第524話 【獣人国の悪魔退治・2】
それから数十体の悪魔の力を封印をした俺は、大分感覚を掴み始め。
一度の封印にかかる時間も大幅に短縮し、次々に悪魔達を無力化させていった。
「ジン君、大丈夫?」
「回復薬飲みながらしてるから、大丈夫だよ。クロエ達の方こそ、まだ動けそうか?」
「うん。こっちは一人じゃないから全然大丈夫だよ」
クロエはそう言いながら、俺が無力化した悪魔に縄でぐるぐる巻きにして、悪魔達を収容してる場所へ運ぶ役の獣人国の人に渡した。
「それにしてもクロムさんの動きは凄いな」
「レン君がサポートしてるからってのもあるけど、あんな動きしてるお父さん初めて見たよ。いつも、のほほんって家ではしてたけど今回の獣人国関連で今まで知らなかったお父さんを沢山知ったよ。それにお母さんもあんなに動けるなんて知らなかった」
「それは俺も思ったよ。なんだかんだ獣人族なんだな」
クロエの言った言葉に俺は頷きながらそう言って、視線の先で悪魔と戦っているエレナさんの事を見た。
クロムさん程では無いが、かなりキレのある動きをしていて機動力タイプで敵を翻弄している。
「さてと、お話はこの辺にして、俺は向こうの悪魔の力を封印してくるよ」
「うん。頑張ってね」
クロエと別れた後、俺は引き続き封印の作業を続けた。
「んっ、なんか強い魔力を感じるな」
作業を続けていると、今までの悪魔とは比べられない程の魔力を持つ者がこの場へと接近してきた。
「マリアンナッ! 貴様、よくも俺様の土地で好き勝手してくれたなッ!」
その巨大な魔力を持つ者は、突如現れると悪魔と戦っていた師匠に対して魔法を放った。
その魔法は巨大な岩程の大きさの炎魔法だったが、師匠は瞬時に壁を作りだして魔法を防いだ。
「あら、まさか貴方がここのボスなのかしら? 一度、力を封印して悪魔界に帰してあげたのに、また悪さしてるのね」
「その余裕さ、腹が立つな……んっ? そこの坊主から、ベルロスの力を感じるな? お前、そこに居るのか?」
獣人に憑いてる悪魔は、師匠と話していたが俺に気付くとそんな事を言った。
その悪魔の言葉に対し、刀の中に入っていたベルロスは姿を現した。
「何だ。どんな悪魔がこの集団のトップかと思えば、悪魔界一嫌われてるゴミクズ野郎だったとはな」
「あぁ? 何だ。その言い方は、お前今刀から出て来たって事は封印されてるんだろ? 天下の悪魔界一の強さを持ってるとか言われてたが、結局はその程度の実力だったじゃないか」
「チッ、弱いくせに口だけは達者なのは変わりないな。ガドラ」
ベルロスは睨みながら相手の悪魔の名を言うと、悪魔は笑みを浮かべ「今の俺はお前達が覚えてる俺じゃない」と言って体から魔力を発した。
「な、何であいつがここに居るんだ!?」
その悪魔の魔力に気付いて、この場に寄って来たクロムさんは悪魔の姿を目にすると、驚いた表情でそう叫んだ。
「あの悪魔が憑いてる人知ってるんですか?」
「統一戦争の際、俺達の集団に続いて力のあった者達が居た。何十日と戦い、俺達が勝利はしたがかなり苦戦を強いられたんだ。その集団のトップが、あの悪魔が憑いてる男。バルディスという奴なんだ」
クロムさんは悪魔が憑いてる獣人についてそう語ると、悪魔は不敵な笑みを浮かべた。
「最高の肉体、そして俺はこの馬鹿な男の部下の魂を使い強くなった。今の俺はマリアンナよりも強いッ!」
「へ~、そうなのね。でもそれなら口だけじゃなくて、実力で試してみたらどうかしら?」
師匠はそう言いながら、魔法をいくつも展開すると悪魔に向かって全て放った。
流石に今の魔法で力尽きただろうと俺は思ったが、師匠が警戒を解いてないのを見て俺はジッと悪魔の方を見ていると。
そこには、無傷の悪魔が笑みを浮かべて立っていた。
「どうだ? 驚いただろう? いつかマリアンナと戦うだろうと想定して、魔法に対する対抗力を高めていたんだ。マリアンナの魔法だとしても、俺を倒すのは無理だぞ」
「それはどうかしらねっ」
そう師匠は言うと、悪魔と壮絶な戦いを始めた。
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