第84話 【新たな装備・3】
王都に外に移動してきた俺達は、早速魔物と遭遇して戦闘態勢をとった。
ゴブリンか、流石に二人で戦ったらどっちも不完全燃焼で終わっちゃうな。
「クロエ、先に戦って良いよ。次見つけた魔物と俺は戦うから」
「良いの! ありがとうジン君!」
ずっと我慢していたクロエは、嬉しそうにそう言うと素早い動きでゴブリンへと斬りかかった。
この期間、クロエは特に剣術の訓練をしてる様子は無かったが、武器が変わった事で戦いやすくなったのか凄く軽やかに魔物を倒してしまった。
……あれ、剣術だけしか訓練してない俺より前より剣での戦いが上手くなってないか?
「ジン君、凄いよこの剣! もうなんだか色々と凄いよ!」
戦闘が終わると、クロエはそう興奮した様子で剣を持ちあげながらそう言った。
それから俺達は再び魔物を探し、数分経ってようやく三匹の魔物の集団を発見した。
「んじゃ、次は俺が戦うよ」
そう言って俺はまず片手剣の方で戦う為、刀は鞘に入れたまま魔物の前で構えた。
うん、この時点で前の剣との違いが分かる。
刀の方も軽いと感じたけど、こっちの剣も大分軽く感じる。
「——!」
「っと、もうちょっと待ってくれよ。今、剣の握りを確かめてるんだから」
目の前で剣を掲げたり、剣の作りを見ていた俺に魔物はイラついたのか襲い掛かって来た。
しかし、この辺の魔物の動き遅いのでサッと横に回避した。
そして回避したと同時に、力を入れて剣を振るうと、丁度魔物の頭部に直撃して一発で絶命した。
「……ちょっとしか力入れてないけど、一発で仕留めちまった。流石、リーザの武器だな」
そう感想を言いながら、俺は武器を刀へと変えた。
刀は先程使っていた剣より更に軽く、丁度良い長さで数回振り回し、その動きの良さに、こっちの方が使いやすいと俺は感じた。
「今度はいつもの訓練でやってる感じで、この刀を使ってみてみよう」
さっきは偶然、倒してしまったので俺はちゃんと刀を構え、魔物へと攻撃を仕掛けた。
魔物は一瞬で近づいた俺に反応すら出来ず、一瞬にして首を斬り飛ばされ絶命した。
続いて三匹目の魔物だが、仲間二匹がやられビビったのか、この場から逃げてしまった。
「あっ、こら待てよ!」
そう言い俺は軽く刀に魔力を流し振ると、剣先から斬撃が放たれ、魔物の頭部を切り落としてしまった。
「……この刀、ヤバすぎるだろ」
まさか魔力を少し流しただけで、アニメとかでよく見る〝飛ぶ斬撃〟を出せた事に、俺は自分でやっておきながら驚き固まってしまった。
いつかは、飛ぶ斬撃とか出してみたいな~とか思ってた。
だけど、こんな形で出せるとは思いもしなかった。
「ジン君! 最後のなにあれ!? 魔法使ったの?」
「いや、魔法では無いとは思う……少しだけ刀に魔力を流したけど、魔法を使ったわけじゃないんだ。この刀が色々とおかしいんだと思う」
驚くクロエに俺は、刀を見ながらそう説明した。
この刀、対人戦闘でもし使ったら、手を抜いたとしても殺してしまうな。
捕虜や生け捕りっていう依頼も偶にあるし、そう言う時はなるべき片手剣の方を使う様にしておこう。
まあでも魔物相手ならこの剣は、本当に凄く良い性能をしてるから、今までより更に狩りが楽になるだろう。
「正直、リーザの腕を舐めてた。まさかここまでの武器を作って貰えるとはな……」
「そうだね。こんなに良い物が出来るんなら、貴族の人が欲しがるわけだよね」
リーザの所には多くの貴族から武器を作ってくれ、防具を作ってくれ、という連絡が来ている。
しかしリーザは自分が気に入った相手にしか作らないと決めているので、自分が見極めた相手以外は全て無視している。
「今、使ってみた感覚だけど無理に作らせた所で、この武器は性能が良すぎるから素人が手に入れたとしても上手く振るう事すら出来ないと思う」
「私もそう思う。私とジン君は剣術スキルもそこそこ高いから、貰ったばかりでも多少使いこなせてるけど、これ武器の扱いに慣れてない人が持っても多分振ろうとしてもすっぽ抜けして上手く扱えないと思うな~」
クロエも俺と同じ考えの様で、自分の剣を見ながら「もつと訓練しなと」と笑みを浮かべながらそう言った。
それから俺達は武器の性能確認を終えたので城に戻り、早速武器の訓練をする事にした。
「んっ、それがジンの新しい武器なのか? 変な形をしてるな」
刀を持って訓練をしていると、訓練の休憩をとっているアンドルからそう声を掛けられた。
「刀という武器の種類らしく、片方の刃でしか攻撃を与えられない武器見たいです」
「ほ~、珍しい武器だな、それがガフカの工房で作って貰った武器なのか?」
「はい、凄く良い武器ですよ。見てみますか?」
俺はそう言って、アンドルに刀を持たせてやった。
アンドルは刀を持ってみると、その軽さに「軽いな!」と驚いた。
「ん~、俺はこの形は少し合わないな、小さい刃が折れそうな気がする。やっぱり俺は、大剣の方が性にあってる」
「まあ、アンドルさんは長い間、大剣を使ってますからね。俺の場合、本格的に剣を持ったのはここ数ヵ月の間なので、そこまで違和感は無いんですよ。それに俺の剣術にも凄く相性が良いんですよね」
「そうなのか、それは良かったな。自分の戦闘スタイルにあった武器を探すのは、本当に苦労するからな……まあ、訓練頑張れよ」
アンドルはそう言うと、倒れて休憩してる兵士達の所に戻り「ほらっ、起きろ! ジンはずっと頑張ってるぞ」と発破をかけて、訓練を再開させていた。
そんなアンドル達の訓練の声を聴きながら、その後も俺は刀での訓練を続けた。
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