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第563話 【新薬・2】


 姫様の所へと顔を出してから一週間程が経った。

 あれから、元々の予定であった日に王都の様子を見に行ったが、俺達が出歩けば騒ぎになりそうな感じで暫くは迷宮に籠る事が決まった。

 しかし、迷宮にずっと籠っていても、退屈だなと感じて来たため。

 王都にある俺達の拠点、ドラゴン族の里、師匠の住んでる空島といった人が居ない所に行っても良いかもという話になった。


「そもそも何で、師匠の空島とか行かないようにしていたのか分からないな……あそこに関しては人が来れる場所じゃないのに、あえて行かないようにしていたなんて何を考えてたんだろうな」


 俺は俺自身どう考えて行かないようにしていたのか分からず、そんな俺にクロエ達は「ジン君って抜けてる所があるから」と言って来た。

 そうして迷宮に籠り続けるのをやめた俺達は、各自好きな事をして過ごす事にした。

 レンは王都に顔を出した際、シンシアの店で購入した草の本格的な研究をする為に拠点へと行き。

 レンと共に研究をする為、イリスも王都の拠点へと向かい。

 クロエとレイは迷宮に残るかドラゴン族の里に行くか二人で話し合って、ドラゴン族の里へと修行の目的で向かった。


「それで弟子ちゃんは私の所に来たのね」


「はい。皆と一緒にどこか行くのも考えましたけど、まずは師匠の所かなと思いました。それに迷宮で気になる物も見つけていたので師匠に渡そうかなと」


 俺はそう言いながら、迷宮の最深部付近で手に入れた素材を師匠に渡した。

 それからお土産を渡した後、師匠にドラゴン族の里で貰った本も見せる事にした。


「こんな本をドラゴン族が隠し持っていたのね。中々、面白そうなタイトルね。弟子ちゃんはもう見終わったのかしら?」


「はい。クロエにも見せているので、師匠が飽きるまで貸せる状態です」


「あら、そうなのね。流石、弟子ちゃんね。有難く、見せて貰うわね」


 師匠は笑みを浮かべながら、本を受け取った。


「そう言えば、ナシャリーさんが見えませんけど、また何処かに行ってるんですか?」


「ナシャリーなら、今は世界樹の所よ。なんでもレン君を驚かせられる物を作るって、最近は気合が入ってるのよね」


「ナシャリーさんがですか?」


 確かに以前の魔法玉に関して、レンとほぼ研究成果が互角で悔しがっていたという事は知っている。


「あの子、今まであんな風に燃えた事は無かったけど、レン君と出会ってかなり感情的になる事が増えたのよね。弟子ちゃん達との出会いは、本当に良かったと思うわ」


「俺も師匠と出会えた事は良かったと思います」


 そう俺は師匠に言い、それから暫く師匠の家に居ると、玄関の呼び鈴がなり師匠と一緒に玄関に行くと、家の外にヘレナーザさんが居た。


「あら、久しぶりね。最近見かけなかったけど、どうしたの突然?」


「ちょっと用事が終わったから戻って来たのよ。それと、久しぶりねジン君」


「お久しぶりです。ヘレナーザさん」


 ヘレナーザさんと軽く挨拶を交わした後、師匠はヘレナーザさんを家の中に招き入れてリビングへと移動した。

 師匠の所で世話になってる悪魔にお茶を淹れて貰い、リビングでゆっくりとする事にした。


「それで、弟子になりそうな子は見つかったの?」


「残念だけど、見つからなかったわ……」


 師匠の質問に対し、ヘレナーザさんは肩を落としてそう答えた。


「ヘレナーザさん、弟子を探し始めたんですか?」


「ちょっと前にね。ほら、マリアンナはジン君が居て、ナシャリーもなんだかんだレン君を弟子として迎え入れたじゃない? 私だけ仲間外れが嫌だなって思って、私も弟子を探し始めたんだけど中々いい子が見つからないのよね……」


「意外ですね。ヘレナーザさんって、弟子とか興味無さそうだと思ってました」


「最初は別にしてなかったわよ? ただ周りが弟子を作っちゃって、置いてけぼりだなって思ったら、急に欲しくなったのよ」


 ヘレナーザさんは師匠の事を見ながらそう言うと、師匠は「ヘレナーザはああみえて、寂しがり屋なのよ」と笑みを浮かべながら言った。

 そんな師匠の言葉に対し、ヘレナーザさんは「ちょっと! 変な事は言わないでよ!」と少し怒った顔をして言った。


「それにしても、ヘレナーザさんはどんな弟子を探してるんですか?」


「そうね。やっぱり戦闘面での、潜在能力が高い子が良いかしらね。自分の弟子なら、強い子に育てたいし」


「潜在能力が高いですか……それなら、クロエとかレイは駄目なんですか? 俺はまあ、師匠が既に居ますし、レンは戦闘系では無いので弟子という枠組みには入らないとは思いますけど」


「……確かにクロエちゃん達なら既に強いし、まだまだ強くなれそうね」


 ヘレナーザさんは、弟子候補にクロエ達を伝えるとハッとした顔でそう言った。


「クロエちゃん達がヘレナーザの弟子になりたいかは分からないけど、私もクロエちゃん達はもっと強くなれる気がするわね」


「ねえ、ジン君。クロエちゃん達に私の弟子になる気はないか聞いてくれないかしら?」


「クロエ達全員って、三人共弟子にするんですか?」


「ジン君はマリアンナの弟子で、レン君はナシャリーの弟子でしょ? 私がその中から一人選んだら、残り二人だけ仲間外れは寂しいでしょ? 仲間外れって寂しいのよ?」


 真剣な表情で言ったヘレナーザを見て、多分今回の弟子を自分だけ持ってない事について相当悲しかったんだろうなというのが伝わって来た。

 それから俺は、師匠とヘレナーザさんに「それじゃ、三人に聞いてきますね」と言って、まずは王都に居るイリスの所へと向かった。

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