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第574話 【臨時加入・5】


 迷宮から出た後、俺達は防具の素材として使う魔物を狩りに別の迷宮へとやって来た。

 狙う魔物は、防御面に優れている〝アースドラゴン〟だ。


「それにしても、ジン君は前衛と後衛のどっちも出来るのは凄いよね」


 そう言ったのは、一緒に前衛で魔物を狩っていたコロンさんだ。


「うんうん。オラ、魔法全然だめだから前衛しか出来ないけど、そんなオラよりもずっと動きが良い!」


「正直、前衛一本でやってる私達よりも動きが良いのは少し嫉妬しちゃうわね」


 ププルさんとルル姉からもそんな事を言われた。


「どっちか一本で極めてる人の方が、経験は沢山積んでると思うよ」


「経験だけ積んでもね~。ジンの動き見てたら、凄さに圧倒されちゃうしね」


「色々と俺は運が良かったからね。そもそも運が良く無かったら、魔女の弟子になんてなれてないからね」


 師匠と出会えたのは俺の人生の中でも、トップクラスで運が良かったと言えるだろう。

 偶々、師匠が弟子を探す為の本を手に取り、それで師匠との繋がりが出来た。


「まあ、それで言うとフィオロちゃんと私達が一緒になれたのも運が良かったと言えるわね。フィオロちゃんがジン君を狙って無かったら、こうして一緒に冒険者もしてなかっただろうし」


「私は逆に狙わなければ良かったって、今でも後悔してるわよ。まさか自分の能力が封印されて、人間みたいに暮らさなくちゃいけなくなったんだから」


「でも私達との冒険は楽しいでしょ?」


「……知らないわよ」


 姉さんの言葉に対し、フィオロは顔を赤くしてプイッと顔を背けながらそう言った。

 そんなフィオロを姉さん達は全員で揶揄っていて、本当にフィオロは姉さん達と仲良くなったなとその光景を見ながら感じた。

 その後、アースドラゴンが生息する階層に到着した俺達は、その階層を探索を始めた。


「あっ、早速いたわね。それに意外と大きな個体ね」


「そうみたいだね。あれなら一体で全員分の装備が作れそうね」


 発見したアースドラゴンは、一体で十分の素材が採れそうな個体だった。

 アースドラゴンを発見して直ぐに陣形を組み、まずは前衛組の俺も含めルル姉達がアースドラゴンに攻撃を仕掛けた。


「かった~! このアースドラゴンの防御力おかしいでしょ!」


「お、オラの武器にヒビが……」


「私の剣もポッキリと折れちゃったわ」


 ルル姉達の武器は今までの蓄積されたダメージと、アースドラゴンの防御力によって壊されてしまった。

 唯一武器が大丈夫だった俺だが、全力を出していないとはいえ傷すらつけられなかった。

 更にそこに姉さん達の魔法もアースドラゴンに直撃したが、若干表面に傷がついただけだった。


「こいつ体が大きいだけと思ったけど、防御力もかなりあるみたいだね。ルル姉達、代えの装備はある?」


「ええ、あるけど……普段使ってる装備より性能が低いから、同じように攻撃しても意味が無いと思うわ」


「了解。それならルル姉達は姉さん達の護衛に回って、前衛は俺が担当するよ」


「一人で大丈夫なの?」


 俺の提案に心配した様子でルル姉はそう言い、俺はそんなルル姉に「大丈夫だよ」と笑みを浮かべながら言った。


「さてと、姉さん達の装備の素材集めだから、あまり出しゃばった事はしたくなかったけど……覚悟しろよ」


 装備の素材として使う為、あまり傷は付けたくはない。

 そうなると魔法で攻撃するよりも、刀で一瞬で仕留めた方が良いだろう。


「ハァッ!」


 アースドラゴンの頭上に一瞬で転移した俺は、そのまま首を狙って攻撃を仕掛けた。

 転移魔法の魔力に遅れて気が付いたアースドラゴンは、何とか首回りに岩で防御を固めようとした。

 しかし、俺の刀はその岩すらも斬り、アースドラゴンの首を切り落とした。


「私達が一生懸命戦っていた相手が一瞬で倒されたわね……」


「自分達も色んな冒険で成長したと思ってたけど、ジン君との実力差は埋まり気がしないわね」


「ジン君凄いっす!」


 その後、アースドラゴンの死体を回収した俺達は一度王都へと戻り、俺は一人で商人の里へと向かった。

 商人の里は俺の知り合いだからと言って、連れて行くと問題になりかねない。

 だから里に行くのは俺だけと決めていた。


「それで世界樹の枝が欲しくて来たのね」


「ジン様のお知り合いの方に贈るのでしたら大丈夫ですよ! それに丁度、伸びすぎた所を切ってもらった所なので」


 商人の里へとやってきた俺はエミリアの所へと行き、世界樹の枝を欲しいと頼んだ。

 すると、特に交渉らしき事はせずに渡してくれると言ってくれた。


「そんなアッサリ決めてもいいんですか?」


「私も最初は世界樹の素材は貴重な物だと思ってたけど、ジンが来てない期間だけでも大量に素材が手に入って私の中で価値が暴落してるのよね……勿論、外に持って行けば価値は凄く高いのは理解してるけど」


「えへへ、ここの魔力がよくて成長しやすいんですよね~」


 そうエミリア達の話を聞いた後、俺は弓に仕えそうな枝をセシリアから貰った。

 その後、目的を達成した俺はまた暇な時に顔を出すと約束をして、王都へと戻り無事に世界樹の枝を貰って来た事を伝えた。


「ほ、本当に貰って来たんだ……」


 シャーリーさんは世界樹の枝を受け取ると、大事そうに布を被せて直ぐに鍛冶場に持って行くと言った。

 こうして装備の素材集めを終え、姉さん達はお世話になってる工房へと行ってくると言って姉さん達とは別れた。


「何だ。てっきり、ジンがよく世話になってるガフカの工房を紹介すると思ってたが、そうじゃないんだな」


「言ってはみたけど、姉さん達もお世話になってる工房があるから無理強いはしなかったんだよ」


 それから一人になった俺は、既にお昼が過ぎ夕方頃だったので出掛けず。

 夕食まで宿の自室で、装備の手入れをしながら時間を潰し。

 夕食の時間には姉さん達も戻って来たので、無事に装備の素材集めが終わった事を祝して、姉さん達と楽しい夜を過ごした。


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