第533話 【冒険者活動、再開・2】
その後、特に困った事も無く依頼を消化していった俺達に対し、依頼を出したい人が増えたという事をフィーネさんから聞かされた。
「まあ、受けられる依頼は受けますけど、流石にそんなに大量は俺達もいくら依頼速度が速いとはいえ厳しいですよ?」
俺達に対しての依頼書を一度見せて貰った俺は、少なかったら優先的に受けようかなと思っていた。
しかし、俺達の前に出された依頼の量は俺の想像を超えていた。
「ええ、ですので本当にジンさん達でないと厳しそうな依頼だけ選び、他は普通の依頼の方に回す予定です。それでこちらが、この依頼から抜いた依頼になります」
「三つですか……」
依頼の山から選び抜かれた依頼は三つだけで、二つは討伐系で一つは採取系と依頼だった。
緊急そうなのは討伐系な気がした俺達は、討伐の依頼から先に終わらす事にした。
「そう言えば、ここって前にブラックウルフの討伐依頼で来た街の近くじゃない?」
最初の討伐依頼場所にやってくると、クロエがそんな事を言った。
確かにクロエの言う通り、今回の依頼場所はあの街の隣街に位置する場所だ。
「なんだか前も対象の依頼とは別の魔物が沢山居たし、今回も緊急依頼で沢山魔物がいそうな気がするね」
「警戒しておいて損は無いだろうな。取り合えず、情報を聞きにギルドにいくか」
その後、この街の冒険者ギルドで情報を聞くと、今回は多くの種族が集団で街の近くに居座ってるという情報を聞かされた。
前回もそんな感じだったし、もしかして魔物の生態系か少し終わってるのかも知れないな。
「今日の依頼が終わったら、ハンゾウの所に情報を聞きに行った方がいいな……」
そう俺は移動しながらそんな事を考え、それから魔物を討伐して次の依頼へと向かった。
そうして三つの依頼を終えた俺達は、王都へと戻って来てクロエ達を宿に送り、俺はハンゾウの店へと向かった。
「なあ、ハンゾウ。最近、魔物の生態系に変化とか起きてないか?」
「何だ。ジンも気づいたのか?」
「気づいたって、もしかして本当に生態系に何か変化が起きてるのか?」
ハンゾウの言葉に俺はそう聞き返すと、ハンゾウは独自に調べたここ最近起こってる魔物の生態系の変化について教えてくれた。
ここ一年でこの大陸で色んな事が起き、それによって魔物の住処がおかしくなり、本来であればそこに生息しない魔物が生息したいたりと。
この一年間でゆっくりと変わって来ていたらしい。
ハンゾウもその事に気付いたのは、一月程前でそれについて調べてる最中だと教えてくれた。
「この事は国は知ってるのか?」
「知っていると思うぞ、多分ジンに伝えなかったのはジンが忙しそうにしていたから、無理をさせない為に教えなかったんだろうよ。今のこの国で最高戦力はお前等だからな、無理をさせて倒れられても困るからな」
「……取り合えず、その生態系の変化についての情報を全て買わせてくれ」
俺はそう言ってハンゾウから情報を買い取り、宿に戻って自室に入った俺は資料を読み始めた。
「ワイバーンが村付近まで降りて来た事例もあるのか……」
資料の中にはここ数ヵ月で起きた事件が書かれており、その中でも俺の目に入ったのはワイバーンが村まで降りて来たという内容だ。
その村は王都から少し近い場所だった為、直ぐにユリウスが派遣され討伐した事で被害は家屋の破壊程度で済んだみたいだ。
他にも街の近くまで魔物が現れたり、事件が起きたという情報が書かれていた。
こんな事件が起きているから、俺達に受けて欲しい依頼があんなにあったのかもしれないな。
「しかし、これだけの事件が起きているのに原因は未だに解明されてないというのも謎だな……」
しかもこれが起きてるのは、この国だけで他の国にはこんな事は起こってないみたいだ。
もしかしたら、何者かがこの国を狙って魔物を使役してる可能性もあるな……。
【作者からのお願い】
作品を読んで面白い・続きが気になると思われましたら
下記の評価・ブックマークをお願いします。
作者の励みとなり、作品作りへのモチベーションに繋がります。




