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第509話 【獣人国への対処・3】


 その空気に耐えられなかったのは、大陸を移動してまでクロムさんを連れて帰ろうとしている獣人国側だった。

 拒否するクロムさん達に向かって「取り合えず、共に獣人国に帰ろう」と一歩も引き様子は無くそう言いきった。


「……分かった。親父達の気持ちが、よく分かったよ」


 そのクロムさんの言葉に、獣人国の者達は嬉しさからか笑みを浮かべた。

 しかし、次の瞬間、クロムさんから発せられた【威圧】を受け、三割程の獣人族が倒れた。


「ここからはお前等は〝敵〟とみなす。これ以上、俺を追い続けるのであればそれ相応の覚悟を持って現れろ」


 クロムさんの言葉に獣人国側は、驚きクロムさんと話していた男性は「わ、私達は家族だぞ!?」と叫んだ。


「その家族相手に親父は何をした? 嫌がる俺を王に据えようといつまでも追い続け、俺達の生活を滅茶苦茶にした。自分達が良ければ、俺達の事はどうでもいいとでも思ってるのか? 家族なら、家族を守ってからその言葉をつかえッ!」


 怒気を含んだその声に獣人国は怯み、一歩も動くことは出来なかった。

 俺はそんな獣人国側に、用意していた地図を渡した。


「ここから移動して、二日程の所に決戦となる場所を用意した。もしクロムさんを諦めるのであれば、このまま引き返して獣人国に帰ってもらっても構いません」


 そう俺は獣人国側に言って、クロムさん達を連れて転移でその場から消えた。

 その後、一先ずクロムさんを落ち着かせる為、拠点では無く空島の方へと移動して来た。


「クロムさん、お疲れさまでした。よく堪えましたね」


「あそこまで馬鹿だと、流石にキレそうになってな……危うくあのまま暴れる所だった」


 クロムさんは獣人国の獣人達と離れた事で、少しだけ落ち着きを取り戻してそう言った。


「お父さんがあんなに怒った姿初めて見た。お父さんって、あんな風に怒れたんだね」


「クロムは普段そこまで怒らないけど、溜め込んだら怖いのよ」


「ずっと見せないつもりだったんだけどな、あいつらを見ていたら昔の自分を思い出してあんな怒り方をしてしまった。今になって少し恥ずかしいよ……」


 クロエのおかげでクロムさんは笑みを浮かべ、先程までの威圧感は無くなりいつもの穏やかなクロムさんに戻った。


「それでクロムさん、相手が本当に来たらどうしますか? あの時は、敵とみなすって言いましたけど」


「言葉の通りだよ。流石にこれ以上獣人国に付きまとわれたら、クロエにも迷惑が掛かってしまうからね。徹底的に潰すしかない……」


 寂し気にそうクロムさんは言い、俺は本当はそんな事をクロムさんがしたくないんだなと感じ取った。

 しかし、そうさせたのは獣人国だし、最後のチャンスで逃げる選択肢も用意してある。

 ここで逃げてくれたら、互いにとって良い終わり方ではあるが……。


「逃げてくれますかね?」


「そうして欲しいと俺は思うが、無理だろうな」


「獣人国は馬鹿な国なのよ。そもそも、無理矢理連れて帰ったとしてクロムが王になるとでも思ってる時点で何も考えていないのよ」


 俺の言葉にクロムさん達はそう言うと、クロエは「そう言えば、さっきお父さんが話してた相手が今の獣人国の王様なの?」と聞いた。


「ああ、俺の親父で今は仮の王として獣人国の指揮をとってる。それでその隣に居たのが、親父の補佐役のエレナの父親だ」


「という事は、私のお爺ちゃん達って事なんだね。なんだかはじめて会ったけど、そこまで好きになれそうにない人達だったな……」


「まあ、昔の考えの人達だからな。それにクロエがあの馬鹿親父共と関わる事は無いだろうから、存在自体忘れても良い」


 クロムさんがそう言うと、エレナさんも「そうよ。クロエの家族は私達だけよ」とクロムさんの言葉に乗っかってそう言った。

 その後、クロムさんも落ち着きを取り戻したので俺達は拠点に戻り、今日の所はゆっくりと過ごし、明日に備えて早めに寝る事にした。

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