第571話 【臨時加入・2】
その後、姉さん達と一緒に何をするかについての話し合いを行う事にした。
「ジンが折角入るなら依頼か、もしくは迷宮探索をしたい所だけど。迷宮って、ジンと私達って一緒に探索って出来るのかしら?」
「神様に頼んだら、もしかしたらいけるかも知れないけど望みは薄いかも……それが出来るとしたら、悪用される可能性もあるしね」
「確かに、その可能性は高いわね。だとしたら、依頼かしら?」
ルル姉がそう言うと、話しを聞いていたフィオロは「装備の素材集めとかでも良いんじゃないの?」と意見を出した。
フィオロがそんな意見を出した理由は、今回の迷宮探索で各自成長して装備の代え時を迎えたかららしい。
「素材集めでも俺は良いよ。それに伝手ならかなりあるから、姉さん達が必要な素材も集められると思うよ」
「ジン君が良いなら、私達もこれからの活動が楽になるし有難いかも」
姉さんがそう言うと、他のメンバーもフィオロに提案に賛成した。
「ちなみにだけど、姉さん達ってどういう役割でいつも戦ってるの?」
「前衛組がコロン、ププル、ルルの三人で。後衛組が私、シャーリー、フィオロってなってるわ」
「良い組み合わせだね。見た感じ、ルル姉とコロンさんが剣士でププルさんは盾職って感じ?」
「うん。後衛組は、私とフィオロは魔法。シャーリーが弓も使いつつ魔法で戦う感じよ」
姉さんからパーティーについてそう教えて貰った俺は、先に素材が沢山必要そうな後衛組の素材から揃えようと提案した。
「魔法使いって事だし、一番大事なのは魔力伝達をよくする為の杖になるけど、こんなのが良いって要望とかある?」
「ジン君、出来るか分からないけど一つだけ要望があるんだけど」
後衛組に要望を聞くと、シャーリーさんが遠慮気味に手を上げ。
俺にどういった杖が欲しいのか伝えてくれた。
その内容は少し変わっていて、杖の役割が出来る弓が欲しいとの事だった。
「……出来なくはないとは思いますね。俺の剣もそうだけど、杖の役割をしつつ剣としても役割を十分に発揮してますから、魔力伝達の良い素材で尚且つ弓の形状に耐えられる素材なら、十分可能だとは思います」
「そ、そうなの!?」
「まあ、その分素材の値段が高くなるとは思いますけど」
「そこは大丈夫。私、貯金は沢山あるから!」
普段、クールな感じのシャーリーさんは若干興奮気味でそう宣言した。
その後、姉さんとフィオロにもどんな杖が良いのか聞くと、二人は魔力伝達が良い物ならという事だった。
「取り合えず、今日は姉さん達も帰って来たばかりで疲れてると思うから、素材集めに関しては明日からでも良いかな?」
「うん。私達もギルドに報告したりしなきゃいけないし、素材集めは明日からにしよっか。皆もそれで良いよね?」
姉さんがそう聞くと、ルル姉達はその提案に賛成し。
素材集めは明日から始める事になり、今日の所は解散となった。
その後、俺は明日からまた王都を離れる可能性が出て来た為、帰って来たばかりだがもう一度、姫様の所へと向かった。
「それで、また私の所に来たのね」
「はい。一応、他国に顔を出す予定は今の所は無いんですが、もしかしたら行くかも知れないので」
「曖昧ね。まあ、分かったわ」
姫様は溜息交じりにそう納得した顔で言うと、後で連絡を入れておくわと言った。
「それにしても、ジンが素材集めを手伝うって事はヘレナ達の装備は最高級の物になりそうね」
「予算はあるとは思いますけど、その予算の中で最高級の素材を集めようとは考えてますね」
「……ちなみにだけど、どんな素材を採りに行こうとか考えてるの?」
「ドラゴン族にお願いして、俺と同じように剣の素材にドラゴンの牙とか使おうかなとは考えてますね」
そう軽く、現段階で考えてる事を伝えると。
姫様は手を頭にやり、溜息を吐いた。
「えっ、そんな変な事を言いました?」
「ジンの中でそこはもう変だとは感じないのね……まあ、王都の冒険者が強くなる事は国としては良い事だけど、変にヘレナ達が目立つとジンも嫌じゃないの?」
「あ~……そうですね。一応、その辺は明日、姉さん達と話しながら決めます」
「ちゃんと話し合うのよ?」
ジッと姫様から睨むように見られながらそう言われた俺は、「はい」と返事をした。
それから、姫様への報告を終えた俺は宿へと戻り。
丁度お昼時だったから、リカルドに昼食を頼み食堂で飯を食べる事にした。
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