表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/583

第90話 【会議・1】


 お泊り会から数日後、俺は護衛の任務である筈の学園がある日に城に残っていた。

 その理由は、この数ヵ月ずっと調査をしてきた元俺の家についての報告を聞く為だ。


「ジン君、準備が出来ました」


「はい」


 準備が出来るのを部屋で待機していた俺は、メイドに呼ばれ部屋を出て会議室へと移動した。

 扉をノックして中に入ると、沢山の人が居た。

 国王、宰相、大臣、他にも国の運営に欠かせない人達が大勢集まっていた。

 こんな国のトップが集まる中、俺が居るの違和感を感じる。


「それでは、これよりラージニア家の調査報告をはじめさせていただきます」


 司会役はゼフが担当して、資料を手元に配られそれを見ながらゼフの言葉を聞いた。

 うわ~、かなり調べられてる。

 これゲーム時代より調べられてるんじゃね? 毒薬の入手経路から、毒薬に関わった人物。

 更に、ジンの母親の事件以外の事まで事細かく調べられてる。


「……これがあのラージニア家ですか。落ちる所まで落ちていたようですね」


 そう言ったのは、少し前までラージニア家と深いと言っていいのか微妙な関わり方をしていたノヴェルさんだった。

 その表情は冷たく、一目見ただけでブルリと体が震えた。

 そのノヴェルさんの様子にゼフも気づき、「殺気、抑えてください」としていた。


「しかし、分かりませんね。何故、ラージニア家はここまでの事をしたのでしょうか?」


「侯爵家であり、歴史も古い家、領地も広く金に困った様子も無いですよね」


「落ちてしまう要素が見当たらないのが不思議です」


 貴族の長達はそれぞれそう言うと、視線は自然と俺の方へと集まって来た。

 いやいや、俺が知ってたらおかしいでしょ? 家に居た頃は別宅で過ごさせられてたんだから……。


「あの、一応言っておきますけど俺は何も知らないですよ? 資料にも書かれている通り、俺は生まれてから殆ど別宅で過ごしてきたので家の事はそんなにしりません。毒薬も偶々見つけただけなので」


「ジンさんの言葉は本当です。調べた限り、ジンさんは生まれた時から別宅に住まわされていたので何も知らないと思います。それは今回の調査に協力した者が証言しており、その言葉が嘘ではない事は既に分かっています」


「すまないが、その調査に協力した者とは誰か教えてもらえないのか? 資料にも書いていないが」


 ゼフの言葉に対して、貴族の長の一人がそう尋ねた。


「すみません。それをお答えするのは出来ません。調査に協力してくれる代わりに、穏便に姿を消したいというのが協力者の望みなので」


「安心するが良い。その者とは俺は一度会ってる。信頼できるとこの眼で確かめてある」


 ゼフの言葉に国王がそう続けて言うと、質問した貴族は「そうでしたか、それでしたらこれ以上は聞きません」と言ってそれ以上の質問はしなかった。


「他に質問がある方は居ますか? いないのでしたら、報告の続きを行いますが?」


「だったら儂も一つ良いか?」


「レーヴィン様、はいどうしましたか?」


 質問者は他に居ないかというゼフの言葉に、手を挙げたのはティアナの祖父であり、元魔法騎士団団長のレーヴィンだった。

 あの人がこんな会議に出席する何て珍しいな、ゲームではこの場に居なかったと思うが……。


「何故、こんな調査ばかりして件のラージニア家の当主は捕縛したりしてないのだ? 既に貴族としてやってはならん事もしておるだろ?」


「それについてですが、ご説明を致します。何故、未だにラージニア家の者達を捕縛していないのか。それは今も尚、泳がせて調査を続けているからです。これだけの事をしているラージニア家ですが、まだ隠している事があります。私等はそれを調査する為、彼等を泳がせている状況です」


「……まだこれ以上の事をしておるのか? それは本当なのか?」


「はい、調べれば調べるだけ出て来てそれを追っていた為、この場を開くのが予定よりも遅れてしまったのです」


 本来だったらこんなに長期間調査はするつもりは無かったと、俺は姫様経由で調査の事を聞いていて知っている。

 だけど調べて行くうちに隠されていた情報が更に出て来て、それらを調査していくうちに会議を開くのが遅れたと聞いていた。


「では逆にそこまでしてるのであれば、こんな会議も開かず捕まえた方が良いのではないか?」


 そんなレーヴィンの最もな意見に、他の貴族達も「確かに」と口にした。


「現在、分かっている事だけでも投獄するだけの理由はあります。しかし、捕まえてしまうと、調査中の事件は明るみになる事は無くなるでしょう」


「……ふむ、確かにその意見は分かるが。だとしても、ラージニア家の当主に気付かれ、逃げられるという可能性はないとは言い切れないだろ?」


「いえ、そちらに関しては大丈夫です。協力者の方のおかげでラージニア家の者達は、絶対に逃げる事は不可能な状況を作っています」


 レーヴィンの言葉にゼフがそう言い切ると、レーヴィンはそれ以上言わなくなった。

 しかし、協力者となった家の奴は相当、国の調査部隊に情報を渡しているようだな……。

 まあゲームでもそのキャラのおかげで、事件が明るみになった訳だが本当に考えが分からない。

 そう俺は協力者について頭を悩ませつつ、その後の話し合いを聞いた。

【作者からのお願い】

 作品を読んで面白い・続きが気になると思われましたら

 下記の評価・ブックマークをお願いします。

 作者の励みとなり、作品作りへのモチベーションに繋がります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] あの人がこんな会議に出席する何て珍しいな、ゲームではこの場に居なかったと思うが……。 本編始まってないはずなのにゲームにこのシーンあったって事?
[気になる点] 協力者について凄く引っ張るけど、普通に考えれば、初出のキャラなら引っ張る理由無いんだよね。 何の思い入れも無いキャラを勿体ぶって出しても、ふーん?で終わっちゃうし。 となると、既出の…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ