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第560話 【ドラゴン族との関係・3】


 それから俺達は再びヴェルドさんの部屋へと戻って来て、スカイからのアドバイス通りヴェルドさんが選ぶ宝を貰いたいと伝えた。


「ふむ、我が選ぶ宝か……ジン達がそれを望むのであれば、お主達に合う宝を用意しよう」


 ヴェルドさんは俺の頼みを聞くと、そう言って部屋から出て行った。

 そして、10分程その部屋で待っていると、宝を持ってヴェルドさんが部屋に戻って来た。


「一番の活躍者であるジンは最後にして、まずはクロエから宝をやろう」


「は、はい!」


「そんな畏まらなくても良い。お主は確か、獣人族ながら凄腕の魔法使いだと聞いている。ジン達と共に過ごしているとならば、かなり良い武具を持っておるとは思うが。これはそれらを超える品だと思う」


 ヴェルドさんがクロエに選んだ宝は、一目見ただけで美しいと思える杖だった。

 また美しさだけではなく、その杖からかなり強い力を感じる。


「この杖は昔、ドワーフ族に角を渡した際に作って渡されたが、我は杖などは使わないから宝物庫に入れておった物だ」


「こ、こんな凄い杖は見た事がありません。本当にありがとうございます!」


 ついさっきまで特に欲しい物とかは無さ気だったクロエだが、ヴェルドさんが選んだ宝を見て物凄く嬉しそうにしていた。


「さて、次に渡す相手だがレイとイリス。お主達には同じ物をやろうと思う」


「イリスちゃんと御揃い?」


「レイお姉さまと同じものですか?」


「お主達は前線を張る戦い方が好きだと、スカイから聞いておる。だから我はこれをお主達に贈ろうと決めた」


 宝の山から取り出したのは、魔石が埋め込まれたネックレスだ。


「これもクロエに渡した杖と同じドワーフが作った物で、着けていると治癒効果や疲労回復の効果があると言っておった。これを着けておけば、数時間戦っても大丈夫だと思うぞ」


「そんないい物を!? ありがとうございます!」


「ヴェルド様、ありがとうございます!」


 レイとイリスは受け取ったネックレスを早速身に着けながら、ヴェルドさんにお礼を言った。


「……さて、後はジンとレンだが。お主達に渡す物は悩んで、どれがいいのか結局決める事が出来んかった。そこでこの中から一つ、お主達に選んでもらいたい」


「まあ、俺もレンもそうだけど周りからしたら欲しい物って分かり辛いですからね」


「ジンと同じにされてるのがちょっと思う所はあるけどな……」


 チクッとレンから刺さるような言葉を言われながら、俺とレンはヴェルドさんが用意してくれた宝の中から一つ欲しい物を選び始めた。

 そうして少し宝の中を物色して、俺は一つの本が気になり手に取った。

 その本のタイトルには〝古の魔法書〟と書かれていて、なんだか興味を引きタイトルだ。


「ヴェルドさん、この本って選んでも大丈夫な物ですか?」


「んっ? ああ、その本か。ジンなら気になるかも知れんなと思って持ってきたが、我の予想通りだったな」


「タイトルが気になるような感じでしたからね。もし、駄目なら他の物を選びますけど」


「そこにある物は何でもよいと言っただろ? その本が気に入ったのなら、それをジンに譲ろう」


 ヴェルドさんからそう言われた俺は、宝の選択はこの本に決定した。

 そして俺がヴェルドさんと話してる間に、レンも宝を選んで来たみたいだ。

 レンが選んだ宝は、俺と同じように本だった。


「レンも本にしたんだな、なんの本を選んだんだ?」


「錬金術の本。見た事無い本だったから、もしかしたら俺が知らない薬が乗ってるかと思ってな。まあ、無くてもこの時代の作り方とか色々と知れるから良いかなと思ってな」


 そうレンは言うと、ヴェルドさんに本を貰う事を許可してもらい、俺達は無事に宝を選び終えた。

 その後、ヴェルドさんから食事に誘われ、俺達は食事もご馳走してもらう事になった。


「ドラゴン族って食事の時は人型になるんですか?」


「基本はそうだな、ドラゴンの姿は不便な事も多いからな。人型になれるようになったドラゴン族は、基本的に人の姿で生活してる事の方が多いな」


 まあ、確かに図体がでかくて普通に生活するのには不便な事も多いだろうしな。

 だからだろうな、このドラゴン族の里に人間が済む様な建物が建てられているのは、普通に生活する時に使う為に作られているんだろう。

 それから食事を終えて、お礼の品も受け取っているから帰宅をしようとした。


「ジン。この後は予定とかはあるのか?」


「いえ、ヴェルドさんが俺達を呼んでると知って迷宮から出て来たので、特に予定は無いですね。あるとすれば、城に素材を受け取りに行くくらいですかね?」


「ふむ……だったら、ジン達が良ければなんだが里の者達と戦ってはくれんか? 前々から、ジン達と戦いたいとあやつらが煩いんじゃ」


 ヴェルドさんからそう頼まれた俺は、クロエ達に「どうする?」と聞くと。

 「私、戦ってみたいかも」とクロエは意外と乗り気で、レイとイリスは完全にやる気だった。


「レンはどうする? クロエ達は戦いたいみたいだけど」


「う~ん。俺は別に戦いたいとは思わないけど、ジン達が戦え姿を見てみたいとは思うから見学しておくよ」


 そうレンは言って、俺も宝を貰った手前断るのもあれだなと考え、ドラゴン族と戦おうと決めた。



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