第525話 【獣人国の悪魔退治・3】
「マリアンナ様が凄いのは分かってたけど、あそこまで凄いんだね。魔女って、本当に私達とは別事件の強さを持ってるね」
師匠と悪魔の戦いを見ていたクロエは、俺の隣へと来てそう言った。
あの悪魔からは、立っているだけでもヒリヒリと魔力の圧を感じるが、そんな悪魔に対して師匠は一歩も退かず押しまくっている。
「しかし、変だな……あのゴミクズ野郎にマリアンナ様と対等に戦えるほどの力は無かった筈だが、あそこまで何故戦えるんだ? いくら、獣人族の魂を捧げられたとはいえ強くなりすぎだ」
戦いを見ていたベルロスは、そんな疑問を呟いた。
確かに、ベルロスや師匠の言い方敵にあの悪魔はそこまで強くは無い筈だ。
しかし、そんな悪魔は師匠と互角にやり合っている。
「そこ俺も気になっていたんだよ。ベルロス的にあの悪魔の実力はどの程度なんだ?」
「俺の覚えてる限りだと、クロエと同等位の実力だ。それがマリアンナと互角にやりあっていて、何を見せられてるんだ? という気持ちだ」
「それは確かにおかしいと思うな……」
ベルロスの話を聞き、俺も何かがおかしいかもと思い回りをよく見てみた。
すると、ここから少し離れた所に間隔をあけて悪魔が何かしているのを見つけた。
「お前等、何をしてるんだ?」
「ッ! 何故、ここが!?」
変な所に居た悪魔の所へと来た俺は、悪魔を気絶させて力を封印した。
すると、ここら一帯の空気が一瞬だけズレた様な気がした。
「もしかして、あいつが現れるのに少し時間が掛ったのはここら一帯に何かしらの結界の様なものを張ってたんじゃないか?」
「その可能性はあるな。自分で張って、後は下の悪魔共に維持をさせるように指示を出して、自分はマリアンナと戦いに行ったんだろう」
「となると、俺がやるべき事は他の悪魔達の力を封印する事だな」
それから数ヵ所、悪魔達を襲撃した俺は師匠達の戦ってる場所に戻って来た。
すると、先程までは互角にやりあっていた師匠と悪魔だったが、完全に師匠が悪魔を押していた。
「やっぱり、あいつらが何かしていたみたいだな」
そう俺が言うと、師匠は悪魔を地面へと叩き落し、その場所に向かって強力な魔法を放った。
「くっ、クソ人間め、どうしてわかったんだ!」
「そりゃ、変な位置に悪魔が居たからな」
悪魔は俺を睨んできたが、さっきまでの威圧感も無く何も俺は感じなかった。
「ガドラ。これで終わりよ」
「こんな所で、終わってたまるか! これは使いたくなかったが、仕方ねえッ!」
そう悪魔は叫ぶと、何やら懐から黒い何かが入った瓶を取り出すと、中身を全て飲み干してしまった。
そして次の瞬間、悪魔の体からドクンッと心臓音が聞こえると、全身から黒い煙のようなものを発し始めた。
「変な事する前に終わらせるわ」
師匠はこれ以上、悪魔が変化する前にと魔法を放った。
すると、その魔法が黒い煙にあたると一瞬にして散ってしまった。
「ハハッ、実験の成功だな! これはな、魔力を打ち消す煙だ。飲んだら最後、魔法を使えなくなってしまうが、その代わり魔法に対する強い抵抗力を得れる。マリアンナの魔法を消せるか不安ではあったが、俺の勝ちだな!」
「厄介な物を作ったみたいね。だけど、今のが私の本気とは思わないでよねッ」
師匠はそう言うと、再び魔法を放つが悪魔はその魔法に対して一切驚かず、その場に立ったままで避けようとしなかった。
嫌な予感を感じそのまま見ていると、師匠の魔法は悪魔の黒い煙に直撃すると。
さっきと同様に散って無くなってしまった。
「ハハハッ! 魔法がいくら強くても、その魔法が効かなかったら意味が無いな~マリアンナッ! こっからは、俺様のターンだ!」
悪魔はそう叫ぶと、地面を蹴って上空に居る師匠に攻撃を仕掛けた。
「かなり厄介な状況になったな……魔法に対する抵抗力だけなら、まだ良いけど。あいつが選んだ肉体は、かなり体を鍛えた奴で物理に対しても相当な抵抗力を持ってそうだ」
「そこら辺も考えて、体を選んだんだろうな。それで、どうするんだ? あのままだと、マリアンナは勝てそうにないぞ? マリアンナは純粋な魔法使いだからな、近接戦闘もある程度は出来るが勝てる見込みもほぼ無いぞ」
ベルロスからそう言われた俺はその場でどうするべきか考え、ある事を思いついてそれを実行する為に動き出した。
【作者からのお願い】
作品を読んで面白い・続きが気になると思われましたら
下記の評価・ブックマークをお願いします。
作者の励みとなり、作品作りへのモチベーションに繋がります。




