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第566話 【予定のないジン・1】


 冒険者活動を再開して一週間が経った。

 それまで他の事に気を取られ、後回しにしていた分。

 俺達は他の事を気にせず、全力で冒険者としての活動を行った。

 そのおかげで俺達は無事に全員が同時に、冒険者の最高ランクである〝白金級〟へと昇格した。


「それじゃ、今日から一旦俺達は解散になるな」


「そうだね。なんだかんだ今までずっと一緒だったから、いざ離れるってなると寂しくなっちゃうね」


 昇格した日、姫様からパーティー開催する? と聞かれた。

 だが俺達はその提案を断り、拠点で自分達で打ち上げをする事にした。

 そんな俺達は明日からはそれぞれのやりたい事の為に、一時的に解散という事になった。

 ただ解散と言っても、単に別々に行動するというだけでパーティー自体は解散してはいない。


「私達三人はヘレナーザ様の所で修行するけど、ジン君とレン君は何か予定は決めてるの?」


「俺は拠点で薬の研究を続ける予定だ。師匠に負けない為にも日々成長しないといけないからな」


「今でも十分凄いと思うけど、まだその先を目指すんだね」


 レンの言葉を聞いたクロエはそう言うと、俺の方を見て「ジン君は予定は決まってるの?」と聞いて来た。


「多分、俺だけ決まってないな。訓練しようにも俺の場合、相手を探すのが難しいからな……」


「ジン君を相手に修行をしたい人は思い当たる人が居るけど、ジン君の訓練になる人ってなると難しいよね」


「それこそ神様に無理を言って、迷宮を一人で挑戦できて訓練になりそうなものを作ってもらうとかだけど……流石にそんな事は頼めないからな」


 そうしてそれぞれのやる事を聞き終えた俺達は、その日は夜遅くまで打ち上げを楽しんだ。

 そして翌日、ヘレナーザさんとの修行へとクロエ達は出発して、レンも暫くは拠点で過ごす事にして宿には俺だけが残っていた。

 正直な所、俺も拠点で暮らすか迷ったが宿には姫様の部下やハンゾウの部下がいて、連絡がしやすいから残る事にした。


「遅い起床だな、飯は要るか?」


「時間が過ぎてないなら頼めるか?」


「ギリギリだが……ジンなら用意してやるよ」


 リカルドはそう言うと、食堂の奥へと行き俺は席に座った。

 それから少しして、リカルドは朝食を持って俺の所へと来た。


「クロエ達は朝早くに出発したが、ジンはこれから何かするのか?」


「特に決めてない。取り合えず、装備の整備をしてもらう為にリーザの所には行こうとは思ってるが、その後は特にな」


「要するに暇って事か?」


「まあ、そういう事だな」


 そう俺が言うと、リカルドは「それなら丁度良かった」と言って手紙を取り出した。


「実は少し前にルーク達宛の手紙を預かっていたんだよ。だけど、あいつら迷宮からなかなか戻って来なくてな、ジンにこの手紙の配達を頼みたいんだが良いか?」


「その位なら別に良いぞ。どうせ、迷宮には行く用事もあったからな」


 その後、リカルドから手紙を預かった俺は、朝食を食べ終えてまずはリーザの店へと向かった。


「今日は一人なのね。クロエ達はどうしたの?」


「皆それぞれやる事が出来て、暫くは一人で行動する事になったんだよ」


「あら、そうなのね。それで今日はどういった用事?」


「装備の整備を頼みに来た。依頼で使い続けてて、俺なりに手入れはしてたけど本職のリーザに頼もうと思ってな」


 【異空間ボックス】から装備一式を取り出し、テーブルに置きながら俺はそう言った。


「随分と使ったみたいね……まあ、この位なら明後日には終わるわ」


 リーザからそう言われた俺は、代金を前払いで支払い店を出た。

 そしてリーザの店での用事を終えた俺は迷宮へと転移で移動し、ルークさん達の魔力を探した。

 すると、丁度家に居る事が分かった俺は、ルークさん達の家へと向かった。


「ジンじゃないか、どうしたんだ?」


「リカルドに手紙を渡してきてほしいと頼まれたので渡しに来ました」


 呼び鈴を鳴らして出て来たルークさんに対し、俺はそう言いながら手紙をルークさんへと渡した。

 ルークさんはその手紙を受け取ると、折角来たなら皆にも会って言ったらどうだ? と言い、俺は家の中に招いてもらった。


「あら、ジンじゃない。今日は一人なの?」


「はい。ランク上げも終わったので、暫くは一人で行動する事になってその一発目がルークさん達への手紙の配達だったんです」


「あ~、前に言ってたわね。ランク上げが終わったら暫くは別々で行動するって、ジンってずっと仲間と一緒に居たから一人は寂しくないの?」


「まだ初日なので寂しいとかは無いですけど、数日したら寂しさを感じるかもしれませんね」


 家を出てから直ぐにクロエと仲間になり、それから少ししてレン達とずっと行動をしてたからな。

 数日したら寂しさを感じて、レンの所に行くかもなとは自分でも考えている。


「あれだったら俺達と一緒に依頼とか受けてみるか? 今はもう一緒のランクだし」


「ルークさん達が迷惑じゃなければ是非行ってみたいですね。でも、今は迷宮攻略をしてるんじゃないんですか?」


「そろそろ出ようかなと話し合ってた所だし、それにジンが迷惑と思う奴は俺の仲間には居ないぞ」


 ルークさんがそう言うと、エリスさん達はウンウンと頷いた。

 その後、明日には宿に戻る予定だとルークさん達は言ったので依頼については明日話し合う事にして、俺は先に王都へと戻って来た。


「おっ、帰って来たか。手紙は渡せたか?」


 宿に帰ってきた俺を見つけたリカルドは、無事に手紙を渡せたのか聞いて来た。


「ああ、丁度迷宮の家に居たから直ぐに渡せたよ。それと、明日にはルークさん達も戻って来るって」


「そうか、なら少し多めに食材は買っておいた方がいいな。後で買い物に行ってくるか」


「荷物が多くなるなら一緒に行ってやろうか?」


「いや、大丈夫だ。いつもの事だからな、それに意外とそれが鍛錬になるからジンは普通通り生活していて良いぞ」


 手伝おうと思ったがリカルドからそう言われた俺は、それなら夕食まで暇だなと思いながら宿の部屋に帰って来た。

 部屋に戻ってきたは良いが、特にする事が無い俺は【異空間ボックス】に入れていた本の中から適当に一冊取って読書をする事にした。

 しかし、一度読んだ事のある本で集中して読む事が出来ず、10分もしない内に飽きてしまった。


「……ルークさん達と依頼に行くって予定は出来たけど、他にもちゃんと予定を作らないとな」


 好きなように過ごせるとは言っても、今まで何かしらの目的をもって生きて来たせいかこの生活は続けられないと感じた。

 その後、読書が飽きて続きを読む気が無かった俺は、夕食まで拠点の庭で体を動かす事にした。

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