第553話 【奇襲作戦・4】
その後、王都へと戻ってきた俺達は姫様への報告をして、防衛部隊を呼び集めて会議室に集まった。
そこで奇襲部隊の隊長として動いた俺は、姫様と防衛部隊として動いてた人達にどの様な事があったのか説明をした。
「ドラゴン5体もそうだけど、魔物だけでもまだ沢山居たのね。それが王都に放たれていたら、かなり危なかったわね」
「そうですね。奇襲作戦が成功したのは、本当に良かったと思います」
そうして報告を終えた後、後日今回の事件に関して民衆に発表して、俺達の表彰式を行うと言われた。
「……それって、絶対に参加しないといけないんですか?」
「ジンは奇襲部隊の隊長なんだから、参加して貰わないと困るわね」
「隊長なんてならなきゃよかった……」
姫様のその言葉を聞き、俺は気持ちが沈みつつそう言った。
その後、報告は終わったので解散となり、俺達も宿に帰宅した。
「んっ、お前等が帰って来たって事は戦いは終わったのか?」
「ああ、終わらせて帰って来た」
「お疲れさん。今夜は英雄様達の為に普段よりも豪勢な料理にしてるからな、たらふく食べろよ」
リカルドは笑みを浮かべてそう言い、食堂の奥へと去って行った。
リカルドと別れた後、俺達は戦いで汚れてるので先にシャワーを浴び、汚れを落としてから食堂へと向かった。
そしてリカルドが準備してくれた豪勢な料理を俺達は食べて、その日は戦いの疲れもあっていつもより早い時間に眠りについた。
「そうなのね。無事にドラゴン族の救出も出来たのね」
「はい。スカイさん達から今朝、ドラゴン達が目を覚ましたと報告に来てくれました。体力はまだ完全に戻ってないみたいですが、後遺症もなく少し休んでいたら以前の様に動けると言ってました」
「ドラゴン族は知らない仲じゃないから、無事でよかったわ」
翌日、朝食を食べてスカイさんからの報告を受けた俺は、師匠にも報告をしておこうと思い師匠の家へと訪れていた。
「それにしても昨日のその戦いの時間帯、かなり強い魔力を感じ取ったけど、あれは弟子ちゃんの魔力だったのね。一瞬だったから、普通の人は気付かないと思うレベルだったけど」
「えっ、そんなにですか? 確かにちょっとイライラしていつもより魔力を強く出しましたけど、この空島まで感じ取れる魔力でしたか?」
「私が弟子ちゃんの魔力を覚えてるからだと思うけど、ここに居ても感じ取れたわ」
師匠のその言葉に対して、その魔力を出した本人である俺は逆に驚いた。
それから何でそんな魔力が出たのか詳しく聞かれ、俺は事の顛末を師匠に話した。
「成程、彼は殺されていたのね」
「はい。師匠が覚えてる程の従魔使いだったので、いつか会ってみたいと思っていたんですが、まさか今回の敵に操られていたとは思いもしませんでした……」
「それが彼の運命だったのかもしれないわね。弟子ちゃんが悔やむ事は無いわよ」
師匠からそう言われた後、これからの事について師匠から聞かれた。
「弟子ちゃんはこれから何かする予定とかは決めてるの?」
「そうですね。やる事は特に決めてないんですが、最近全く行って無い迷宮にもう一度行こうかなと思ってます。多分、そろそろ神様が新しい階層を準備してる頃だと思うので」
迷宮から出て来て暫く経つから、そろそろ新しい階層が追加されてる頃だろう。
ユリウス達やルークさん達は俺達とほぼ同時期に出て来たので、迷宮突破数も俺達がまだ一番だと思うが。
あまり悠長に構えていると抜かれそうだし、表彰式でまた世間が騒がしくなりそうだから迷宮に隠れていたいと昨日の夜に考えた。
「それなら、もし迷宮で珍しい物を見つけたら見せて貰えるかしら?」
「はい。次に出てきた際は、お土産として持ってきますね」
師匠とそんな約束をした俺は宿へと戻って来て、クロエ達とこれからの予定についての話し合いをした。
その際、クロエ達も久しぶりに迷宮探索をしたいと言い、満場一致で迷宮探索の再開が決まった。
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