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第495話 【元英雄との訓練・1】


 クロムさんから、力を取り戻すのに協力してほしいと頼まれてから数日が経った。

 そして今日、準備を終えたクロムさんが宿に来て、俺はクロムさんを連れて皆と一緒に空島へと移動して来た。

 地上で訓練する事も出来るが、人の目もあるからと師匠に空島の一部を貸して欲しいと頼んでいた。

 俺の頼みに師匠は了承してくれて、師匠の家からかなり離れた所に俺は転移で移動して来た。


「さてと、それじゃ最初は誰がクロムさんと戦う?」


「はい! はいはい! 私がやりたい!」


 待ってましたと言わんばかりに、レイは元気よくそう飛び跳ねながら言った。

 そんなレイに俺達は順番を譲り、最初はレイとクロムさんが戦う事になった。


「クロムさん、クロエから聞いた通り剣で戦うみたいだな」


 試合開始前、準備運動をしているクロムさんの片手には剣が握られていた。

 何の変哲もない片手剣だが、構えから相当な熟練者だという事は分かる。

 それから数分後、互いに準備運動を終えてクロムさんとレイは、模擬試合を始めた。


「ッ!」


 開始早々、レイが動くかと思っていた。

 しかし、レイよりも先にクロムさんは動き、レイを剣の間合いまで詰め寄った。

 クロムさんの戦闘スタイルはどちらかと言えば、超接近戦タイプのようだ。


「クロムさん普通に動けてるよね」


「レイお姉さまが押されてるなんて、クロエお姉さまのお父さんって力が落ちてるって嘘だったんですか?」


「あれでお父さん自身は落ちてるって言ってたよ。多分、元々はもっと凄かったのかも知れないね」


 クロムさんの速さは、俺とほぼ同等かそれ以上の速さをしている。

 レイはそんな速いクロムさんに、今までの戦闘経験の勘を頼りに戦っている。


「ハァッ!」


 速さでは劣っているレイだが、一発の重さはクロムさんに勝っている。

 クロムさんもレイの一発を食らえば終わると判断しているのか、かなり慎重に動いている。

 そうして二人の戦いは時間が刻々と経って行き、30分が経った。

 レイは体力をかなり消耗をしていて、これ以上やっても無理だと判断したレイは負けを宣言した。

 

「クロエちゃんのお父さん強すぎるよ! でも、楽しかった。ありがとうございました!」


 レイは負けて悔しがるかと思っていたが、その予想は外れて嬉しそうな笑みを浮かべてそうクロムさんに言った。


「俺も久しぶりにこんなに動けて楽しかったよ。クロエからレイちゃんは強いって聞いてたけど、本当に強かった。今出せる全力で相手しなかったら、勝てなかっただろうな」


「本当ですか? そう言って貰えて嬉しいです!」


 クロムさんに褒められ、嬉しそうな反応をするレイに俺は少しだけ困惑した。


「なんか普段のレイとは大違いだな……」


「この間、ジン君からお父さんの話を聞いてからレイちゃん少しだけお父さんに憧れてたみたいだから、それであんな反応をしてるんだと思うよ」


「レイって昔は本とか物語とかを好んでいた時期があって、その時は英雄譚とかを好んでいたから、それでだと思うぞ」


 成程、それで元英雄であるクロムさんに褒められて嬉しそうにしているのか。

 レンの話を聞いた俺は、納得して次はクロエが戦うようでクロエは準備運動を始めた。


「親子対決だな。ジン達はどっちが勝つと思う?」


「まあ、正直な気持ち的にはクロムさんだろうな。まさか、あそこまで動けるとは予想もしてなかった」


「私もジンお兄さまと同じです。クロエお姉さまのお父さんは力が劣っていると聞いてましたけど、レイお姉さまを圧倒するほどの力を持っていて驚きました」


 レンの質問に対して、俺とイリスはそう言った。

 それから数分後、準備運動を終えたクロエとクロムさんの試合が始まった。

 開始早々、クロエはクロムさんと更に距離を取ると魔法を発動させた。

 しかし、その魔法をクロムさんは華麗に避けてクロエへと接近した。


「かなり早い魔法なのに、クロムさん驚きもせず普通に避けたな……」


「クロエの視力の良さはクロムさん譲りなんだろうな」


 俺とレンはクロムさんの動きを見ながらそう言うと、クロムさんは更にクロエへと近づき攻撃を与えようとした。


「甘いよ。お父さん!」


 クロムさんが自分にそこに接近してくると察していたクロエは、空中で【風属性魔法】の力を使って移動した。

 そしてクロエが居た場所にクロムさんが移動した形となり、そんなクロムさんを正面から複数の水の槍が襲った。

 


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