第541話 【王都待機・1】
会議から数日が経過した。
集められた強者達は国の指示に従い、それぞれの役割の為に行動を開始し、俺達もまた姫様からの指示通りに王都に待機している。
「ふぅ~……休憩にしようか、レイ」
「は~い。ジン君、ありがとね」
王都に待機する事になった俺達は、依頼に出掛ける時間を少なくする事になり、暇な時間が増えてしまった。
その為、時間を潰す為に訓練するしか活用方法は特になかった。
「クロエとイリスも、休憩をとろうか」
「「は~い」」
別で訓練をしていたクロエとイリスに声を掛けた俺は、そうして皆で休む事にした。
この場に居ないレンは、薬の量産を行っている。
戦に向けて、大量に薬が必要だと国から言われたレンは材料は国が用意してくれた為、依頼の時間以外はほぼ研究所に籠っている。
偶にイリスもそっちに向かって、助手としてレンの作業を手伝っているが、こうして一緒に訓練している事もある。
「ジン君、姫様から何か連絡は来てないの?」
「まだ来ては無いな。昨日、話を聞きに行ったけど他の人達が作戦の為に行動してるみたいだから、もう暫くは俺達は待機してる感じだな」
「そうなんだ……早く、悪者を討伐して好きに生活したいな~」
そうレイの言葉に続き、クロエとイリスも前の生活に早く戻りたいと愚痴を零した。
その後、10分程休憩を取り再び訓練を再開した俺達は陽が沈むまで訓練を続けた。
「あれ、ルークさん達戻って来てたんですか?」
「ついさっき戻って来たんだよ。報告の為にな、ジン達はずっと王都に待機か?」
「はい。正直、ずっと待ち続けてるのでレイの奴がそろそろ爆発しそうですね」
宿に戻って来ると、王都の外へと出掛けていたルークさん達が帰って来ており、俺はルークさん達との情報交換を行った。
その際、軽く外の様子を聞いたが各地で魔物の生態系が乱れつつあって、早めに対処したおかげで大きな問題はまだ起きてないみたいだ。
「国の対処が早かったおかげですね」
「ああ、本当にな」
その後、久しぶりにルークさん達と夕食を食べた。
そして夕食を食べた俺は、先にシャワーを済ませていたのでベッドに横になり眠りについた。
翌日、朝早くに起き、ここ最近の日課となっている運動をする為、拠点の庭に向かい。
一時間程、体を動かして宿とへ戻って来た。
「ジン、朝っぱらから訓練してたのか?」
「そんなガチガチの訓練じゃないですよ。少しでも体を動かしておかないと、今の生活で疲れる事が無いので寝れなくなるんですよ」
「もしかして、昨日やけに早くに寝てたけど、それが関係しているのか?」
「はい。あまり夜遅くまで起きていると、今の丁度いい感じが崩れてしまうので夜更かししてないんですよ」
そうルークさんに説明をすると、ルークさんは俺達の辛さを理解してくれて労いの言葉を掛けてくれた。
それから少し食堂でルークさんと喋っていると、クロエ達が起きて来て食堂に集まり、朝食を食べる事にした。
「ジン達は今日は何するんだ?」
「今日というか、いつも朝食を食べた後はギルドが用意してくれた依頼を受けに行きますね。それに関しても、一時間程で移動から含めて全て終わるので、それが終わったら拠点に向かって訓練の開始ですね」
「そんな生活をここ数日間ずっと繰り返してます。正直、飽きてます」
俺の言葉に続けてクロエがそう言うと、エリスさんは「楽しみが全くないものね」と同情した表情でそう言った。
それから朝食を食べ終えた俺達は、ルークさん達に「行ってきます」と言ってギルドへと向かった。
そしてギルドに到着した俺達は、受付で待っていたフィーネさんから前日に決めていた依頼の手続きをしてもらい。
その手続きが終わったら、ギルドを出て目的地へと転移で向かった。
討伐系に関しては、最早苦戦する事は無く用意していた依頼を終えた俺達は王都に戻って来て、達成報告を行った。
「既に数日が経過しましたが、たった一時間で依頼に向かい達成して戻って来るなんて、こんな事が出来るのはジンさん達位ですね」
「転移のおかげですね。これが無かったら、馬車で移動しないといけない距離だったりするので、かなり大変だったと思います」
達成報告はギルドの部屋を借り、受付では無く別室で行っている。
ただ達成報告する為だけなら、こんな部屋を用意するのは意味が無いが。
翌日の仕事をスムーズに行う為、この時間に明日受ける依頼も決めている。
「ジン君、どうする? 明日の依頼も討伐系にする?」
「まあ、折角依頼を受けるなら討伐系の方が体も動かせるし、何よりレイは戦いたいだろ?」
「ずっと王都に居るから、討伐系を受けられるならそっちの方がいいかな」
そう話し合って、明日受ける依頼も討伐系の依頼を受ける事にして、明日も今日と同じ時間帯に来ると伝えて、俺達はギルドの建物を出た。
その後、宿には戻らずそのまま拠点へと向かって、今日はイリスはレンの助手として研究所の方へと行った。
「さてと、昨日と同じように模擬試合でも良いけど、最初は誰と誰が戦う?」
そう聞くが話し合いでは決まらず、結局はじゃんけんで勝った二人が戦う事になった。
ジャンケンの結果、俺は負けてしまったので二人の模擬試合をベンチから眺める事にした。
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