第527話 【戦いを終えて・1】
獣人国の悪魔を倒して始めた話し合いはかなり長引き、気づけば陽は完全に落ちていた。
一応、戦いに参加していた俺達は最後まで付き合おうと思って話し合いに参加したが、今はちょっとだけ後悔している。
「ジン君、話し合いは終わったし私達はどうする?」
「そうだな、俺の転移だったらここから王都まで帰れるから帰っても良いんだけど……」
そう俺は言いながら、周りを見ると悪魔との戦いでボロボロになった地形が目に入った。
「全部するってなると、また大変な事になるけどこの戦いの跡地になった所位は綺麗にしてやりたいって気持ちはあるよね」
「それはそうだね~。私も悪魔との戦いだからって、地形とか全く気にせずに戦ってたけど相当荒らしちゃったもん」
「私もレイお姉さまにつられて、ちょっと派手に壊し過ぎました……」
俺達は悪魔と戦った跡地を見て、そう反省をするとクロムさんから「別に気にしなくても良いんだぞ?」と言われた。
「あんな悪魔を倒してくれたんだから、感謝はするが咎めたりはしない筈だぞ。そうだろ、親父?」
「ああ、街なんてまた作ればいいからな。悪魔共を倒してくれたジン殿達を非難する者は獣人国には誰一人いないですぞ」
獣人国の王であるクロヴィスさんからそう言われた俺は、王がいうなら……と思い。
自分達が壊した所の修繕は、獣人国に任せる事にした。
その後、俺達は船の所へと戻って来てハンゾウのノックスに声を掛けた。
「あれ、もう終わったんですか?」
「ああ、悪魔も退治したから後は帰るだけなんだが、お前はどうするんだ?」
「そうですね。この船の事もありすから、私はゆっくりと船で帰ろうと思います」
「なんなら、送る事も出来るがいいのか?」
俺の【異空間ボックス】を使えば、この船も持ち運ぶことも出来るだろうし、ここまで送ってくれたのに一人で帰れというのも酷な話だろう。
「大丈夫ですよ。それにこっちの大陸で活動をしてる方達を一旦、ハンゾウ様の元へと送る仕事もありますので」
「ああ、そんな仕事もあるのか。それなら、余計だったかもな」
ハンゾウの部下は一部を除いて、どこにハンゾウの部下がいるのか俺でも理解できていない。
それはハンゾウ達がやってる事が情報屋で、情報を探る為には身分を隠しておく必要があるからだ。
そんな部下達と面識を持つと、そいつらが獣人国での活動に支障が出るかもだから、俺はノックスにそう言ってその場を離れた。
「それじゃ、俺達は王都に戻りますか」
俺はそう言って獣人国の人達に見送られながら、転移魔法でクロムさんとエレナさん、そしてクロエ達を連れて王都の拠点戻って来た。
「ジン達、今回は俺のせいで色々と巻き込んですまなかったな。本当に助かったよ」
クロムさんはそう言いながら俺達に頭を下げると、エレナさんも一緒に「ありがとう」と言って頭を下げた。
その後、クロムさん達は自宅へと帰り、クロムさん達を見送った俺はクロエ達を拠点に残して、報告の為に王城へと転移で向かった。
「そんな強い悪魔が別大陸に居たなんて、普通なら信じられないけどジンの口からきくと、それが嘘じゃないって事が分かるわね。本当に魔女でも苦戦を強いられた相手だったの?」
「魔力を無効化してる為、師匠の得意な魔法が封印されて、その逆に悪魔は肉体が強い獣人族にとり憑いていたので苦戦をしていましたね」
「そうなのね……ジンが近接戦闘も出来て、本当によかったわね。そうじゃなかったら、最悪の場合はこっちの大陸までその悪魔は襲いに来てたって事でしょ?」
「はい。間違いなく、そんな感じでしたね。まあ、安心してください。そいつは既に力を封印されて、今は師匠に監視されてますから」
あの悪魔は他の悪魔とは違い、師匠が監視すると言っていた。
一度、力を封印していたのにこんな事を犯したから、厳重に見張っておくつもりなのだろう。
それから姫様への報告を終えると、姫様から後日来て欲しい要件があると言われて、日程が決まったら連絡をすると言われた。
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