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第569話 【予定のないジン・4】


「ジン。お前、王都だけじゃなくてこっちでもこの騒ぎ様って凄いな」


「いや、偶々ですよ。竜人国は色々と関わる事があったので」


 主にドラゴン族関係で、俺は竜人国では有名だった事をすっかり忘れてた。

 その後、周りの視線を感じながらも俺達は良さそうな依頼を受けて建物を出た。


「俺達も一応は最高ランクの冒険者だけど、ジンの人気には負けてるな~」


「ルークさん達も人気な街とかあるでしょ、それが偶々竜人国なだけですよ」


「ジンの場合、竜人国との関係はあっても拠点として生活をしてる訳じゃないだろ? それであれだけの人気なのが凄いって言ってるだよ」


 ルークさんがそう言うと、エリスさん達は頷き「ジンの場合、知らない人がいないレベルで人気もありそうだしね」と言われた。

 それから街の外へと出た俺達一行は、一先ず依頼先へ歩いて向かった。

 行き先は行った事のある場所だから、転移で行けるが道中の戦いを楽しみたいとルークさん達に言われて歩く事にした。


「おっ、早速魔物だな。ジン、最初はお前に任せても良いか?」


「良いですよ」


 ルークさん達は成長した俺の実力を見たいと言っていたし、多分初戦は俺が任されるだろうと考えていた。

 そんな俺は刀を鞘から取り出し構え、魔物に向かって一瞬で近づいた。

 魔物は数m離れた地点にいた俺が一瞬で目の前に現れ、驚き戸惑っていた。

 俺に対し攻撃をしようとしない魔物に対し、俺は首を刈り取り魔物は一瞬にして絶命した。


「流石、ジンだな。素材の事も考えて綺麗に切ったみたいだな」


「まあ、危険な魔物でも無いですからね」


「ジンからしたら危険な魔物じゃないだろうけど、レッドオーガはそこそこ強い魔物だと思うぞ……」


 俺の言葉にドルクさんは呆れた様子でそう言い、ルークさん達は笑っていた。

 その後、魔物の死体を回収して再び歩き出し、道中に現れた魔物を狩りつつ目的の場所へと向かった。


「しかし、さっきからジンは一撃で魔物を倒してるな。俺でもこんな綺麗に狩り取れないけど、意識してやってるのか?」


「癖で素材を綺麗な状態で倒そうって考えてるからだと思います。リーザの所にそのまま素材を持って行く事が多いので、汚い素材は渡せないなって」


「あ~、そうかジンはほぼ冒険者の最初の頃からガフカの工房に出入りしてたもんな」


 普段、魔物を狩る際はそこまで気にはしてないつもりだが、あの頃からの癖で素材は綺麗な状態で残そうと自然に動いてる。

 それに【異空間ボックス】の中では時間も止まってるから、倒す時にさえ気を付けていれば綺麗な素材を残しておける。


「それで言うと、採取の方はかなり神経を使って集めてますね。レンの研究材料のなるから、完璧な状態で採らないと研究にも使えませんからね」


「俺達の中で言うと、ドルクが一番採取の技術は得意だな」


「ルークが下手過ぎるだけだ。ルーク以外はそれなりに採取の能力はあるが、お前が壊滅的に不器用なだけだろ」


 ドルクさんの言葉にルークさんは「そ、そこまでは悪くないだろ!」と反論するが、エリスさん達は首を横に振っていた。


「ルークの採って来た薬草は売れなくて、いつもゴミ箱行きでしょ」


「最初の頃は慣れてくればって思ってたけど、一緒に冒険者活動を始めて半年も経たない内にルークを採取から外してたもんね」


 エリスさんとアニスさんからそんな事を言うと、ルークさんは「そ、そんな悪かったか……」と落ち込んだ。


「まあ、私達もそこまで得意じゃなかったし、採取しか依頼が無かったら仕方なく受けてたけど、それ以外は基本的に討伐系とか護衛系の依頼を受けるようにしていたものね」


「鉄級位が一番大変だったわよね。あの当時、採取系が依頼で多く出されててドルクに教えて貰いながら、なんとか生活していたわね」


「ルークさん達って最初からイケイケの冒険者パーティーと思ってましたけど、意外とそんな苦労もしてたんですね」


 所謂、下積み時代とも呼べる時代がルークさん達にもあったんだなと、俺はその話を聞いてそう感じた。


「そりゃ、ジン達はかなり最初から実績を積んでたからとんとん拍子でいったと思うけど、普通の冒険者はこんなものよ? まあ、白金級に上がれるのは一握りだけど、そこまでは大抵はほぼ同じよ」


「偶にジン君達みたいに凄い才能の冒険者が現れるけど、そんな子達は逆に慢心して白金級に上がれないとかも珍しくないわね」


「ジン達の場合はそういった慢心が無く、常に上を目指してたから今があるんだろうな」


 そう褒められた俺は「ありがとうございます」とお礼を返し、丁度良く目的の場所に到着した。

 そこからは早く、直ぐに目標の魔物を発見し、今度はルークさん達と一緒に魔物と戦闘をした。

 流石にこの面子で倒せないという事は無く、5分も掛らず目標を達成した俺達は首都へと戻って来た。

 来る時も人は居たが、行く前よりもギルドに人が集まっていて、ギルド側はそれを見て直ぐに対応してくれた。


「ほんと、ジンは人気者だな」


 そんな光景を見たルークさんは笑いながらそう言うと、エリスさん達も笑みを浮かべながら俺達は別室で依頼の達成報告を行った。

 その後、このまま竜人国に居たら王都以上に騒ぎになりそうだと思い、ルークさん達を連れて王都へと帰還した。

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