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第552話 【奇襲作戦・3】


「知ってる相手が敵だと、本当にやり辛いな……」


 ドラゴン族との戦いを始めて数分が経ち、俺は目の前で徐々に傷が増えて行ってるドラゴンを見て悲しい気持ちになりながらそう口にした。

 模擬試合とかだったら、別にそこまで怪我に対して気にはしないが、今は本気で戦っているから変な緊張感を感じている。

 

「だけど大分、あいつの体力を削れたな。そろそろ、気絶させられそうだな」


「グルルル……」


 ここまで俺は相手の体力を削るように立ち回り、俺と戦っているドラゴンはかなり体力を消耗している。

 俺はそんなドラゴンに対して急接近して腹部に一発、そして背後に転移してもう一発蹴りをいれ、尻尾を掴んで地面へと吹き飛ばした。

 ドラゴンはその一連の俺の攻撃を避ける事は出来ず、全て受けて地面に倒れ込んだ。

 地面に倒れたドラゴンにすぐさま奇襲部隊の者達は駆け寄り、魔法道具で拘束を行った。


「よしっ、一匹は対処できたな」


 一匹目の処理を終えた俺は、ドラゴンと戦っているクロエ達の方を確認した。

 クロエ達は勿論の事、心配していたヨルドとデイルも上手く連携を取って、ドラゴン達と戦いを続けていた。


「……これなら加勢に行かなくても大丈夫そうだな」


 戦いを見て、俺はそう判断をしてアジトの奥へと一人で向かった。

 アジトの中に入ると、外以上に魔物が配置されていたが、ドラゴンの様に強い種族は居なかった。

 俺はその魔物達を全て魔法で倒し、奥へと進んでいくと少しだけひらけた場所に出て来た。


「お前が俺達のアジトを襲った奴は?」


「まだガキじゃねえか、こんなガキに上の奴等はやられたのか?」


「……」


 その場所には双子らしきオッサンが二人と、生気を感じないローブを被った者が一人いた。

 あのローブの奴、この魔力の感じ方からして既に死んでるな……。


「お前等がここのポスか?」


「ああ、そうだよ。俺様は死霊術師デルガ様だ名前くらいは聞いた事があるだろ?」


「そして俺様が魔導士ドルガ様だ。俺達がここのボスで驚いたか?」


 デルガ、ドルガ……どこかで聞いた名前だなと思ったら、ゲームで序盤の方で勇者に負けた敵だ。

 確かこの世界では目立った行為をせず、今まで特に排除されたとかは聞いてなかったが、こいつらがここのボスだったのか。


「死霊術師という事は、そのローブの奴を操ってるのはお前って事か?」


「よく気付いたな? そうだぞ、こいつを探すのに俺達はかなり苦労したんだぜ?」


 デルガはそう言うと、ローブを取り死者の顔を見せて来た。

 その使者の顔はこの戦いに出向く前に姫様からある人物の似顔絵を入手したと言われ、その似顔絵を見せて貰った人物にそっくりだった。


「……従魔使いシュバルツか」


「おっ、物知りだな? こいつはな国から追われる立場の人間で、森の奥でひっそりと暮らしてたんだが。俺様達はこいつの能力が欲しくてな、こいつを殺して俺様の能力で操ってるんだ」


「外の魔物達は、ぜーんぶこいつの能力のおかけで操れてるんだ。凄いだろ? こんな能力があれば、この国だけじゃなくて大陸全て俺達の物にだって出来るんだ!」


 ニタニタと笑みを浮かべ、そう俺に喋るデルガ達に対して俺はフツフツと怒りが溜まっていった。

 ドラゴン達を操り、静かに暮らしていたシュバルツまでも亡き者にして、その能力を自分の欲の為に使うその考え方は。

 俺がこれまで戦ってきた全ての敵よりも醜いと感じ、そして俺の中で溜まり続けていた怒りが頂点に達した。


「死ね。このゴミ共が」


 俺はそう口にして、一瞬にしてドルガ達に対して巨大な魔法をぶつけた。

 デルガ達は俺の攻撃を避ける事は出来ず、魔法の衝撃によりアジトは崩れ、デルガ達は外にまで吹き飛ばされていた。


「おい、起きろ。魔法で防御してたのは見てたんだよッ!」


 倒れてるデルガ達に対して、俺は更に魔法での追加攻撃を行った。

 火、水、土、風、光、俺の持つ属性魔法全てで何度も攻撃を続け、俺はドルガ達を更に叩きのめした。


「ジン。落ち着け、もうあいつらは死んでるぞッ!」


「ッ!」


 もっと痛めつけそうとした俺だったが、そんな俺の肩を掴み止めてくれたのはスカイだった。


「……すみません。少しあいつらに対する怒りが爆発して、混乱してました」


「いや、良いんだ。ジンがそうなってくれたのは、あいつらが掴まっていたからだろ?」


「それもありますが、あいつらは静かに暮らしていた者まで殺め、自分の欲の為に使っていた事が、俺の中でどうしても許せなくて感情のままに戦ってしまいました。あのまま続けていたら、周りにも被害が出ていたと思います。止めてくれて、本当にありがとうございます」


 そう俺は止めてくれたスカイにお礼を言い、それから戦いの処理を行った。

 デルガに操られていたシュバルツはデルガが死んだ事で消滅し、シュバルツに使役されていた魔物やドラゴン達は意識を取り戻した。

 意識を取り戻した魔物達は、そそくさとその場から逃げて行き、ドラゴン達はスカイの仲間に連れられてドラゴン族の里へと帰っていった。

 そして生き残った敵を捕らえ、アジトだった場所を全て破壊した俺達は、無事に作戦を終えたので王都へと帰還した。

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