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第498話 【元英雄との訓練・4】


 休憩の際、クロムさんにも回復薬を渡し、リカルドに作ってもらった軽食を食べる事にした。


「ジンは用意が万全だな」


「軽食は今日一日クロムさんと訓練をするって、リカルドに前から言ってたので用意してくれたんですよ」


「そうなのか? 帰ったら、お礼を言わないとな」


 クロムさんはそう言いながら、リカルドが用意してくれた飯を美味しそうに食べ、俺も一緒に食事をする事にした。

 それから十分、休憩をした俺達はもう一度同じ順番で戦う事になった。


「そう言えば気になってたんですけど、クロムさんの剣術って独学ですか?」


「んっ? ああ、そうだよ。獣人族は基本的に素手で戦うのが基本だから、教えてくれる師匠なんて居なかったからな。独学で剣を学んで、戦争があったから生きる為に戦い続けてたら、いつの間にか自分の剣術が完成していた」


「戦場で完成した剣術って事ですね」


 成程、だからクロムさんの剣術は手数が多めで押す感じの剣術なのだろう。

 戦場で悠長に構えなんてしてたら、その間に殺されるかもしれないからな。

 その後、再びレイ達との戦いに戻ったクロムさんを見ていると、後ろからハンゾウに話しかけられた。


「ジン。あの男、相当強いな」


 ハンゾウはここまで試合を見ていて、クロムさんの強さを理解した様子だった。


「クロエの父親だからどこまで強いかと思ってたけど、俺の予想を遥かに超えた力を持っているな……あんな強さを持つ人間が王都で隠れ住んでいたとは、情報屋の俺も知らなかったよ」


「まあ、ずっと力を隠していたみたいだからな、俺もクロムさんの実力を知ったのは今回だけど相当強いよな」


 ハンゾウはクロムさんの力を見れた事は、相当価値があると言って満足していた。

 その後、一日空島で訓練を続け、俺達が宿に戻ったのは陽が完全に沈んだ頃だった。


「なんだか今日一日で、色んな事を学べた気がする。やっぱり強い人と戦うのが一番学べるよね」


「それはあるかもな」


 レイの言葉に俺は頷きながらそう言い、明日もクロムさんと訓練をする予定なので今日は早めに寝る事にした。

 それから数日間、俺達はクロムさんと戦い続けた。

 元々、クロムさんとの相性が悪かったレイは、クロムさんとの戦いの中で学びを経て良い所まで戦えるようになっていた。

 クロエもまたクロムさんとの戦いの中で魔法の腕を上げ、クロムさんに魔法が当たるようになった。


「皆、クロムさんとの戦いの中で強くなっていったな」


「それで言うと、ジン君も凄く強くなったと思うよ? お父さんの攻撃の殆ど、もう食らってないでしょ?」


「確かにな、ジンが一番俺の中では成長したと思うぞ。もう俺の攻撃がジンに致命傷を与えられる事は無いだろうな」


 皆の事を褒めると、クロエとクロムさんからそんな事を言われた。

 確かに俺はクロムさんとの戦いの中で、早い攻撃を見極める動体視力が上がり、今ではクロムさんの攻撃を受け流している。

 なので、俺と戦ってる時のクロムさんが一番辛そうな顔をしている。


「こんな近くに、俺の全力を出せる相手が居て本当に良かったよ。もう大分、全盛期の力を取り戻し始めてるからジン達には凄く感謝してるよ」


「俺達もクロムさんには感謝してます。こんな強者と戦える機会は、早々無いですからね。もし、獣人国との問題が終わった後でも暇なときは相手になってください」


「それは俺から言おうと思っていた事だよ。ジン達は練習相手として最高だからな」


 そんな風にクロムさんから言われ、俺達はクロムさんと今後もお互いに時間があれば訓練に付き合う事を約束した。

 その後、その日の訓練を終えた俺は皆を連れて宿に戻ってくると、ハンゾウの部下から声を掛けられ、ハンゾウが呼んでいると伝えられた。


「ハンゾウさんが呼んでるって事は、もしかして獣人国関連で何か分かったのかな?」


「多分そうだろう。ちょっと行ってくるよ」


 クロエが心配する顔をして言った言葉に俺はそう返し、俺は一人でハンゾウの店へと転移で移動した。

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