第518話 【これからについて・4】
空島に戻ってくる際、一旦俺は王都の商業区へと行き、食料を買ってから空島に戻って来た。
戦いをしに来た獣人国だが、必要最低限の物資だけでこちらの国に来たみたいで食料がかなり少なかった。
その為、クロヴィスさんから獣人国に帰ったら必ず返すからと頭を下げられ、食料の代金は俺が払う事になった。
「ジン殿、色々と本当にありがとう。必ず、獣人国に帰ったら食料の代金も含めてお礼をさせて欲しい」
空島に帰ってきた際、クロヴィスさんは改めてそう頭を下げ、他の獣人族の方達も俺に向かって頭を下げた。
それから一先ず、今日の所は解散となった。
「ジンお兄さま、悪魔ってどれ程強いんですか?」
帰宅後、イリスは悪魔がどれ程強い存在なのか心配に思ったのか、そんな事を聞いて来た。
俺はその質問に対して、悪魔であるベルロスに聞くことにした。
「そうだな、今のイリスなら上位の悪魔と良い感じに戦えるくらいかな? どう思う。ベルロス?」
「ふむ……イリスが本気を出せば勝つ事は出来る奴もいるだろうが、全ての悪魔に勝てるわけでは無い。イリスの今の実力からだと、下位の悪魔を倒せる位だろうな」
「まあ、言っても悪魔に対する力はあるって事だから、イリスも大分強くなったって事だな」
ベルロスの評価を聞いた俺は、イリスに対して言うと「五分五分という事は、いい訓練にもなりそうですね」と目をキラキラとさせて言った。
「イリスちゃん、なんだかレイちゃんに似てきてるね」
「同じ前衛で戦うようになってから、レイに影響されて思考がレイに寄って来てるなとは思ってる。パーティーに二人も戦闘狂が居たら大変な事になりそうだな……」
楽しそうにレイに話しかけてるイリスを見ながら、俺とクロエはそんな会話をした。
それから流石に獣人国と戦い、それから話し合い続きだった俺達は疲れていて、順番に風呂に入った後、飯を食べて今日の所は早めに寝た。
翌日、俺達は対獣人国の悪魔の為、朝早くから準備を始めた。
早い内に片付けた方が良いだろうと思い、物資の調達は複数の国を俺が転移して集めて、大量の物資を用意した。
「もしもの時の為に、レン達に薬の量産をしてもらっていて本当に良かったな。これがあるかないかで、かなり完全面が変わってくるからな」
「正直、作り過ぎたと思っていたが、獣人国がこっち側についた事で余分に作っていた部分も使う可能性が出て来たから、ジンの指示通りに作っていて良かったよ。ジンはもしかして、こうなる未来でも見えていたのか?」
「いや、流石にこんな未来は想像できなかったよ。俺は戦いが国と国に発展してしまう可能性を考慮して、レンに多く作ってもら居ただけで、まさか獣人国が悪魔に乗っ取られているなんて思いもしなかったよ」
レンの言葉に対して、俺はそう言葉を返した。
俺の思い描いていた最悪の想定は、俺達では耐えきれず国と国の戦いに発展して、多くの人を巻き込んでしまう未来だ。
そうなった時の為に、念の為にと俺はレンに多く薬を作ってもらっていた。
それがどういう訳か、まさか獣人国が悪魔に乗っ取られいて、その悪魔達を倒す為に獣人国と共に悪魔退治に行くなんて俺の想像を超えている。
「ああ、それとレンには話しておくけど、師匠から今回の悪魔退治の際に悪魔の力を封印するやり方を教わるんだけど、多分力の封印にはあの玉が必要だと思うけど、そっちの研究はどうだ?」
「もうほぼ終わってる。これに関しては研究所を作っておいて、本当に良かったよ。ジンの提案を断って、ギルドで研究を続けていたら多分今も必死に研究してただろうな……」
レンは研究所を作ったのは、本当に良かったと心の底から思っているみたいだった。
その後、俺達は対悪魔戦に向けて準備を進めた。
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