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第543話 【王都待機・3】


「それで姫様、王都に魔物が向かって来ていると手紙に書かれてましたけど、具体的にはどの程度が向かって来ているんですか?」


「そうね。近々の情報だと、千匹以上だとは確認されているみたいね。少しずつ魔物を削ってはいるけど、かなり厳しい状況ね……」


 姫様はそう言うと、今朝作られた資料を渡してくれたので俺達はその資料に目を通した。

 その資料には数種類の魔物達が一直線に王都に向かって集まっていて、かなり異様な光景となっているみたいだ。


「そもそも、これの原因は分かってるんですか?」


「……まだそこまで調査は出来てないのよね。何者かが魔物を操ってるんだろうとは考えてるけど、それが何者なのかまでは分からないわ」


 悔し気な表情で姫様はそう言い、俺は「そうですか……」と口にした。

 その後、この魔物については俺達で対処する方向で準備を進める為に話し合いは終わらせて、各自準備に取り掛かった。


「それで弟子ちゃんは態々、私の所に来たのね」


「はい。魔物を操ってる者に関して、師匠の知恵を借りたいと思いまして」


「ふふっ、弟子ちゃんに頼って貰えて師匠として嬉しいわ」


 話し合い後、俺はクロエ達を王都に残して師匠の居る空島へと来ていた。

 大陸を放浪していた師匠なら、魔物の大群を操ってるであろう人物に関して、何か知ってるのではないかと思い聞きに来た。


「そうね。弟子ちゃんの力になれるか分からないけど、その魔物の大群を操れそうな人物が一人だけ想像が出来るわ」


「えっ、本当ですか?」


 師匠は一人だけ想像が出来ると言い、俺はその言葉に驚いて反応した。

 もしかしたらと思って話しを聞きに来ただけなのに、師匠は凄い人だとそう感じた。

 そうして師匠から、そのとある人物について話を聞いた。

 名前はシュバルツという名で、十数年前まで活躍していた冒険者だと教えられた。

 身分は元貴族と、俺と同じで元の家が金銭的な事情で没落した元貴族らしい。


「その彼は幼い頃から魔物と仲が良くて、スライムやボアと言った下級の魔物を育てていたらしいわ」


「そんな子供の頃から従魔使いとしての才能があったんですね」


「ええ、大人になった彼は家が没落した後は冒険者としての生計を立てつつ、沢山の魔物を使役していたわ」


 しかし、ある時にシュバルツは大事件を起こした。

 その事件とは、家が没落した原因を作った詐欺集団と遭遇し、シュバルツはその者達を全て亡き者にしてしまった。

 その詐欺集団がただの詐欺集団なら良かったのだが、国の貴族も絡んだ大きな詐欺集団だったらしく。

 それからシュバルツの生活は再び暗転し、ただの平凡な冒険者から追われる身となってしまった。


「それから数年間は各地でシュバルツの痕跡が見られたんだけど、今の今まで彼の消息は完全に途絶えているわ。私は彼程の魔物使いの才能を持つ者は居ないと思うから、それだけの規模の魔物を操れるのは彼なんじゃないかと思うわ」


「成程、ありがとうございます。この事は国に話しても大丈夫ですか? 国なら、その人物の情報を持ってるかも知れませんから」


「ええ、別に構わないわよ。弟子ちゃんの好きな用にしていいわよ」


 師匠からそう言われた俺は、情報を提供してくれた事を感謝して、また落ち着いたらお礼の品を持ってきますと言って転移で移動した。

 そうして俺は再び王城へと戻って来て、姫様に師匠の所で聞いた話をした。


「シュバルツ……その冒険者について、私も少し聞いた事があるわ。当時、数十匹の魔物を使役して冒険者活動をしていた凄腕の従魔使いね」


「はい。師匠曰く、彼程の従魔使いは知らないとの事でしたから、今回の事にもしかしたら絡んでる可能性もあります」


「分かったわ。その人物について、こっちでも調べてみるわね」


 姫様は話を聞くとそう言って、直ぐに部下を呼び出してシュバルツに関しての情報を探す様に伝えてた。

 そして俺も魔物との戦いに向けて準備をする為、姫様に「また何かありましたらご連絡下さい」と伝え、拠点へと転移で移動した。


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