表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/583

第88話 【護衛の実力・1】


 そうして学園が休みの日、招待された二人は朝早くに到着した。


「フィーちゃん、今日は招待してくれて、ありがと~」


「姫様、今日は招待してくれてありがとうございます」


 城にやって来た二人は、姫様が待っていた部屋に来るとそう言って部屋に入った。


「フィーちゃんからお泊りのお誘いなんて本当に久しぶりで驚いたよ~。もうしないのかなって、ティアナちゃんと話してたんだよ?」


「学園に入ってから皆忙しくしてたから、誘い辛かったのよ。それに二人とは学園でもずっと居るし良いかなって、でもジュン達から外で会うのと家で遊ぶのはまた違うって言われて誘う事にしたのよ」


 そう姫様が言うと、ミリアーナは俺達の方を見て「ジュン君達が言ってくれたんだ! ありがとう」とお礼を言った。

 現在、俺とクロエは変装をして学園での姫様の護衛をしているジュンとクロになっている。

 城の兵士や従者達にもその事は言って、今日一日は俺達の事は〝姫様の護衛をしているジュンとクロ〟と扱う様にしてもらっている。


「姫様、部屋の様子は昔から変わりませんね。殺風景というか、生活する為だけの物しかありませんね」


「別に良いでしょ、それにティアナの部屋だってまだぬいぐるみが沢山あるんでしょ? 知ってるんだからね」


「そ、それは! へ、減りましたから昔に比べて!」


「でもベッドの上には沢山あるって聞いたわよ? それに未だに、くまさんのぬいぐるみが無いと寝れないって知ってるんだから、そこの大きなバッグの殆どはその子でしょ?」


 そう姫様はティアナが盛って来たバッグを見ながらそう言うと、サッとティアナは体で隠し「そんな事ありません!」と顔を赤く染めて叫んだ。


「あの二人、学園との様子に凄い違いがあるんですけど……」


「ティアナちゃんってほらいつも厳しいでしょ? フィーちゃん、やり返す機会があったらああしてティアナちゃんにやり返してるんだよ。まあ、結局後で説教されるんだけどね」


 そうミリアーナの言葉通り、姫様の攻撃ターンは直ぐに終わり、今度はティアナの説教が始まった。

 その間、俺とクロエはミリアーナとお話をして、説教が終わるのを待った。


「ティアナちゃん、お説教終わった~?」


「ええ、今日の所はこの位で良いです。ごめんなさい、お待たせしてしまって」


 ティアナはやりきったといった顔でそう言うと、説教をされていた姫様は「呼ばなきゃよかった……」と二人を呼んだ事を早速後悔していた。

 その後、ティータイムを挟み、今回呼んだ本題を二人に姫様は伝えた。


「えっ! ジュン君達の力、見せてくれるの?」


「ええ、二人がミリアがあんなに言うから、この二ヵ月仲良くしてれくたお礼にって良いって言ってくれたのよ。ティアナは、ミリアのおまけよ」


「おまけって何ですか……ですけど、私も正直お二人の強さは気になっていましたので、呼んでくれた事には感謝してます」


 ミリアは喜び、ティアナも姫様の言い方に少し文句を言いたそうにしながらそう言った。

 姫様、説教されて少し拗ねてるな……。


「姫様、そんな言い方してたらまた怒られますよ……」


「ジュンさんいいですよ。姫様の気持ちは分かりましたから、また時間がある時にたっぷりとお話ししようと思いますから」


 姫様に注意した俺に対して、ティアナはニコリと笑み浮かべながらそう言った。

 そんなティアナに対して姫様は、「ふ、ふん怖くないわよ」と強がって見せているが。

 ティアナから睨まれるとビクッと反応して、クッションを盾に「怖くないわよ!」と叫んだ。

 ……こんな姿、姫様が晒していいのだろうか。


「まあ、その強さは見せますけど、そこまで期待しないでくださいよ。いっても俺もクロも半人前、姫様達より3つも歳がしたので」


 そう俺は保険を掛けて、それから姫様達と共に場所を移動していつも訓練で使っている訓練場へとやって来た。

 いつもは兵士や他の人も息抜きで訓練をしていたりするのだが、今日に限っては姫様が使うと先に伝達されていたので俺達以外誰もいない状況だ。


「俺とクロ、剣術と魔法を得意としていますが。どちらから見たいですか?」


「う~ん……剣術かな~、特にジュン君の剣術はずっと見てみたいと思ってたから」


「私は魔法が気になりますが、ミリアーナさんが頼んだ事で見れるので先に後に我慢します」


 そう二人からの意見を聞いた俺とクロエは、それぞれ訓練用の剣をとり模擬戦闘をする事にした。


「ジュン君、お手柔らかにね。最近、こっちはあんまりだから」


「ああ、分かってる。俺もいつもの剣の形じゃないから、大丈夫だ」


 そうして審判役は、今回の話し合いの見守り役として付いているゼフがする事になった。

 俺とクロエの準備が出来てるのか確認を取り、ゼフは開始の合図を行った。


「ッ! ゆ、油断させておいて最初からその速度かよッ」


 開始早々、クロエは行き成り超スピードで俺に接近して攻撃を仕掛けて来た。


「先手必勝、ジュン君のペースになったら勝てないもん! いくら模擬戦闘とはいえ、負けたくは無いからね!」


 そういうクロエは更に速度を上げて、猛攻撃を放ってきた。

 しかし、俺はその攻撃を全て弾いて、徐々に俺のペースに持って行った。


「じゅ、ジュン君前より打ち合いの速度上がってる?」


「まあ、訓練してるからね。それに力ももっと込められるよ」


「わわっ!」


 そうして俺のペースに飲まれたクロエは、俺に剣を弾き飛ばされ「……負けました」と降参した。


「わ~、凄い! ジュン君の動きやっぱりすごかった! それにクロちゃんも、あんな凄い動きしてるジュン君について行けて驚いたよ!」


「前までは互角だったんですけどね……」


 ミリアーナの褒め言葉に対して、クロエは若干落ち込んだ様子でそう言うと、ミリアーナが「落ち込んでて可愛い~」と言って抱きしめた。

 そんな二人の様子を見ていた俺の方にティアナさんが近づいて来て、ジーと俺の事を見つめて来た。


「あの、どうかしました?」


「いえ、その凄い剣術だったなとは思うんですけど……ジュン君の魔力、かなり高い気がするのに魔法じゃなくて剣術が得意なのかなと……」


「あ~、成程。まあ、確かに魔力は人より多い方ですけど、別に剣術だけが得意とかではありませんよ」


 そう言った後、ミリアーナに抱き着かれ苦しそうにしていたクロエを救出して、今度は魔法の腕を二人に見せた。

 俺は一番得意な魔法の【光属性魔法】を見せ、クロエは最近ずっと訓練して以前よりも得意となった【風属性魔法】の魔法を二人に見せた。


「す、すごいです。こんな魔法、その歳で出来る方初めて見ました……ジュン君、少なくともスキルレベル3以上ですよね」


 魔法に詳しく、色んな魔法使いを見て来たティアナはミリアーナ以上に驚いた様子だ。

 普通、この年齢で使える魔法と言えば1か2、天才と呼ばれてる者でも3だろう。

 俺のスキルレベル4の魔法の力は、魔法使いが生涯をかけて辿り着くレベルの数値。

 魔法の天才だとしても3で止まる者も多く、3から4にあげるのはそれ程、難しいと言われている。


 そんな魔法をこの年齢で使えている俺に、ティアナは心の底から驚いているのだろう。

 というか普通、魔法を見ただけでスキルレベルがどのくらいか分からないのに、ティアナが勘付くのはマジで驚いたんだが……。


「そこに関して、秘密です。自分の力は隠す様にと、家族からも言われていますので、今回見せたのはミリアーナさん達の事を信じての事なので、言いふらしたりはしないでくださいね」


「ええ、そこは約束します……ですけど、これだけの魔法の力があるなら、お父様が知ってる筈ですけど……」


 ティアナは自分の父が俺達の様な魔法使いを見逃す筈がないのにと、少し疑いの目で俺達の事を見て来た。

 そんなティアナと話していると、ミリアーナは興奮した様子で「魔法も凄い腕だね!」と興奮した様子でクロエにまた抱き着いていた。

 そして俺は抱き着かれているクロエから、助けてという目で見られたので再びクロエの救出を行った。

【作者からのお願い】

 作品を読んで面白い・続きが気になると思われましたら

 下記の評価・ブックマークをお願いします。

 作者の励みとなり、作品作りへのモチベーションに繋がります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
この話でジンの名前が全てジュンになっています。
[良い点] テンポがよく、女の子キャラばかり出てくる割にデレデレだらだらがなくて読みやすいです。 [気になる点] >「まあ、その強さは見せますけど、そこまで期待しないでくださいよ。いっても俺もクロも…
[一言] 誤字脱字の報告です ティアナが持ってきたが、盛ってきたになっています。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ