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第575話 【カグラ・1】


 姉さん達と装備の素材集めを終えた次の日。

 連日、出かけるのも疲れるだけだからと今日は姉さん達は休みにするらしく、姉さん達と一緒に行動している俺も休みにする事にした。


「といっても、元々する事が無くて姉さん達に付き合って貰ってただけだから、休みってなってもやる事が無いんだよな……」


「だからといって、何で俺の所に愚痴を言いに来たんだ?」


「ちゃんと、情報は買いに来ただろ? お客様だぞ」


 暇潰しに困った俺は、情報を買う序にハンゾウの所で愚痴を聞いてもらっていた。


「ジン、お前仲間がいないと本当にやる事が無いんだな……」


「それは否定できないな。冒険者始めたては一人で行こうとしてたけど、ずっと皆と行動していたからか一人で何かしようとは思わなくなったんだよな」


 転生して直ぐの頃は、ゲームのキャラと関わらないようにするために一人で行こうとも思った。

 だけど冒険者を始めて、直ぐにクロエと出会い。

 それからレイ達とパーティーを組んだりして、いつの間にか一人で何かしようという思いは無くなった。

 そうしてハンゾウ相手に暇でやる事が無いと言う愚痴を言っていると、部屋の扉が勢いよく開き外から一人の女の子が入って来た。

 身長は大体イリスより少し背が低い感じで、黒い髪を腰辺りまで伸ばしていた。

 目つきはキリッとしていて、何となくハンゾウに似ているなと感じた。


「兄さんッ! なんで、ジンさんが来てるの黙ってたの! 次に来た時、会わせるって約束してたでしょ!」


 その女の子は俺の顔を見ると驚いた顔をし、直ぐにハンゾウの所へと走って行きそう叫んだ。


「か、カグラ!? 何でお前がここに居るんだ? さっき、買い物に出掛けただろ?」


「慌てて私に買い物に行かせるなんて怪しいと思って、行ったふりをして戻って来たの!」


 あんな動揺してるハンゾウを見るのは初めてだな……。

 そう俺が考えていると、ハンゾウに怒っていた女の子は俺の方を振り向き、笑顔を浮かべて挨拶をしてきた。


「はじめまして、ジンさん。私はハンゾウの妹、カグラと申します」


「君がハンゾウがずっと俺に隠してた妹さんか」


「はい。以前からお会いしたいと思っていたのですが、何度も兄に邪魔をされてしまって会う事が出来ませんでした」


 カグラと名乗った女の子は、ハンゾウをチラッと睨みつけながらそう言った。


「時間は経ってしまいましたが、改めてお礼を言わせてください。ジンさん、私の事を救ってくださりありがとうございます」


「偶々、その時に薬を持ってただけだからね。あれから、身体の調子はどうかな?」


 深々とお辞儀をしているカグラにそう言うと、カグラは頭を上げ笑顔を浮かべて「凄く良いです!」と言った。

 その後、折角会えた記念に食事に誘われ、丁度お昼頃だったから個室のある店へと向かった。


「何で兄さんも来たの?」


「来ちゃ悪いかよ。可愛い妹が男と飯を行くのを黙って見過ごすわけないだろ!」


「……そんなんだから、20超えてる癖に彼女が居ないんでしょ」


 カグラの容赦ない一言に対し、ハンゾウは「グッ」と心に大ダメージを負ったが何とか耐えていた。

 多分、気絶するレベルの攻撃だったが俺が居る手前、何とか耐えたのだろう。

 その俺の予想は当たったのか、今ので倒れると予想していたカグラは「チッ」と舌打ちまでしていた。


「そう言えば、ジンさんって今は何をしているんですか?」


 食事を頼み雑談をしながら食べていると、カグラが不意にそんな質問をしてきた。


「昨日までは姉さん達と一緒に装備の素材集めをしてたけど、今はする事が無くて暇な状態なんだよな。その暇潰しにハンゾウの所に来てたって感じだ」


「それでしたら、私の頼みを聞いてもらえないでしょうか?」


「頼み?」


「はい。実は明日、前々から準備していた冒険者登録をしにいくんです」


 なんでも体が折角治ったのなら、今まで出来なかった事がしたいと考えたカグラは冒険者になる為に今まで訓練をしていたらしく。

 ようやくハンゾウから許可が下り、明日冒険者登録をしに行く予定だったらしい。


「あれだけ妹を大事にしてるハンゾウが冒険者をよく許可したな」


「しないと一生口聞かないなんて言われたら、流石の俺でも許可するしか無かったんだ……」


「ふ~ん……まあ、ハンゾウの許可はいいとして、それで俺に頼みって具体的に何をして欲しいんだ?」


「ジンさんに冒険者としての心得を教えて欲しいんです」


 ようは初心者冒険者になるカグラに冒険者として、どんな事をしていけばいいのか教えるって事か……。

 傍から見たら弟子みたいな感じだろうけど、今は特にする事も無いから断る理由も無いな。


「まあ、一日だけなら構わないぞ。どうせやる事は無いからな」


「ッ!? ありがとうございます!」


 カグラは俺が了承するとは思ってなかったのか、最初驚いた顔をして直ぐにお礼を言い、明日についての話し合いを始めた。

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