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第508話 【獣人国への対処・2】


 獣人国が動き出したと言う情報を貰ってから二日が経った。

 その間俺は、拠点でクロムさん達と一緒に暮らし、いつ獣人国が来ても

良いようにと準備していた。


「……遂に来たみたいだな」


 朝食を食べた後、拠点にハンゾウから報告書が届けられた。

 その報告書には、獣人国の者達が乗った港に着き、デュルド王国に向かって来ていると書かれていた。

 俺はその報告書を読み、拠点の中で生活しているクロエ達とクロムさん達を呼び出し、報告書を見せた。


「随分とこっちに来るのに時間が掛ったみたいだな、何か海であったのか?」


「報告書によると、獣人国を出発した船は全部で5隻だったのに対し、港に到着した船の数が4隻だったみたいです」


「成程、海の魔物を怒らせたか、もしくは海を舐めていたのかもしれんな。まあ、獣人族は泳ぎが得意な奴が多いから、多分全員生きてはいるだろうな」


 クロムさんは心配する素振りは無く、そう言いきるとエレナさんは「身体能力だけは高い物ね」と言った。


「獣人族と言えば、身体能力の高さが売りですけど。獣人国の獣人はより高いんでしたっけ?」


「ああ、俺も向こうからこっちの国に移動してきて感じた。獣人族にとって、最高の環境なのは獣人国の大陸で間違いなく、そこで生活をしてきた獣人国の獣人達はより高い身体能力に育ってる」


「場所によって空気とか違うから、そういうのでしょうね」


 クロムさんの話を聞き、俺はそう言葉を返した。

 それから俺達はそれぞれ装備に着替え、いつでも戦える状態にした。

 そして皆に確認を取り、獣人国軍が来るであろう場所へと転移で移動した。


「ジン君、凄いね。少し先に獣人国の人達の魔力を感じるよ」


「丁度いい所に来れたみたいだな」


 流石に目の前に現れるのは、分が悪いので少し離れた所に行こうと考えいた。

 その調整が上手くいったようで良かったと安心して、そこから獣人国の者達が居る方へと向かった。

 そして移動する事、10分程して前方に獣人族の団体を発見した。

 クロムさんにその人達を確認してもらうと、その獣人族の大群が獣人国の者達という事が分かった。


「クロムさん、殺気を抑えてください。相手にバレますよ?」


「す、すまん。つい……」


 獣人国を発見すると、クロムさんは静かに相手に対して殺気を放ち始めていたので俺はそう注意をした。

 多分、今ので俺達の存在がバレただろうから、そのまま獣人国の者達へと近づいて行った。

 相手は俺達に気が付くと、奥の方から大柄の男性とその男性について来るようにもう一人男性が現れた。


「おお、会いたかったぞ! クロム!」


 大柄の男性はクロムさんを視界に入れると、嬉しそうな顔をしてクロムさんの名を呼んだ。


「何を嬉しそうにしている。今日は、決別をしに来たんだぞ? ディアナ、居るのは分かってる。出てこい」


 クロムさんは男性に対してイラつきながらそう言うと、奥の方からディアナさんが申し訳なさそうな顔をして出て来た。


「俺は話し合いで国に戻らないと言ったよな? これはどういうことだ?」


「……そ、そのクロムさんの居場所を知ったので、関係を取り戻す為にお食事会でもと思いまして」


「この状況でそれを信じろと? お前の後ろに居る奴等、完全に戦う気でいるだろ?」


 その指摘にディアナさんはギクッと反応すると、大柄の男性が「クロム。国に帰って来てくれ」と頭を下げて頼んだ。


「お前でないと、国は導けないんだ!」


「嫌だと言ってるだろ? 何故、嫌がる俺を連れて帰ろうとする。俺にはもうこっちの国での生活があるんだよ!」


 大柄の男性に対しクロムさんがそう叫ぶと、大柄の男性の横に付いている男性はエリナさんの方を見た。


「エレナ、随分と落ち着いた雰囲気になったね」


「ええ、獣人国に居た頃はお父さん達のせいで毎日イライラしてたものね。それでなに、また私達の生活の邪魔をしにきたの?」


「邪魔だなんて、私達はそんなつもりは……」


「つもりは無いって、どの口が言ってるのかしら? 散々、獣人国に居た頃もクロムに王になるように説得しろと言い続け、私が断っても言って来ていたわよね? あの時、貴方達のせいで私が生死を彷徨った事は、一生許すつもりは無いわよ」


 エレナさんは冷めた視線で男性に言うと、クロムさん達とその男性達の間には重い空気が流れた。



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