第545話 【王都待機・5】
それから、俺達は戦い続け一時間程経っても、まだ魔物はかなり数が残っていた。
「本当に数だけは沢山居るな……」
「雑魚ばかりだが、数が多いせいでお前達でもまだ倒しきれないみたいだな、ここまで魔物を操るとは今回の敵はそれなりに強そうな相手だな」
「……確かに、この数の魔物を一度に操ってるという事はかなり強そうだな。これに気付いたら、またレイがはしゃぎそうだな」
俺はベルロスと話しをしながら戦い続け、更に一時間程戦うと魔物の数が減って来た。
ようやく減り出した魔物に終わりが見えて来たなと感じつつ、一旦休みたいと考え、リウスに任せる事にした。
「全部倒しても良いの?」
「まあ、俺が戻ってくるまでは好きに戦ってて良いけど、倒し漏れが無いように気を付けるんだぞ」
リウスは久しぶりに暴れられると知ると、嬉しそうに飛んでいった。
それから俺はクロエ達を回収して、一度休憩を取る事にした。
「皆の所はどんな感じ?」
「まだ沢山居て、いつまで続くんだろうって考えてた」
「俺もだな、正直イリスが居て本当に良かったよ。俺一人だと厳しい相手も居たからな」
まず最初に、クロエとレンが疲れた表情でそう俺の質問に答えた。
そしてそんな二人とは対照的に、イリスとレイは楽し気な表情をしていた。
「こんなに長時間戦っても魔物が尽きないの、本当に初めてだから凄く楽しいよ」
「私も今まで訓練していた事を色々と試せて、いい機会だなと思ってます」
「二人はクロエ達とは違って、活き活きしてるな……正直、俺でもきついなって思ってたのによくそんなに元気だな」
数時間既に戦い続けていたのに、未だに元気な二人に俺は信じられない者を見るかのような視線を向けながらそう言った。
「待機命令されてて、戦いたいってずっと思ってたから疲れを感じないんだよね~」
「私も同じです。折角、強くなり始めたのに待機する事になっていて、戦いたくても出来ない状況が続いていてずっと早く戦いたいと思っていたんです」
「イリスがこんなにもレイに似るとは、最初であった時は思わなかったよ……」
パーティーに二人目の戦闘狂が出来上がってしまった事実に、俺はそう少し悲し気に呟いた。
その後、30分程魔物はリウスに任せてシッカリと休憩を取った俺達は、再び魔物共との戦いを再開した。
「リウス。もう戻ってもいいが、まだ戦いたいのか?」
再開後、リウスはまだ戦っていたいのか戻ろうとしなかった。
「うん。戦いたい!」
まあ、リウスもレイ達と同じで最近はずっと戦え居なかったから不満が溜まっていたのだろう。
そう思った俺はさっきの休憩時間に、苦労していたであろうクロエの方の手伝いをする様に指示を出した。
クロエと同じくレンも苦労していたが、レンの方にはイリスが居るから大丈夫だろう。
「ふぅ~、ようやく倒し終えたな……」
朝から王都を出発して戦い続け、辺りはすっかりと陽が落ちてしまっていた。
軽く十時間以上は戦い続けた事になり、その間に皆で休憩をとったのは一度だけで、後は各自で休憩できる時に休んでいた。
そうして戦いを終えた俺達は、直ぐにでも風呂に入って休みたい所だったが、本当に魔物を倒し終えたのか確認作業を始めた。
「うん。大丈夫。全く、魔物の気配は感じないよ」
「そっか、良かった。これで終わりだな……」
クロエに魔物が生きてるか確認してもらい、完全に戦いが終わったと報告を受けた俺は皆を連れて王都へと帰還した。
そして、本来であれば直ぐにでも姫様に報告すべきだが。
流石に疲れすぎた俺は、宿に滞在してる姫様の部下に報告は明日すると伝えて、今日は休む事を優先した。
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