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第504話 【暇な日々・2】


 作業場から出た俺は、そのまま店から出ようとしたがリズさんから「ちょっといいかしら?」と声を掛けられた。

 そして、店先はリプルさんに任せて俺はリズさんに住居スペースの方へと一緒に移動した。


「それで、どうしたんですか?」


「リーザの事で話があるの、あれからあの子と少し話してみたのよ。次の世代を育てる為に時間が必要な事とか、それで少しは結婚に対して意識を向けてくれたのよ」


「それは良かったですね。前までは、興味すらなかったですから」


「ええ、ようやく前進してくれて母としては嬉しいわ。でも、鍛冶以外に興味が無い子だからどんな男性が好きなのかあの子自身分かってないのよ……」


 リズさんはようやくリーザが結婚に対し、前向きになってくれたがリーザのタイプが分からず前に進めないと愚痴を零した。


「まあ、二十数年間鍛冶一本で来た人ですから、いきなりどんな人が好きなか聞かれても本人も分からないとは思いますね。何かこう少しでも、聞き出せたりしてないんですか?」


「何時間も悩んであの子が一つだけ出したのは、仕事に口を出さない人って言ってたわ。多分だけど、仕事に口を出さない人があの子にとって一番重要だと思うわ。鍛冶作業が生きる糧になってるような子だから」


「成程、分かりました。俺の方でも、リーザに合いそうな方が居れば紹介しますね。ガフカ家に婿に来れる方が大前提ですよね?」


「それは勿論よ。代々受け継いだ工房を手放す事は出来ないわ」


 リズさんからそう言われた俺は、結婚願望がありリーザの数少ない条件に会う人が居たら紹介する事を約束した。

 俺としても今後もガフカには世話になると思うし、今現在も色々と世話になってるから力になれるように頑張ろうと思いながら店を出た。


「ふ~ん、ガフカ家の婿探しね。お前って、何かやってないと倒れたりするのか?」


 あの後、新しい情報が無いかハンゾウの所に聞きに来た俺は、ついでにリズさんからの頼まれ事である婿探しについても話をした。


「いや、今回は頼まれたことだからな。それに俺にとって、ガフカの工房は無くなっては困る場所だからな」


「お前が生きてる間は、今の工房長が努めていそうだが。そういう問題じゃなさそうだしな、だけど俺の情報屋は別に相談所じゃないんだから。男を探すのは無理だぞ?」


「分かってるよ。ただちょっと相談したかっただけだ。……そう言えば、ハンゾウは結婚とかしてるのか?」


 リーザの話をしていて、ふと目の前の男も結婚とかそういうのに興味が無い人間じゃないか? と思い聞いた。


「まあ、するつもりは今の所は無い。前までは、妹の事が心配で結婚なんて考えても無かったからな」


「そうか、妹命だもんなお前は」


「家族だからな、大事するのは当たり前だろ?」


 そうハンゾウは真顔で言いきった。


「ってか、いつになったらお前は俺にその妹を会わせてくれるんだ? 妹が俺に会いたいって言ってたんだろ?」


「……その内だ。今は獣人国の事があるだろ?」


 ハンゾウは嫌そうな顔をして、俺にそう言ったので俺は「妹から何か言われてないのか?」と聞いた。


「ちょっとだけ距離を置かれてる……だが! 周りに女を連れまくってるジンに会わせるよりか、マシだ!」


「やっぱり、お前が私情かよ……別に俺は良いけど、妹に嫌われる前に会わせた方が良いとは思うけどな」


 〝嫌われる〟という単語を聞いたハンゾウは、少し固まって「し、心配はない……」とボソッと言った。


「まあ、お前が嫌われても俺には別に関係が無いからな。嫌われたからって、仕事に支障は出すなよ」


「大丈夫だ。嫌われるはずが無いからな!」


 俺の言葉に元気を取り戻し、そう言いきったハンゾウに「それじゃ、また来るよ」と言って店を出た。

 その後、暇な俺は宿には戻らず、そのまま商業区を散歩して暇を潰す事にした。


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