第542話 【王都待機・2】
それから暫く、クロエ達の戦いを見ていると裏庭にレドラスがやって来た。
「お前が裏庭に来るなんて珍しいな、何かあったのか?」
「ジン宛の荷物が届いたから、丁度俺が受け取ったし私に来たんだよ。多分、見た感じ王城からの物だと思うぞ」
そう言われて俺はレドラスから手紙と、木箱を受け取った。
「まあ、まずは手紙から見るか」
レドラスから受け取った木箱は取り合えず後から見る事にして、まずは手紙を開けて中を確認した。
手紙の内容はこの数日間の調査結果についての報告と、木箱の中身についても書かれていた。
箱の中は竜人国から、俺達に対する贈り物が入っていると書かれていた。
「ジン君、その箱どうしたの?」
「ああ、竜人国からの贈り物らしい」
そう言うと、レイは「何が入ってるのか気になる!」と早く箱を開けようとした。
俺はそんなレイを止め、これは俺達に対する贈り物だからレン達も一緒に中身を確認しようと俺は言った。
そうして俺は箱を一旦、【異空間ボックス】の中に入れて研究所にレン達を呼びに向かった。
「へ~、それが竜人国から送られてきた贈り物か」
「ジン君、早く中身見ようよ!」
レイはこれ以上は待てない! といった様子なので、俺は木箱の蓋を開けて中を確認した。
箱の中には、一枚の紙と本が入っていた。
本の題名は〝錬金術〟とだけ書かれていて、まずは手紙から読む事にした。
その手紙には、この本についての事が書かれていた。
「成程な……この本は先日、王城の整理をしていた時に見つかったらしく、題名の通り中身は錬金術の事がかかれてるらしいんだ。だけど、竜人国はそこまで錬金術に力を入れてないから、錬金術の腕が高いレンにこの本を譲る事にしたらしい」
「俺に? いやまあ、題名を見た感じ俺にしか需要の無い本だとは思ったけど、俺だけこんな贈り物を貰ってもいいのか?」
レンは自分だけ贈り物を貰う事に対し、少しだけどうしようかと悩んでいた。
「まあ、俺達が貰った所で役立てる事は出来ないからな、レンは気にせず貰ってくれ」
「うん。そうだよ。それに本を貰っても、私は読みきれないからね!」
「私も大丈夫だよ」
そんなレンに対して、俺達はレンに快く受け取ってくれとそう言った。
皆からそう言われたレンは、錬金術が使えるイリスに向かって「一緒にこの本で勉強しよう」と言って本を受け取った。
それからレンとイリスは、早速本の勉強をする為に研究所へと戻り、俺達も裏庭に戻り訓練の続きをする事にした。
「ジン様、手紙の件ですがお読みになられましたか?」
その日の夕方、宿に戻って来て夕食とシャワーを終えた俺は部屋で休んでいると、宿に待機している姫様の部下が部屋に来てそう聞いて来た。
「ああ、読んだよ。だけど本当なのか? 王都に魔物に向かって来てるって」
「本当です。向かって来ている数は日に日に増していて、道中で勇者様達に倒して貰ってるんですがその歩みは止まる事無く、王都に向かって来ているらしいです」
王城から送られてきた手紙には、王都に向かって魔物の大群が向かって来ているという事が書かれていた。
昨日の時点でルークさんからは、こんな話は聞いてなかったから驚いた。
なので訓練を終えて宿に戻ってきた際、改めてルークさんと話をしてみると。
魔物の大群はルークさん達の持ち場とは、反対の所から発生していた事が分かった。
「勇者達の力でも止められないって、その魔物達は強いのか?」
「私も実際に見た訳では無いですが、報告によりますと個々の能力はそこまで高く無いみたいですが、普通だとあり得ない程の数がいる為、対処が難しい見たいです」
「ふむ……分かった。取り合えず、改めて明日王城でそれについて話を聞きに行くと、姫様に伝えておいてくれるか?」
「わかりました」
そう言うと姫様の部下は、部屋から出て行った。
姫様の部下が去った後、俺は明日は大変な一日になりそうだなと思いながら、ベッドに横になって眠りについた。
そうして翌日、朝食を食べ終えた俺は皆を連れて王城へと移動して来た。
昨夜、部下伝えで来る事を伝えていた姫様は、俺達の為に時間を作ってくれていて直ぐに話し合いを始めた。
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