第544話 【王都待機・4】
拠点へと戻ってきた俺は悪魔達に対し、万が一の時に備えて王都の警備をするように指示を出した。
倒し漏れが無いように最善は尽くすつもりだが、実際に魔物の数を見てないから安全策は取っておいて損は無いだろう。
「という訳で、クロムさんにも王都の警備をしてもらいたいんですけど、お願いできますか?」
「そういう事なら俺も力になるよ。ジン達には世話になったし、国にも俺のせいで迷惑を掛けたからな」
悪魔達への指示を出した後、力を封印してるあいつ等だけでは心配だと考え。
王都に居て強い人は誰かと考えた際、真っ先に思いついたクロムさんの家にやって来て、俺は今回の事を伝えた。
クロムさんは前回、獣人国の問題関係で国と俺達に世話になったからと、俺の頼みに直ぐに引き受けてくれた。
クロムさん達が協力してくれるなら、万が一倒し漏れがあったとしても被害は少なく済むだろう。
「遂にお前達の出番なのか、出発は明日なのか?」
一日かけて準備を終えた俺達は、宿で夕食を食べているとリカルドからそう聞かれた。
「ああ、早い内に向かった方が良いからな」
「そうか、まあお前達なら心配はないと思うが、無事に戻って来いよ」
リカルドからそう応援された俺は、「無事に戻って来るよ」と笑みを浮かべて約束をした。
その後、シャワーを浴びていつもより早くにベッドに横になり、眠りについた。
そして翌日、俺達は装備に着替えリカルド達から見送られながら、魔物の大群が居るであろう場所の近くに転移で移動した。
「目視できる位置ではないけど、魔物の気配をかなり感じるな……」
「数百……ううん。多分だけど、少なくても二千匹の魔物は居るね」
「そんなに沢山!? 楽しみッ!」
俺達の中で最も感知能力の高いクロエは、目視する事の出来ないこの場所から魔物の数を伝えると、レイは嬉しそうな表情でそう言った。
「レイ。一応言っておくが、遊びじゃないからな? いつもみたいに戦いを楽しむのは無しだ。今回は、王都の安全も掛かってるんだからな」
「分かってるよ! 私は久しぶりに力を出せる事にワクワクしてるだけで、戦闘はちゃんと本気でやるよ」
レイは俺から注意をされると、ちょっとだけムキになった様子でそう言った。
それから俺達は各自、必要最低限の回復薬を装備して魔物の所へと向かった。
今回の戦闘方法は、いつもみたいに固まって戦っていたら囲まれて数で負ける可能性もある。
なので各自担当場所を決めて、そこの魔物達を討伐するという作戦となっている。
念の為、イリスはレンと組ませ、俺、クロエ、レイは一人一つの場所を担当する事になっている。
「ベルロス。久しぶりに全力で行くぞ」
「ハハッ、俺を使ってくれるのか。てっきり、リウスの方を使うと思ってたよ」
「最後まで迷ったが、リウスの力は温存しておく事にしたんだよ。それにお前の力を残しておいても、人が居る場所では使えないからこういう時に使っておかないとお前も暴れ足りなくて不満を感じるだろ?」
「悪魔思いの主で、こんな刀に封印されてるのに感謝したくなっちゃうな」
ベルロスはそう笑いながら言い、俺はそんなベルロスの力を身に纏った。
そしてベルロスの力を引き出し、巨大な魔法を一気に数十個作った俺はそのまま魔物共に向かって放った。
「ひゅ~、最初から全開だな。魔物共はまだ沢山いるのに、最初から飛ばしてても良いのか?」
「その為に沢山、回復薬はもってきてるからな。心配なのは回復薬を飲み過ぎて、腹を壊さないかだけが心配だよ」
その後、俺の魔法が戦闘の合図となりクロエ達の所からも戦闘音が聞こえ始めた。
数千体も居る魔物達は、そんな俺達の攻撃に一切臆する事は無く。
目の前に現れた敵である俺達に対し、威嚇を放ち魔法が使える者は魔法を使い反撃をしてきた。
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