第548話 【新たな情報・3】
「ドラゴン族を使役ね……正直、敵にドラゴンが居るって時点でかなり厳しい状況ね」
「そうですね。それもスカイさんから聞いた感じだと、ドラゴン族の中でも戦闘を得意としてるドラゴン達らしいので、かなりそのドラゴン達に戦力を割く事になりそうです」
「ドラゴンとは戦う事は禁止されてはいるけど、それ以外の敵とはドラゴン族も戦えるからその空いたところの戦闘は任せて欲しい」
俺の言葉にスカイがそう言うと、姫様は「ドラゴンの相手できる人と言えば、ジン達位しか思いつかないわね……」と言った。
「まあ、そうですね。これが戦闘が得意なドラゴンじゃなかったら、他の人にも任せられましたけど、戦闘が得意となるとそれなりの実力者をぶつけない事には難しいですね。後は、一応はスカイさん達の里のドラゴン族なので殺さないように注意も必要ですからね」
「万が一の時は使役されてしまったあいつらが悪いと、親父も言ってたけど出来れば殺さないで欲しいと言うのがドラゴン族の総意ではあるね」
「となると、益々ジン達頼みになりそうね。その事については、明日の話し合いで決めましょうか」
そう姫様は言うと、今日の所はこれで話し合いは終わりにする事にした。
明日の話し合いにはスカイも同行する事になり、一緒に宿に泊まる事になった。
そして翌日、会議室にスカイとクロエ達と共に集合して、前回の会議から新たに集まった情報を聞いた。
その会議の最中、敵陣営に使役の得意な者がいてドラゴン族が使役されている事が伝わると、強者ばかりが揃ってはいるが動揺していた。
まあ、ドラゴンが相手となると動揺するのも仕方ないだろう。
「一先ず現段階では、そのドラゴン達の相手は俺達がする予定では居ますが、相手の戦闘能力をこの後にドラゴン族と話し合って聞いて、他の人でも相手出来そうなら任せたいと思います。特にこの中だと、勇者とヨルドは候補者なので準備だけはしておいて」
「フフッ、ドラゴンと戦える機会なんて中々無いものね」
「ドラゴン族を無理矢理使役してるのであれば、僕も闘いたいからそうなったら全力で相手をするよ」
勇者とヨルドは既に意気込みはバッチリの様で、かなりやる気に満ちていた。
その他の者達も一度は臆していたが、そんな二人の様子を見てやる気になっていた。
それからドラゴン族が持って来てくれた調査内容と、国で調べた調査内容を合わせて明日もう一度集まる事になった。
「ジン君、ちょっといい」
「どうしました。勇者様」
「僕の事はセインって呼んでくれるって約束してくれたのに、何でまだ勇者呼びなの……」
会議が終わり、各自部屋を出て行っており俺達も部屋を出て行こうとしたら、勇者に呼び止められた。
そしてそんな勇者は、俺が〝勇者〟と呼ぶと肩を落として悲し気にそう言った。
確かに前回会った大会終わりに、勇者とはそんな約束をしたような気がする。
「忘れてた。それで、セインどうしたんだ?」
「うん。実は、ちょっとジン君に頼みたい事があってね。これからちょっと、時間あるかな?」
セインからそう聞かれた俺は、クロエ達を宿に送ったら特にする事は無いと答えた。
すると、その後に少し用事に付き合って欲しいと言われたので、一度クロエ達を宿に送り、再び会議室へと戻って来た。
「それで、態々俺だけを呼び止めた用事ってなんだ?」
「うん。実は大会から、大分僕も強くなったと思うんだ。それでこれからの戦いが始まる前に、ジン君と手合わせをしたいと思ってさ」
「模擬試合の申し込みか、なんか特別な用事があるかと思ってたのにそんな事か……緊張した様子だったから、何か他の人には聞かれたらまずい事かと思ったぞ」
「ご、ごめんね。僕からしたら、あんまりこういう機会が無かったから緊張して……」
セインにそう言われた俺は溜息を吐き、その頼みに対して「別に良いぞ」と答えた。
俺自身、ドラゴン族を相手してもらおうと考えてるセインの実力を確認しておきたいと思っていた所だ。
その後、俺はセインを連れて王都内だと問題になりそうだから、王都の外の草原へと転移で移動した。
【作者からのお願い】
作品を読んで面白い・続きが気になると思われましたら
下記の評価・ブックマークをお願いします。
作者の励みとなり、作品作りへのモチベーションに繋がります。




