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第581話 【課題・3】


 翌日、朝早くに宿を出た俺達はダンジョンへと移動してきた。

 王都の拠点でもよかったが近所迷惑になりそうな気もした為、ダンジョン内にある新たなに出来ていた【訓練場】で行う事にした。


「神様。この迷惑かなり手を加えてるな、来てない間にまた少し変わってたし」


 【訓練場】に関しても実際に俺は今日まで知らなかった。

 姉さん達にいい場所ないか聞いたところ、ここの事を教えてもらい始めてきた。

 その他にも迷宮は変わってる所があり、その中でも一番変わっていたのは迷宮の入口部分だろう。

 本来の迷宮に繋がる入口の他に、簡易版の遊戯施設が出来ており誰でも簡単に出入りが出来るようになっていた。


「ルル姉、入口から入れる遊戯施設入ったことある?」


「あるわよ。でもあそこ、私達がいける所よりレベルが低い作りだったわ。迷宮を攻略する目的を増やす為に作ったんじゃないかしらって私は思ってわ」


「あ~、神様ならやりかねないな……」


 正直、これだったら最初から一人でも入れるような場所を作ってほしいと頼めばよかったと今更後悔している。


「さてと、準備運動は終わったし始めよっか」


「了解。取り合えず、ジン君が転移無しなのは昨日聞いたけど、他にルールとかあるかしら?」


「う~ん……特にないかな。強いて言うなら、全力で来て欲しいかな」


 そう俺は頼み、模擬戦闘を始めた。

 開始早々、俺に向かって複数の魔法が同時に放たれた。

 

「開始早々、凄い量だ。流石だなフィオロ」


「力もかなり戻って来てるし、そろそろ一回はあんたの事をぶっ倒したいと思ってたのよッ!」


 フィオロの同時魔法攻撃に加え、違う方向からも矢が飛んできたりと転移なしでは避けれない程の攻撃だ。

 しかし、どれも時間差があり俺は一つ一つの攻撃を魔法で相殺して、全ての攻撃を防いだ。


「すっご……」


「ジン君が凄いのは知ってたけど、凄さがまた増してるね」


「……人間やめたの?」


「やめてない。それより、模擬戦闘なんだから攻撃を受けるだけじゃないよ」


 攻撃を防がれ驚く姉さん達、俺はそんな姉さん達に向かって今度は俺から攻撃を繰り出した。

 魔法を出しつつ前に出て、前衛と戦いながら相手の隙を伺う。


「ジン君邪魔です!」


「そういう戦い方をしてるからね!」


 俺の戦いに翻弄する姉さん達、しかし数の有利性もあり徐々に連携を取り戻していった。

 このまま戦えば俺の隙を突かれると思い、少し後ろに下がった。


「ここッ!」


 その俺が下がるのを読んでいたのか、ププルさんは一気に詰めて来た。

 避けようにも魔法も俺に向かって来ており、下手に避けたら魔法が直撃するだろう。


「流石に剣使わないと厳しいか」


 ここで俺は剣を取り出し、突っ込んできていたププルさんをはじき返した。

 向かって来ていた魔法も剣で切り、一瞬何も起きない時間が発生した。

 先に動いたのは俺で、姉さん達の両脇から攻めるように魔法を発動させた。


「フィオロやれる?」


「大丈夫!」


 姉さんの言葉に返事をするフィオロは、俺の放った魔法と同じ大きさの魔法を放ち一瞬で相殺した。

 しかし、もう一つの攻撃である俺自身を止めるための魔法はなく。

 姉さん達への接近に成功した俺は、至近距離からの魔法攻撃を放った。


「……ジン君、ずるいよ。魔法使いなのに動きが早すぎ!」


「そうだそうだ! 魔法使いなら後方で大人しくしててよ!」


「そうですよ。ジン君の戦い方普通じゃあり得ません」


「近接も強いし、全部できて羨ましいんだ……」


 ルル姉、コロンさん、シャーリーさん、ププルさんは休憩に入ると一斉に俺への非難を飛ばした。

 それに続けてフィオロも「本当に気持ち悪い戦い方」とボソッと、俺への悪口らしき言葉を言っていた。


「そう言う訓練をしてるから仕方ないわよ。そうでしょ、ジン君?」


「うん。師匠との戦いで転移に頼り切りになってたから、そこをなおす為に初心に帰って、剣と魔法の二つでやってるんだよ」


「だとしても、魔法をあんな早い動きで放ってくるの本当に怖いんだけど」


「転移使えない分、動き回る事に頭を使ってたからね。そうじゃないと、師匠の魔法攻撃に耐えるのも結構きついから」


 師匠との訓練時、師匠の魔法を受けるだけのターンはかなり辛かった。

 魔法量も制御も高く、一つ一つの魔法の威力も馬鹿に出来ない。

 だから受け止めるではなく、避けるに考えをシフトした事である程度は戦えた。

 まあ、結果は負けたが考えた方は合っていたと思っている。


「こんなに強いのにまだ上を目指すなんて、ジン君は一体何を目指してるの?」


「う~ん……そう聞かれても特にないかも、強くなるのって楽しいからかな?」


「強くなるのが楽しいのは分かるけど、そこまで行ったら上が居なくてやる気なくならないの?」


「そんな事はないと思うよ。だって現に師匠は魔法の分野で言えば、まだまだ手が届かない人だし、戦闘においても多分だけど竜王さんとかも強いだろうし」


 強い部類にいる俺だが、まだ上は居ると思っている。

 特にドラゴン族とかは、普段は楽しむ感じで戦ってくれるが本気を出したらどうなるか分からない。


「魔女にドラゴンって、ジン君は比べる相手も次元が違うわね……」


「私達とは全く違う旅をしてきたって分かるわね」


「まあ、後はあれだね後ろから物凄い勢いで強くなってる弟子も居るから、変に立ち止まって抜かれたくないって思いもあるかな」


 クロエ達共に訓練に向かってるイリス。

 その成長速度は、かなり早い方だと思っている。


「確かにイリスちゃん、直ぐに強くなってたもんね」


「そう言う訳で強くなる事に甘えないようにしてるかな」


 そう俺が言った後、再び模擬戦闘を再開してその日はかなりいい訓練が出来たと感じた。

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