげだ。
男の子は部屋を飛び出し、女の子の前に立ち、「ありがとう、治らなかったものは仕方ないよ、もともと見えなかったんだからね」そう言った。
女の子は男の子にバレているとは気付かず、"少し"安堵した。
しかし、女の子の胸から靄が消えることは無かった。
それどころか、次第に大きくなっていった。
掃除をしていてもまるで集中できず、遂には男の子が描きかけていた布の掛かっていた絵を倒してしまった。
布で隠されていた絵を見てしまった。
そこに描かれていたのは角の生えている女の子だった。
その瞬間、女の子は抑えきれなくなってしまった。
入るなと言われていた部屋に入った。
そこにあったのはたくさんの角のあるの女の子の絵だ。鱗のついた女の子の絵だ。
どれも自分なんかより遥かに綺麗で美しい見た目をした絵だった。
そして、後に描かれたと思われる絵ほど女の子に似てきている。
とある絵には端のほうに汚い文字で『僕の好きな女の子』そう描かれていた。
女の子は涙を止めることができなかった。
「私はこんなに綺麗じゃないよ、こんなにも心まで醜い」
目の見えない男の子、しかし、ハッキリと私を描いていた。
私の事をずっと"心"で見ていてくれた。
彼がとても綺麗な絵を「君の心だ」と、そう言ってくれたのを思い出した。
女の子は男の子の元へ走り出した。
「ねぇ」
「どうしたんだい?」
「一緒に願いごと、しようよ」
「前にも言ったが「だからこそ、しようよ」
「仕方ないな」
世界に絶望し、しかし希望に救われた男の子は願った
「どうか、この女の子を幸せにしてくれ、この女の子の願いを叶えてくれ」
世界に怯え続け、怯えるが故に希望の光に救われなかった、そうして男の子の光を奪ってしまった女の子は願う
「私は死んでしまってもいい、だからあの人の、男の子の光を取り戻して欲しい」と
神は願いを叶えた
叶えてしまった
ただ"1つ"の願いを。
男の子の願いは女の子を殺してしまった。
そして、男の子は光を取り戻した。
目を開けた彼の目に映ったのはとても綺麗な少し特徴的な女の子だった。
自分が思い描き、どうしても描ききれなかった、素敵な女の子が静かにそこにいた。
女の子を失ってしまった男の子は、耐えきれなかった。
』
男は言う
「これは、違う」
「おかしいだろっ!? 違和感に気が付かないのか???」
「こんなにも都合のいい偶然が連続で起こるものか!?」
「まるで誰かに操作されているような・・・・・・」
「明らかに足りていない行間がある。明らかに"気持ち"や"想い"にちぐはぐなところがある!」
「誰かに、歪められているのか・・・・・・?」
続きがあと5章くらいありますが上げるかは現状未定です。
↓
上げる予定無いので下に簡単にまとめておきます。
単語や語り口などに気になる部分があるかもしれませんが、大体はテキトーかわざとです。
元を知ってる人のために主な修正箇所
内容 → マイルドに
女の子 → 種族変更
男の子 → 設定変更
男 → 詳細な人格を設定
時代 → 古めに変更
文量 → 2/3ほどに削減
◆続き
1.運び屋の男視点で、生い立ちから今何故男の子の所への運びを行っているかの経緯の話
2.2人の死体、そして傍にあったこの世の物とは思えないほど美しい絵とまるで天使がそこにいるかと錯覚してしまうほど綺麗で響き渡る歌声が録音された石を見つける話
3.人ならざるものを描いた絵と、生きる辛さと差別への悲しみを唄う歌の持つ魅力は凄まじく、あまりにも簡単に人々の心に染み渡る話
4.世界から差別が無くなっていき、英雄譚や幸せや奇跡の物語として綴られてしまう話
5.運び屋の男は気付き、男の子と女の子にとって外の世界はどうでもいいことで、あの2人だけの世界が全てだったこと、2人は何も救われてないことを説いて回る話
6.運び屋の男は叫び続ける。男の子と女の子の圧倒的魅力を持つ作品の前にはあまりにも小さく無力だったが、『1.』で語られた運び屋の男が助けてきた多くの人が逆に助けてくれる話
7.理と代償の話(世界の流れと仕組みについて)
8.世界の意思に背く話(正義はどこにあるのか)
9.反逆者達の話(正義を示す)
10.神の話(曲がった部分、本当の部分、望まれた部分)
11.辻褄合わせの話(都合のいい偶然について、2人の出会いや感情や毒などの伏線回収)
12.救済の話(2人のためか、男のためか、世界のためか、それとも?)
13.女の子と男の子が"いる"世界、異種への差別がより過激になった世界。女の子は歌を歌えなくなっていた。男の子は絵を描けなくなってしまっていた。男の子の目に光は戻らない、世界の女の子への風当たりは更に強くなっていたという話
14.1度は希望を見せてくれた世界、1度は絶望とともに沈んだ世界。今度は自分達で変えてやる。子供2人の小さな火種だ、とてもとても小さな。だが確かに、絶対に消えないほどに熱く強く燃えている。やがて世界は大きな劫火に包まれるだろう。2人はいつも、いつまでも笑顔だった。そんな話
(終わり)
男の子と女の子が救済されたようで苦しみは残っており、更に言えば2人のために苦心した運び屋の男の本当の望みは"2人の平穏な生活"なので2人の行動は見当違いであり誰一人救われていないという少し皮肉気な終わり方です。
おまけ話として暖かいものも書いたりしました。
◆料理
女の子は奴隷として沢山の料理を作ってきた、だから料理には自信があった。
だが、男の子の「どこか冷たい感じがする」という発言で気付く、女の子はいままで『本気で美味しいと思う料理』を作った事が無いのだ。
女の子はちゃんと料理を勉強しよう、そう思った。
誰かのために料理をしよう、『おいしい』って、そう言ってもらえるように…… という話
◆クリスマス
それは女の子が屋敷に来てから初めて迎える女の子が一番嫌いな季節。
奴隷だった頃は床の上が寝床だった、寝るなら玄関の前で呼び鈴の代わりをしながら寝ろと言われることもあった。
まっとうな衣類などもらえるわけもなく、当然、冬は理不尽で苦手で一番嫌いだった。
しかし今年は…… という話
◆私服って?
女の子にとって服は汚い体や視界に入れたら怒られる鱗などを隠すための物、でも屋敷で見つけた服達はそんな女の子に衝撃と感動を与えた。
そしてある日掃除中に見つけた服屋の広告が気になってしまい……!? という話
他にもいくつか書きましたが忘れてしまったので気が向けばいつか掘り起こして上げることもあるかもしれません。