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第57話 【これから・1】


 翌日、姫様は無事に体調が戻り、学園に行けるようになった。


「姫様、これからは湯浴みした後はベランダに出ないでくださいよ」


「分かってるわよ。散々、皆から言われてもう出ないって決めたわよ」


 姫様は既に何度も注意されていたのか、俺の言葉に嫌そうな顔をしてそう言った。

 と、今は反省した感じの姫様だが、多分また同じ事をするだろうな。


「……聞きましたよ。今回の様に湯浴みした後に、今までも何回か風邪を引いてるんでしょ」


「うっ、誰が言ったのよ……」


 姫様は悪さがバレた子供の様な顔をして、拗ねた様子で窓の外を見ながらそう口にした。

 その後、拗ねた姫様と共に学園に着いた俺達は、昨日風邪で来れなかった事を心配したティアナが態々姫様の教室まで来ていた。


「ティアナ、態々見に来なくても大丈夫……」


「大切な友達なんですから、心配位させてください……それと、聞きましたよ。風邪を引いた理由」


 心配していた様子のティアナだが、姫様を前にすると徐々に悪戯をした子供を叱る母の様な顔つきへと変貌した。

 そしてそこから淡々と姫様に対して、説教を始めた。


「あらら、やつぱりティアナちゃんの説教が始まったわね~」


「ミリアーナさん、あれは」


「フィーちゃんって昔から、やらかす事が多いんだけどその度にああしてティアナちゃんに怒られてるのよ。ティアナちゃんに怒られるのが姫様にも一番効くって王家の人達も知ってるから、風邪を引いた事がいち早くノルフェン家に伝達される程にね」


「……でもあんなに怒られるのに、またやらかすんですよね」


「そこがフィーちゃんの可愛い所でもあるのよ」


 ニコニコとミリアーナは、姫様がティアナに説教されてるのを楽しそうに見てそう言った。

 その後、先生が来るまでティアナの説教は続き、説教を聞き終えた姫様はグッタリとした様子で机に突っ伏した。


「王族の人がそんな風に机に突っ伏しても良いんですか?」


「今回位許してよ……ティアナ、歳を重ねる毎に説教がきつくなってきてるのよ。あんなにお母様にも怒られないのに……」


 姫様はそう愚痴を言うと溜息を吐き、その後の授業はやる気なさげに聞き流していた。

 そうして昼食の時間になり、俺達は食堂に向かうと先に待っていたティアナと合流して一緒に食事をする事になった。


「食事の席では説教はしません、ですからそんな嫌そうな顔をしないでください」


「さっき説教された相手と、数時間後に仲良くご飯食べられないわよ……」


 姫様はティアナと食事する事に少し抵抗をするが、他の面々、主にミリアーナとティアナが姫様を逃がそうとしなかった。

 その後、結局一緒に食事をする事になった姫様だが、食事の途中から普通に楽しそうに食事をしていた。

 なんだかんだティアナとミリアーナの事、友達として好きなんだろうな。

 そんな事を俺は、姫様達の事を見ながら思った。


「ジンさん、最近剣の動きが良くなってきてますね」


「本当ですか? 自分ではまだイマイチ、コツを掴めてないんですけど……」


 学園での護衛仕事が終わり、城に戻ってユリウスに剣を見てもらっていた俺はユリウスから褒められそう言葉を返した。


「剣の動きが以前より、定まって来ているように感じます。後、対人経験も積み重ねた事で人間の弱点を突く動作等も良くなってきてますね」


 対人経験、それは俺が以前まで一番なかった経験だ。

 護衛任務に就くにあたって一番懸念していた点だったが、それは城での訓練を始めて改善された。

 ユリウス、アンドル、そして城の兵士達と模擬戦闘とはいえ戦いを続けて経験を積み重ねて来た。


「ユリウスさんやアンドルさん、それと城の兵士さん達のおかげですね」


「努力したのはジンさんですから、私達も自分達がジンさんと戦いたいからやっただけですからね。ジンさん、剣術も魔法も両方出来るので、魔法剣士タイプとの戦い経験が積めて兵士達も喜んでました」


 魔法剣士タイプは、この国では少人数。

 この国で魔法剣士として能力が高い人物で言えば、ノヴェルさんくらいだろう。

 そのノヴェルさんは公務で忙しい身の為、訓練相手になれる魔法剣士が見つからずそんな時に俺が現れ、訓練相手として選ばれたのだろう。


「俺に戦う相手として価値があって良かったです。それのおかげで、沢山の経験が積めましたから」


 そう俺がユリウスに言うと、互いに共益関係だった事が分かり俺達は笑い合った。

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[気になる点] 「わざわざ」を漢字で書かれると違和感感じるの僕だけ? 新聞や一般小説では見ない漢字なんだよなぁ なろうやフリーゲームでたまに見かけるけど
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