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第503話 【暇な日々・1】


 クロエ達と別れて行動を始めて三日が経った。

 その間、ハンゾウからの連絡は無く。

 俺はジッと宿で待っているのもつまらない為、この期間に出来る事を色々としようと行動をしている。


「ジン。お前が寂しいのは分かるが、流石にやりすぎじゃないか?」


「そうか?」


「そうか? って、お前な……周り見て見ろ、普通の裏庭だった所が今じゃ立派な広場になっちまったじゃないか。確かに少し手入れしても良いとは言ったが、ここまで綺麗にされるとは思わなかったぞ」


 この三日間、俺は宿で暮らしているがクロエ達が居ない上にやる事も無い。

 だから暇で仕方なかった俺は、リカルドに許可を貰い宿の裏庭を整備していた。

 そして暇潰しでやっていた俺は、気づけばそこまで手入れされてなかった裏庭が、ちょっとした運動が出来る広場へと変わっていた。


「まあ、宿の奴等が使いやすくなったから良いけど。お前にこのままさせておくと、宿を全部改造されそうだからその辺で止めておけよ」


「……分かったよ。持ち主がそう言うなら、止めるよ」


 俺は若干不貞腐れながら言うと、リカルドは溜息を吐き「やっぱり、クロエ達と一緒に迷宮に行きたかったのか?」と聞いて来た。


「そりゃ、行きたくない訳ないだろ? だけど、獣人国がどうでるか見張っておかないといけないから、俺が残るのは必要だったんだよ。俺以外にハンゾウと連絡を取れないからな、ハンゾウもハンゾウで会う分には良いけど、依頼をやり取りするのは俺じゃないと駄目だって言うからな」


「俺はよく知らないが大陸一の情報屋だから、その辺は気難しいんだな」


「まあ、その分腕は確かだからな。あいつの情報収集能力を超える人間は居ないと俺は思ってる」


 そう俺はリカルドに言いながら、作業道具を異空間に入れ。

 裏庭から宿の中に戻り、俺は飯を食べに外に出掛ける事にした。


「ジン。最近、一人で居る事をよく見るけど仲間とは別行動なのか?」


「そんな所ですね。今、皆は迷宮探索に行ってます」


「へ~、珍しいな。いつも仲間と一緒だったから、ジンが一人で行動してるってなんか新鮮だな」


 そう言ったのは、俺が以前から懇意にしている屋台で串肉売りをしているロブだ。

 ロブは俺が頼んだ串肉を用意すると、今日はこれで完売だからと一緒に串肉を食べる事にした。

 その後、串肉を食べ終えた俺はロブと別れ、ガフカの工房へと向かった。


「リーザ。今、良いか?」


「んっ? ジンか、頼まれていた物なら出来てるよ」


 店の中に入ると、リーザは奥に居るとリズさんに教えられた俺は奥の作業場に居るリーザに声を掛けた。

 そして俺に話しかけられたリーザは、振り向いて俺が頼んでいた物が完成したと言った。


「はい。頼まれていた包丁だ」


「お~、凄く握りやすいし、切れ味も良さそうだ」


「切れ味に関しては申し分ないと思うわ。何せ素材に竜王の牙を使ってるんだから」


 少し前、大会の為に竜人国に行った際、俺はスカイから大きな木箱を貰った。

 開けるのは帰ってからのお楽しみだと言われて、大会が終わるまでその箱の中身を確認しなかった。

 それで確認をしなかった俺は、そのまま箱の存在を忘れていた。

 だけど姉さん達と食事を終えた日、ふとその事を思い出して箱の中を確認すると。

 箱の中には、大きな牙と手紙が入っていた。


「やけに重いと思ったら、こんな大きな牙が入ってたのか……」


 中を見た俺はそう感想を零して、先に手紙を確認した。

 手紙には、竜王とスカイがいつもの様に戦っていると、スカイの攻撃が竜王に直撃して牙が落ちたと書かれていた。

 その牙はドラゴン達からしたら、ただの歯で使い物にならないが俺達には価値があるとスカイは知っていて、俺に渡す事にしたと書いてあった。

 そして俺は受け取った牙の一部を使って、リーザに包丁を作ってもらう事にした。


「それにしても、ドラゴン族からそんな物を貰えるなんてジンは凄いわね」


「師匠のおかげですね。師匠がドラゴン族と会わせてくれなかったら、俺もこんな風に貰い物を貰えませんでした」


「ふ~ん。じゃあ、あたしもジンの師匠には感謝しないといけないね。こんな貴重な素材。本来なら、鍛冶師が一生かけても手にする事が出来ない竜王の素材をこんな風に何度も触れるなんて、ジンと出会えたことが私の鍛冶師人生の中で一番大きいわ」


 リーザはそう言うと、作業に戻ったので俺も邪魔しないように作業場から出る事にした。

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