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第577話 【カグラ・3】


 翌日、朝食を食べ終えた俺は宿の前で待っていると、時間通りにカグラがやって来た。


「昨日、ハンゾウがあれだけついて行くって言ってたけど、どうしたんだ?」


「ついて来るなら、家出するって脅しました」


 満面の笑みでカグラはそう言い、俺はそれを聞いて涙目のハンゾウの表情が容易に想像できた。

 それから俺達は、二人で冒険者ギルドとへ移動した。

 事前にギルドに今日行くと伝えていたので、ギルドで待っていたフィーネさんに奥の部屋に案内して貰った。


「成程、そちらの方の冒険者登録でしたか」


「はい。知り合いに頼まれたので、初依頼まで俺が見ようと思ってるのですが、その依頼を探す事も頼めますか?」


「勿論、構いませんよ。それでは登録用紙を持ってきますので、少々お待ちください」


 フィーネさんはそう言うと、部屋から出て行くと少しして登録用紙を持って戻って来た。

 そしてその登録用紙を受け取ったカグラは、必要事項に記入をしてフィーネさんに提出をした。


「はい。大丈夫ですね。それでは、こちらでカグラさんのギルドカードとなります」


「これが私のギルドカード……」


 カグラは自分のギルドカードを受け取ると、嬉しそうな表情を浮かべて大事そうに眺めていた。

 その後、カグラに合う依頼として紹介された討伐系の依頼を受け、俺達はギルドを出て王都の外へと出た。


「ジンさん、一番最初の依頼が討伐系って大丈夫なんですか?」


「大丈夫だよ。それに冒険者として教えるなら、魔物と戦いながらのがカグラにとっても良い経験になるだろうからな」


 そうして俺達は草原を歩き30分程して、依頼の討伐対象であるウルフを発見した。

 今回の依頼はウルフ3匹の討伐で、現れたウルフは5体だった。


「初戦にしては数が多いな、依頼分も考えて二体は俺が倒すから残り3体はカグラが戦ってみようか」


「はい!」


 戦闘開始して直ぐに俺は、【風属性魔法】で二体のウルフを討伐した。

 仲間が一瞬で倒された事に驚いたウルフだったが、既にウルフ達の近くまで迫っていたカグラに一瞬気付くのが遅れた。

 隙だらけのウルフ達に対しカグラは、まずは一体のウルフの喉を棒で突き数m吹き飛ばした。

 そして続けて突いた格好から横に棒を振り、二体目のウルフの頭部に直撃した。


「ハアッ!」


 そして三体目のウルフは、その場で周り二体目のウルフを倒した棒術と同じく頭部を叩き倒した。

 昨日の戦闘技術を見ていた時から思っていたが、本当にカグラは身のこなしがいいな……流石、ハンゾウの妹なだけある。


「ハァ、ハァ……ジンさん、終わりました!」


「うん。お疲れ様、よく戦えてたね。それじゃ、今の戦闘のおさらいを始めるよ」


「お願いいたします!」


 その後、今の戦いについての話し合いを始めた。


「まず最初、俺の魔法で三体のウルフに隙が出来てるのに気付いて接近したのは良い。だけど、カグラは魔法も多少は使えるんだから、一体目以外のウルフに魔法で攻撃をした方が安全性は高くなる」


「魔法ですか……まだ攻撃に使える程、訓練が出来てないのでこれから頑張ります」


「カグラは昨日聞いた限りだと、暫くはソロで冒険者をやるんだろ? それなら、遠距離攻撃の一つは持っておかないと今後危ないからな」


 一応、聞いただけだがカグラは〝火、水、風〟の三つの属性があるらしい。

 ただ病気が治ってから、身体の方ばかり鍛えていて魔法の方はほぼ手を出してないと言っていた。

 これから先、一人で冒険者として活動をするなら最低でも遠距離攻撃の一つは覚えておかないときつくなる。


「さて、その方についてだが特に悪い点は無かったぞ」


「ッ!」


 そう俺がカグラを褒めると、嬉しそうな表情を浮かべていた。

 その後、王都に戻りながら冒険者としての知識をカグラに教え、カグラはその俺の話を全て真剣に聞いていた。

 それから王都に戻り、冒険者ギルドに到着した俺達は達成報告とウルフの素材を売却した。


「ジンさん、今日は私の我儘に付き合ってくださりありがとうございました」


 冒険者ギルドで売却を済ませた後、ギルドの外に出るとカグラはそうお礼を口にした。


「いや、俺もいい暇潰しになったから頼ってもらって良かったよ。弟子は今は取るつもりは無いけど、後輩として何か困った事があれが基本あの宿にいるから聞きに来ても良いからな」


「えっ、いいんですか!?」


「これで金輪際関わらないってのも、人として酷いと思うからな。偶にカグラの冒険話も聞かせに来てくれよ」


 そう俺がカグラ言うと、カグラは「はい! 絶対行きます!」と元気よく返事をした。

 その後、初の依頼を終えた祝いに俺の奢りでカグラと昼飯を食べに行く事にした。

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