第547話 【新たな情報・2】
「えっ、なんでスカイさんが王都に居るんですか?」
「ちょっとジンと話したい事があってね」
いつも楽しそうにしていて、元気なスカイだが今のスカイは落ち着いた雰囲気をしていて、なんだか少しだけ怖さを感じた。
俺はそんなスカイとこの場で話す内容か聞くと、出来れば二人になりたいと言われて俺の部屋へと移動した。
「それでスカイさん、何があったんですか?」
「……少し問題が起きてね」
「問題ですか?」
深刻そうな雰囲気のスカイに、俺は真剣な表情でそう聞き返した。
「少し前に里のドラゴンが数体行方不明になってね。本来、里から長期間い無くなる際は長である親父に話をしてから出て行くんだけど、そのドラゴン達は急に居なくなったんだ」
「そういう事は今までは無かったんですか?」
「親父が長になってからは一度も無いね。そもそも、ドラゴン族は完全な実力社会だから頂点である親父に従う事が決まってて、それが嫌なら里から出て行くか長へ挑戦して自分が頂点になるかのどちらかなんだ」
そうしてスカイ達、里のドラゴン族は消えたドラゴン達の捜索をしていると、とある怪しい連中を見つけた。
そして、スカイ達はそいつらの事を監視していると、消えたドラゴン達が隷属された姿を目撃したと言った。
「ドラゴンを隷属って、そんな事が出来るんですか?」
「今まで聞いた事も無くて親父もそれを知って、凄く動揺してたね。普通にそのドラゴン達が里を自分の意思で出て行ったのなら、里を追放するという形で治まったんだけど、そんな事になっていてあの親父でさえもどうするか悩んでいるんだ」
「……ドラゴン達なら普通に力で救出とか出来ると思いますけど」
「親父が作った里のルールで、里の者同士での殺し合いはしない事が決められていて、隷属されたとはいえ里の仲間であるドラゴンとは戦えないんだ」
スカイは悔しそうな表情でそう言い、仲間を助けられない事が本当に悔しいという思いが伝わって来た。
「特別にルールを破ったとしたら、ルールの効力が薄れるかもしれないって竜王様は考えてる感じですかね」
「いくら今回が特別な事態だとしても、もしも今後それを理由に里の者同士で殺し合いなんか怒ったら、このルールの意味が無くなってしまうからね。その事を親父は危惧して、救出が出来ない状況なんだ……」
「話は分かりました。今すぐに救出に行きたい所なんですが、俺達も今は色々と忙しい状況なんですよね……」
普段であれば、特に縛られても無いから直ぐに救出に迎えた。
だが今は、重大な戦いをしている最中で俺達がいきなりいなくなったら、国にも迷惑を掛けてしまう。
「ジン達が今は忙しい事は知ってる。それについてなんだけど、今回のこのドラゴン族の問題と今のジン達の問題は関係してるんだ」
「……薄々予想はしてましたけど、今俺達が相手してる黒幕がスカイさん達の外のドラゴンを隷属してるんですか?」
「ああ、それもさっきは数体と濁して言ったけど、正確に言うと5体のドラゴンが隷属されている状況だね」
スカイのその言葉を聞き、俺は溜息を吐いた。
「すみません。スカイさん、この後時間がありましたら一緒に姫様の所に行く事は出来ますか? 今の話を早く伝えておいた方がいいと思うので」
「大丈夫だよ。ドラゴンと戦いこそは出来ないけど、それ以外の事は協力するつもりで来てるからね」
「ありがとうございます」
スカイにそうお礼を言った俺は、本日二度目となる王城へと転移で向かった。
そして王城へと移動すると、姫様は用事で席を外していて俺達は部屋の中で少しだけ待つ事になった。
それから数分後、姫様は慌てて部屋にやって来た。
「……ジンが突然来たという事は、それなりに重要な話があると思って慌てて戻って来たけど、私の想像していた以上に重要な事が起きたみたいね」
「流石、姫様ですね。その予想は当たってますよ」
「当たりたくなかったわね……」
そう言いながら溜息を吐いた姫様は、椅子に座って俺とそんな姫様に対してスカイから聞いた話を伝えた。
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