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第5話 【装備を整える・3】

 その後、ギルドに無事に着いた俺は登録をしてくれた受付係の所へと向かった。


「あら、貴方は昨日登録した」


「はい、ジンです。無事に装備を調達出来たので、依頼でも受けようかと思いまして」


「そうでしたか、見た所良い鍛冶屋さんの所に行かれたみたいですね」


 受付係の女性は、俺の装備を見てそう言った。

 一見普通の革装備に見えるが、受付係の女性は沢山の冒険者を見て来ているからか、一瞬で竜種の素材を使ってると気付いたようだ。


「ええ、余り物で安く譲ってもらいました」


 笑顔でそう言うと、女性は「良かったですね~」と笑みを浮かべながら言い。

 俺が現在、受けられる依頼をいくつか用意してくれた。

 冒険者の依頼の受け方は色々ある。

 その内の一つで、受付から用意してもらう形で俺は依頼を受けようとしている。

 掲示板から探すのは面倒だし、常設依頼だと今の金欠状態を抜けるのが遅れてしまう。

 そう思った俺は、昨日手続きをしてもらった受付係の女性に依頼を用意してもらった。


「金欠と言ってましたので、こちらの依頼はどうでしょうか? 初心者冒険者の方には、破格の報酬金が出されている依頼です」


 そう言って見せられた依頼書に俺は目を通した。


依頼名:薬草集め

内 容:種類は問わない。出来るだけ多くの薬草を持ってきてくれ

報 酬:袋一つにつき、金貨一枚 ※最大五袋


 その依頼文章を見て俺は、ビクッと体が反応をしてしまった。

 しかしこんな所で動揺してる姿なんて見せたら、変な奴だと思われるため、平静を装う事にした。


「薬草集めですか? それなら、常設の方で出されてますよね?」


「ええ、そうなんですけど、この方は研究に使う為に沢山の薬草が欲しいとの事でして、市場で薬草を買い占めると他の方に迷惑だからと依頼を出されているんです。こちらが袋の大きさになります」


 女性はそう言うと、カウンターの下から大体20Lサイズの麻袋を取り出した。


「成程……分かりました。報酬も中々良いですし、この依頼を受けます」


「分かりました。期限ですけど五日となってますが、大丈夫でしょうか?」


「はい、大丈夫です」


 最終確認を行い、俺は受付で依頼の手続きを行った。

 期限内までに一袋だけでも納品すれば、大丈夫だと言われたが一袋いっぱいにするだけで金貨1枚なんて美味しい報酬をそんな勿体ない事はしたくない。

 そう思った俺は早速、ギルドを出て王都の外へと向かった。


「さてと、まさかゲーム時代の最高の金策依頼を受ける事が出来るなんて思いもしなかったな……」


 ゲームでもこの依頼は同じくあり、プレイヤーからは〝最高の金策依頼〟として知られていた。

 ゲーム時代は袋の数は無く、薬草を二倍の値段で買い取ってくれる感じでよく世話になっていた。


「ゲームの時も世話になったが、こうしてまた世話になるとは思わなかったな」


 俺はそう思いながら、薬草の採取地に辿り着き採取を始めた。

 手に取り、鑑定して、袋に詰める。

 地味な作業が好きな俺は、黙々と続けた。

 この場所は滅多に魔物も現れない為、気が付くと辺りが暗くなってるのに採取を続けていた。

 結局、俺はたった一日で目的の5袋分の薬草系の採取を終えてしまった。


「えっ、もう。集め終わった?」


「地味な作業が好きなので、黙々とやってたらいつの間にかパンパンに」


 そう言いながら【異空間ボックス】に入れていた薬草が入った袋を取り出した。

 行き成り目の前に、5つの袋が出現した事に受付係の女性は驚いた顔となった。


「しゅ、収納系スキルを持ってたの……」


「はい、便利ですよね。このスキル」


 笑みを浮かべながらそう言う俺に、女性は引きつった笑みを浮かべた。

 女性の反応を見て俺は、この世界では多分〝収納系スキル〟はレアスキルなのだろうと感じた。

 その後、一応中身の鑑定をさせてもらうと言われ、作業場へと連れて行かれた。

 作業場はギルドの地下にあり、そこに数名のギルドの人が待機していた。


「フィーネちゃん、どうしたの? 今日はこっちに来るような依頼は無いって言ってなかった?」


 作業員の一人が受付の女性に声を掛けた。

 名前気にして無かったけど、フィーネって名前なのか……。

 ゲームの時は受付係はそこまで重要なキャラじゃなくて、モブ顔だった。

 その為、自己紹介をしてなくて名前をどうやって知ろうかと考えていたがここで分かって良かった。


「それがノルアさんの依頼を受けた冒険者の方が、一日で終わらせたみたいなので薬草の鑑定をしてもらいに来たんですけど、時間大丈夫ですか?」


「薬草の鑑定くらいなら、大丈夫だよ。多くても袋5つ分でしょ?」


「はい、そのそれじゃお願いしますね。ジンさん、あそこの台の上に出してもらって良いですか?」


 受付の女性改め、フィーネさんにそう言われた俺は「分かりました」と返事をして指定された台の上に袋を出した。

 収納系スキルを見た作業員達は「お~、収納スキルか」というと、直ぐに作業に取り掛かった。

 鑑定する物が薬草か薬草じゃないかという違いだった為、作業は30分も掛からずに終わった。


「5つ分、全て薬草でした。納品依頼で既に中身は確認済みなので、報酬金は上に戻ったら渡しますね」


 そうフィーネさんから言われた後、ギルドの一階に戻って来て報酬金を受け取った。

 一日の稼ぎが金貨5枚、俺はホクホク顔で宿に帰宅した。

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[気になる点] 目立ちたくないと言いつつ、人前でレアスキルをガンガン披露していくスタイルは自分も気になった 受付嬢の前で出すのは、取り敢えず最低完了数?の1袋だけで良かったんでは…?
[気になる点] 悪目立ちすれば折角自由の身になれたのに、変な奴等に絡まれたら意味がない。 なんなのこの主人公、意味分からん 宿屋の時はまだ親父だけだったけど、不特定多数の衆人環視の中で垂涎のレアスキ…
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